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3社目:株式会社アドバンテッジリスクマネジメント(ファンダメンタルズ転職)

この記事は外食産業に従事される私達のスキルが活かせる先は?という問に対してピックアップされた財務的に優良な企業の紹介記事です。

   株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは1995年創業、2006年に上場した従業員のメンタルヘルスケアサービスの開発・販売を主力とする企業です。過去、10年以上に渡って継続した売上高成長を遂げ、営業キャッシュフローマージンは15%以上確保している高収益企業です。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント 業績推移(1)


 なぜこのような高収益な体質を長期に渡って維持できるのでしょうか?それは法律改正にあります。2015年12月1日に改正労働安全衛生法が施行れ、年1回の従業員のストレスチェックが事業者(企業)の義務とされました。法律策定前の2002年8月から株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは東京海上日動火災メディカルサービス株式会社と提携して従業員のメンタルヘルスケアに着目した製品を提供しており、義務化後最初の決算である第19期(2016年4月〜17年3月)決算の売上高増加率は約38.74%と大きく飛躍しました。このメンタリティマネジメント事業は今後の成長の柱とされ、将来的には人材活用の分野を視野に開発が進められています。なお、直近3年間のセグメント利益率は約26.98%です。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント セグメント別業績推移

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント セグメント別業績推移(1)

 また就業障がい者支援事業ではGLTDといった保険販売を手掛けています。団体長期障害所得補償保険と呼ばれ、従業員がケガや病気で長期間に渡って仕事ができなくなった時、その給与分を補填する保険のことです。米国の共済保険がその発祥です。
 会社が掛け金を支払って、従業員全員を保険対象とすることから福利厚生の一環とされています。株式会社アドバンテッジリスクマネジメントの創業事業であり、日本で認可された当初から手掛けています。まだまだ伸びしろのある事業であり、4年間で売上高は1.37倍にまで成長しています。セグメント利益率は約37.94%です。
 なお、リスクファイナンシング事業は保険代理店業ですが、2020年度中期経営計画ではゼロ成長とされていること、売上高に占める割合が低いことから詳細は割愛します。(ただし、利益率80%超の超優良事業です。)


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  次に従業員数と給与に関する項目を確認します。売上の拡大と共に従業員数は増えており、過去3年間平均で毎年35名の純増です。退職者のことも鑑みると、それ以上の採用が行われていることが考えることができます。
 また、平均給与についても右肩上がりで、売上高の35%前後が安定的に支給されています。唯一、労務費(恐らく製品の開発部隊の給与)のみ8〜11%の変動が見られます。製品の開発作業によって変動するものと思われます。


以下、私個人が予想する経営リスク

 最後に手前味噌ながら、今回ご紹介した企業の経営リスクを提示して締めくくりたいと思います。一般的なリスクは除外し、完全な私見を元に記載します。その思考に至る根拠は事実のみを明記しますが、あくまで私見です。ご注意ください。

1.企業の目標と収益拡大の両立は実は背反している
 株式会社アドバンテッジリスクマネジメントにとって最大の事業は従業員のメンタルヘルスケアサービスの提供です。つまり、従業員のメンタル不調を事前に予防したり、患った後も改善や早期復職に貢献するものです。
 よって、日本のメンタル不調者を減少させることが究極的な目標ではある一方で、不調者の減少は需要の減少とも考えることができます。

2.心理学・精神医学・脳科学・神経科学の融合と大衆化
 メンタル不調の改善策として「運動、朝日を浴びる、咀嚼回数を増やす」といった投薬や専門家のカウンセリング以外の低コストで誰でも実施できる方法が提示され始めています。
 これまで別個だった「心と脳、身体」の研究分野が互いに引用し、新しい知見を生み出した賜物です。また、その情報が専門家Youtuberや書籍に取り上げられることで、専門家に頼らずとも独力で改善できる素地が整いつつある状況も垣間見えます。
 こういった状況も同社にとって逆風となり得ると考えられます。

3.瞑想で高められるEQ
 EQとは「心の知能指数」と呼ばれ、知能が高いことを示すIQよりも収入との高い相関を示したとの研究結果が出されたことから注目されました。同社はこのEQを測定・向上させる事業を展開していた株式会社イー・キュー・ジャパンより2010年に事業を譲受、商品ライナップへ加えています。
 ただ、このEQも1冊の書籍で測定・向上させることができると謳われ、また瞑想によって高めることができるとの調査結果も存在します。
 つまり、上記3点を鑑みると同社の主力事業であるメンタリティマネジメント事業は容易に代替される恐れがある、ということです。特に経済が低迷し始め、企業業績に影が落ち始めれば、同社にとって厳しい時代が到来する可能性が考えられます。

 もちろんこのリスクの全部または一部は有価証券報告書に記載され、既に経営陣が認識し、対策されている事実です。

*ご注意いただきたいこと
 ・全ての情報はEDINETや公式ホームページといった公衆の縦覧に供されているものから取得しています。
 ・また選定企業において実際の社風までは調べておりませんので、面接をお受けになる際は必ず必ず必ずご確認を願います。
 ・最後に、この記事の筆者は紹介した企業とは一切の利害関係はありません。また、掲載時において株式の保有や検討といった事実もありません。

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