あなたから遠く離れて
この一連の恋文の悪質なところは、もう触れあえないくらい遠く離れた頃合いを見計らってから本人に投げつけてしまったところだ、と思う。男がたとえ苦し紛れの戯言混じりではあっても「好きだ」「そばにいてくれ」と口にしたときにのらりくらりと逃げつづけた女が、取り返しのつかないほどに離れてしまっておいてはじめて、「実はわたしもずっと好きでした」と迂遠な後朝の文をインターネットに放流してよこすのは、なかなかに醜悪なものだ。わかってはいる。それでも書かずにいられないわたしは、どこまでもずるい女