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今から始まる補聴器人生

10歳の時、小学校の聴力検査で引っ掛かり、あれよあれよと大きな病院へ紹介されて、結局のところ、原因が不明の左耳突発性感音性難聴と診断されました。
そんな10歳から時が経ち、これから始まる補聴器人生について、ちょっとお話してみます。

私の聴力について

まずは私の聴力検査の平均結果から。

直近の聴力検査結果

デシベル(dB)、ヘルツ(Hz)という言葉は聞いたことがあると思います。
デシベルが音の大きさ、ヘルツが音の高さを表します。
デシベルの数字が大きいほど音が大きく、ヘルツの数字が大きいほど音が高くなります。
通常、健常であれば殆どの高さの音を0デシベル〜25デシベルの範囲内で聞き取ることができます。
それが私の場合はどうなっているか、グラフで見てみましょう。

グラフで見ると差は歴然

右耳が平均で6デシベルに対し、左耳は平均113デシベルです。
想像しづらいかと思いますので、113デシベルがどれくらいの音の大きさかと言いますと、自動車のクラクションを近くで鳴らされた時くらいの大きさです。
120デシベルになりますと、飛行機のエンジンの近くくらいの大きさに相当します。
どちらにしろそんな音量にならなきゃ聞こえない耳なら、通常の会話なんて不可能なんですよね、聞こえやしません。
なので私は10歳から今に至るまで、右耳のみで生活をしてきました。

なぜ最初から補聴器をしなかったのか?

そこまで聞こえないなら、最初から補聴器をしておけば良かったのでは? というのは当然の疑問です。
ですが、補聴器にも限界があります。
聞こえない耳を補聴しても、聞こえないものは聞こえないのです。

ところで片耳難聴って意外と症状として多いのですけどご存知ですか?
私は今までで私以外に3人ほど存じています。
両耳が同時に聞こえづらくなるなら、違和感に気付いて耳鼻科に行って検査をして、早期であればステロイド治療で良くなることもあります。
ですが片耳が聞こえなくなるってなかなか気付かなくて、違和感に気付いた時には遅かったりするんです。
なので私の場合、医師からは治療も特になく、補聴器も使用しなくて良い、と判断されました。

「クロス補聴器」の存在を知る

前述の通り、補聴器を使用しなくて良いと判断された私ですが、なかなか生活には困ったものです。
左側からの音は一切聞こえないわけですから、声をかけられても気付けないことがあります。
また、通常は両耳で音を聞いて音の発生源を判断するため、私は音がどこから聞こえてきているのか、判断ができません。
自転車が後ろから走ってきても気付きません。
救急車のサイレンがどこから来るか分かりません。
そんな生活を続けてると諦めもついてくるわけですが、5年前の2018年、片耳難聴の人のためのクロス補聴器というものが存在することを知ります。
聞こえない方の音をクロス補聴器で拾い、聞こえる耳に通常の補聴器をつけて受信し、聞き取るというものです。
その時は「これだ!」と思いましたね。
すぐに取り扱っている店舗を探して、2週間ほどお試しをさせていただきました。
ですが試してみると、紙の擦れる音、大きなサイレン、突発的な大きな音、すべてが初めてで、煩さ過ぎたのです。
結局慣れることができず、その時は購入を断念しました。

再び試すと世界は変わった

一度諦めたけれど、憧れはずっとありました。
左側からの会話がきちんと聞こえて成り立ったらどれだけ良いだろう。
利き手の話になりますが、主人が左利き、私は右利きで、横並びに座る時、普通は私が右、主人が左の方が手が当たらなくて済みます。
ですがそれでは私が聞こえないため、逆に座っていました。
他にも歩く時や、真正面からの会話であっても、右耳を傾けて会話していました。

5年前と比べれば、今の技術は確実に進歩しています。
たまたま姉のご主人が補聴器の調整をしたりするお仕事をしていて、今の技術のものであればもしかしたら、と教えてくれました。
当時珍しかった電池式補聴器よりも充電式補聴器が普及していたりもして、何年か振りに聴力検査をしてオージオグラムを確認してもらい、いざ1週間、再びクロス補聴器のお試しへ。
世界が変わった感覚でした。
紙の擦れる音もサイレンも突発的な音も、そんなに気にならずに過ごせたのです。
1週間のお試しでしたが、3日目くらいからもう購入を決めていました。
そうして今から、私のクロス補聴器生活が始まったのです。

補聴器は高い、助成は……

補聴器生活が始まり、生活はだいぶ助かるようになりました。
ですが、補聴器って高いんです。
医療機器で精密機器なので、ピンキリですがそれなりにします。
でもそういうのって、助成があるんじゃないの?
私も調べました、役所など色んなホームページを見ました。
ですが、私には助成はありませんでした。
私は片耳難聴がありますが、障害者ではなく、健常者なのです。
聴覚障害者程度等級表の最低等級である6級は、以下のように定められています。

1 両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの
(40 センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
2 1側耳の聴力レベルが90デシベル以上、他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
神奈川県 第3 聴覚又は平衡機能の障害

私の場合、1側耳が90デシベル以上ですが、他側耳は50デシベル以下です。
なので私は、健常者の扱いなのです。
そうなれば勿論、補聴器の購入に際して助成はありません。
また、クロス補聴器に関しては家電製品という括りになるため、消費税もかかります。
(補聴器は医療機器なので、消費税はかかりません)
将来的に長く使うものと言えど、痛い出費ではありました。

補聴器と眼鏡は同じ

考えてみてください。
視力が悪くなってしまったら、眼科へ行って検査をして、必要であれば眼鏡を買うと思います。
聴力も同じなんです。
悪くなってしまったら、耳鼻科へ行って検査をして、必要であれば補聴器を買うんです。
私は助成がある場合の金額は知りませんが、補聴器と眼鏡で価格に大きな違いがあることは分かっています。
なので、難聴者であっても手を伸ばしにくいものであると思います。
少しでもお財布に優しいと嬉しいなぁ、なんて思います。笑

今から始まる補聴器人生

私は今から補聴器人生を始めます。
この文章をたまたま見つけた人が、同じように私と悩んでいたら、ちょっと考える材料になったら良いなと思います。
長くお付き合いいただき、ありがとうございました。

補聴器ケースをデコりました
シグニアの充電式補聴器
左耳が白(クロス補聴器)、右が黒(受信用補聴器)

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