ゴミ箱行きのつぶやき 1

最古の記憶は母の浮気現場である。正確には最古ではないかもしれない。

喧嘩する母と父。娘に対していい子にしてないと置いてっちゃうよ(家だと家出しちゃうよ)と言う母。母と遊びに行ったら知らない男同伴だった海。突然深夜にすごい音がして起きたら壁に穴が空いてたり、祖母宅へ遊びに行って帰ってきたら母が居なくなってたり。

時系列はよく分からないけどとりあえずクソみたいな思い出ばかりだ。

楽しい記憶はないわけでもないけど、自分の記憶として認識できるのはリストアップしたやつだけだ。

母は私たちが祖母宅に遊びに行っている間に男と駆け落ちしていた。帰っても誰もいないアパートの部屋は今でも少し動悸がするくらい怖かった。

そのあと私は母のことを忘れたらしい。いわゆる解離性記憶障害というやつだ。毎日泣いて、母を呼んで、ストレスで吐いた末に記憶を飛ばしたらしい。

当然私はその時のことを覚えてない。とりあえず祖母宅に預けられ、父は出張だらけで忙しかったからほとんど会わなくなった。

正直父というより親戚のおじさんくらいの感覚だ。

学校の行事は全て祖母が面倒を見てくれた。なんでおばあちゃんなの?って聞く人は不思議といなかったと記憶している。

すぐ噂の広がるど田舎出身なので何かしらの忖度はあったのかもしれない。あのクソガキの娘かと駄菓子屋のおじさんに言われる程度に父はやんちゃしてたらしいし、田舎の人間関係は狭いのだ。

自分だけなぜ祖母が来るのか。疑問に思わなかったことはないと思うけど当時の感情はよく覚えてない。

職場の1個上の女性と一緒に、私含めて遊びに行く頻度が上がっていったことに対する不快感の方がおそらく上だった。

小学校4年生の時だったと思う。突然再婚を告げられた。私は大混乱だ。
だってまだ、お母さん帰ってきてない。離婚したなんて聞いてない。あれ?お母さんなんていたっけ?といった具合だ。

それからというもの、夢見は悪く、幼少期のものと思われる記憶がフラッシュバックするようになってきた。
ついでに言うと父と再婚相手が明らか裸な状態で頬を寄せ合っている写真も見つけて死にたくなった。
私とは一緒に住まずに、再婚相手と住み、子供を作り、全く別の家庭としてはじまっていくのを眺めてなんとも言えない気持ちを抱いた。

昔よく言われた、あんたは橋の下から拾ってきたんだよ、という祖母の言葉が頭を過ぎるようになった。

当時の父は30歳。普通に結婚してもおかしくないのだ。むしろ私を19で作った方が早過ぎたのだ。

出て行った母の顔を思い出す。笑った顔は思い出せない。でもよく私を置いて家を出てった。最終的には戻って来なくなった。

父も再婚した。新しい母とも子供ができて、溺愛している。なんだか裏切られた気がしたし、自分はそんなに両親に構ってもらった記憶もないので新たな兄弟に対する嫉妬も全開だった。表には出さないようにしていたが表情には出てたかもしれない。

おそらくこの時から私は自分は捨てられた無価値なものだと言う考えが頭にこびりついて離れなくなった。
ついでに言うと友人に捨てられるのも怖くなり、すっかり顔色を読んで行動するタイプになっていた。

両親に振り回される娘の話はまだまだ続くのであった。いい加減にしてくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?