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方言の思い出

私が生まれながらの埼玉人だという事はここでもたまに書いている。ちなみに父親も母親も生まれながらの生涯埼玉人であるから、私は純粋培養の埼玉人である。私自身も今まで埼玉以外の場所に住んだ事がない。

埼玉は東京のお隣にある。話している言語も標準語だと思う。埼玉特有の言葉を無意識に話しているかもしれないが、それが明確にどれかというのは、自分でも分からない(他県民の方に指摘された事もないので)

方言に関する思い出がいくつかあるので、それを記していこうと思う。


方言は通じない

もうかなり昔、北海道を一人旅をしていた時に、今は廃線になっている稚内から旭川まで宗谷本線の鈍行列車に乗った(4時間半掛かった)

その時に、たまたま隣に座ったのが、同じく一人旅の男性だった。一人旅同士というのは、キッカケさえあれば、余程のコミュ障ではない限り、旅の開放感も手伝って話が弾む。長い道中、しばらくその男性と色々世間話をしていた。

しかし、私は途中である違和感を感じる。話し方がぎこちなくて、最初は緊張してるのかな?と思ったが、そうでもなさそうだった。

途中で、その理由を男性がカミングアウト的に話してくれたのだが、「俺、実は青森在住で、本当は津軽訛りが酷いんすよ。今、頑張って標準語で喋ろうとしてるんですけどね」との事で。

確かにたどたどしい頑張ってる感満載の標準語で、イントネーションも良く聞くと東北が滲み出ている。私が「いやいや、別に普段通り津軽訛りで話して下さいよ。疲れるでしょ?」って促すように言ったのだが、「多分、津軽訛りで話したら通じないっす」と笑って返された。

同じ日本語でしょ??って思ったんだけれど、数年後、津軽訛りでは無いが、秋田に旅行した際、電車の中でガチガチの秋田弁を話しているオバチャン2人の会話が全く分からなかった……。

東北の方って、話すテンポが異常に早い気がする。たまたまだったのだろうか。

言葉の壁は心の壁

昔、ネットで片思いしていた人がいて、チャットで盛り上がり、何故かその人と鹿児島旅行に行く事になった (付き合ってはいない)

彼は佐賀の人だったが、私と話す時はやはり頑なに標準語だった。前の津軽訛りの件があったので、九州訛りを話しても分からないと気を使っているんだろうなと思った。

そんな中、旅の途中で彼の会社から携帯に電話があり、その中で彼は「よかよか!」とか九州訛りを流れるように話して、喋るテンポも全然違う。明らかにリラックスして楽しそうに話しているのが良く分かった。

その言葉の使い分けを見て、私は生まれて初めて自分が埼玉人である事を恨んだ。私が埼玉人である限り、この九州男児の彼とは付き合えないんじゃないと思うほど、急に彼の前に大きな壁があるのを感じた。

所詮、標準語の私は余所者だと思われてるんだろうなと。同じ九州人だったら、もっと彼もリラックスして楽しく話せたのかもしれない。

この旅が終わって、案の定、あっさりとフラれた。もちろん、言葉以外の要因は色々あったのだろうけれど。

関西弁は準標準語?

関西方面は、ネトゲ関係の友達が多かった事から、良くオフ会などで訪れる機会があった。

今までの経験から思うのは、関西の人達は、こちらに気を使って標準語を話してくれた他の地域の人達と違い、ほぼ関西訛りを崩さない(あまりにも標準語とかけ離れている表現はフォローしてくれるけれど)

関西弁というのは、標準語の次にテレビの中で良く聞く方言ではある (関西の中でも色々違うんだろうけれど) 特にお笑い芸人さんの多くの人はテレビの中で関西弁を喋っているので、観ているこちらも耳が完全に覚えている。

私はキレると、何故かエセ関西弁になる (決して口には出さないが)「なんでやねん、ボケが!」とか「~しとるやんけ! アホちゃうか」とか。関西漫才のツッコミを散々観て聴いているせいなのか。関西弁は感染力が強い。

最後に

私は長年、全国の様々な地域を旅してきた。方言を使う方が標準語を使ってくれるから、言葉に困った事はないが、逆にそういう標準語と方言をまるでバイリンガルのように操っている地方の人達に憧れを抱く。

私も死ぬまでに一度は埼玉以外の場所に住んでみたいとは思っているが、きっと、このまま標準語しか操れないまま埼玉に骨を埋めるんだろうなとは思っている。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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