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創作大賞用小説 序章集

創作大賞の締め切りまであと丁度1か月となった。

全然進んでいない!!!

散々呟いているが、仕事のせいもあって、脳内で案がグルグル回って止まっている状況。脳内でグルグル回るとどんどん案が派生してしまう。

そんな中、「ピクミン4」を買ってしまい、ハマリかけているが、ダメダメ取り合えず何か書かないと。そう思いswitchを自宅に置いてネカフェに籠っている。

あと1か月では到底間に合いそうにない長編が3つ。序章だけ書けてしまったので載せてしまう(何で1個に絞らないんだよ)

どれも近未来SFっぽい話。2つシリアスで1つはコメディ。


案1

もう、人類は決して元には戻れない。

街を歩く人の群れは、苦しそうにか細く呻きながら助けを求めて彷徨う。しかし、数十分後には溢れていた人の波が一斉に倒れて、辺りは何事もなかったように静寂が訪れる。そして、再び街に助けを乞う人々が現れて彷徨う。ここ数か月、それが昼夜問わず絶え間なく繰り返されていた。

「今頃アイツは、警告を無視した私達をあざ笑っているだろう。まさか、本当に……」

男は独り言を呟きながら、『地獄絵図』としか表現出来ない光景をカーテンの隙間から見た。しかし、永久に続くと思えたその光景が、それを境に1時間、2時間待ってみても街に先ほどのような人の群れは現れなかった。

「もしかして、さっきのが最後……か?」

街どころか、世界中の何処にも人間はいないのではないだろうか。

彼はそんな恐ろしい推論を立てながら、カーテンを静かに閉め切った。頭がクラクラと眩暈がして思わず部屋の隅で蹲った。

「どうして……どうしてこんな事に……!」

何十回、いや何百回唱えた言葉を繰り返す。彼は若い頃にハマり込んだ映画のラストを思い出した。

「……これが、回避不可能の最低最悪のバッドエンドってやつか。まさか現実で起こるとはな」

男の意識は絶望で遠のき、世界は完全なる静寂に包まれていった……訳ではなかった。

「こんなに呆気なく滅んじゃったらつまんないよね? 最後まで生き残った君に一度だけチャンスを与えてあげる。君は上手く出来るかな」

男は既に意識が薄らいでいたので、その姿はハッキリとは見えなかったが、人を食ったような特徴的な口調。何処かで聞き覚えがある声だと思った。

「まさか、お前は30年前の……」


案2

「ハナモリ大聖堂」と呼ばれる場所の地下奥深く、1人の少女が高熱にうなされて臥せっていた。

たった1人の少女の為に宛がわれた部屋とは思えないくらいに広い部屋。そして、その部屋に相応しい大きな天蓋ベッドの傍らには少女の母親と思われる女と、父親と思われる男が付き添っていた。

「まさか、この子がよりによって病を患ってしまうとは……」

母親の口から紡ぎ出された絶望の言葉だが、その割には表情に哀しみは見えなかった。父も頷くだけで後の言葉を続けなかった。

「この事態に対して、「哀しさ」という感情を持てなくなった私はもう人間ではないという事だ」

初めて父親が口を開く。

「今更、何を言う。ハナモリのリーダーとして世界中の数多の人間を駆逐して、人間の身体を自ら捨て去ったお前が言うべき言葉ではないな。あえていうなら「因果応報」だ」

父親は、最近になって面白半分で覚えた大昔の四文字熟語を自嘲気味に母親ダリアに向かって投げかけた。

「……」

ダリアは二の句が続かない。人間の身体を捨てて以来、「罪の意識」というものが概念としては理解出来たが、それは「罪悪感」には発展しなかった。

「サムライ、貴方が人間の身体を捨てなかった理由が理解出来なかった。でも、こうなってくると貴方の方が正解だったのね」

「ふん、でもそれに気が付くだけ、まだお前は「人間」の端くれとも言えるがな」

サムライと呼ばれた父親が苦笑いを浮かべる。しかし、ダリアは今、この議論を長引かせる気はないと首を振った。

「それよりも……このままこの子を、ヴィオラを死なせたくない。いくら人間を捨てた私でも我が子の死を看過する訳にはいかない」

「それは当然。病への対処法を見つけるのが先だ。まだ少しの猶予はありそうだ。俺達の今後の身の振り方はまた話そう」

ダリアは頷いた。2人は、それぞれ愛しい我が子の苦しむ顔を見つめて、その場を従者に任せて部屋を後にした。


案3

あり触れた夢を敢えて声高らかに叫ぼう。

将来は可愛い嫁を見つけて子供を作る。そして、無理かもしれないがタワマンかなんかに優雅に住んじゃって、幸せな生活を送るんだ。

今は残念ながら彼女のかの字もないけれど。

現実は二次元のように甘くない。そんな事は高校生の僕にだって分かる。でも、夢に思うだけなら誰にも迷惑を掛けないし無害だ。

僕の大好きなVチューバーも言っていたじゃないか、「デカイ夢をぶち立てる人に悪い人はいない」って。「そーかー? デカイ夢をぶち立てる奴ほど胡散臭いと思う」って友達は言っていたけれど気にしない。

そもそも、結婚してタワマンに住む程度が「デカイ夢」かと言われると、中途半端過ぎて自信がない。

そんな事を考えながら、僕はいつものようにゴロゴロ寝ながらタブレットで動画を観ていた。その時に軽く眩暈を起こした感覚が襲ってきた。少し吐き気もする。

しかし、それは数秒の事でいきなり僕の目の前はブラックアウトした……。

「……あ、きたきた。サカモトリョウマ様」

微睡みの中で、うっすらとそんな女の子の可愛い声が聞こえた。起きて確認したかったが、身体はダル重くて目もまともに開けられない。

「あれ、おかしいな。サカモトリョウマってこんな服装だっけ。なあイサム、おかしくないか?」

「ちょっと待て。今、確認すっから」

2人の男の焦ったような声が聞こえた。僕の目はまだ開いてくれない。

「……おおい! オトメ、お前時代設定間違えたろ?」

「ええええ!?」

オトメと呼ばれた恐らく最初に聞こえた可愛い声の女の子の驚いた声が轟いた。

「同じサカモトリョウマでも、コイツは2024年在住だ。172年ミスるってどんなミスだよ。100年とかなら分かるがキリが悪すぎる」

「まあまあ、イサム。そんなに怒るなって。ダメなら突き返せば済む話だし」

「一往復分のタイムスリップ代、いくらだと思っているんだ? 上に怒られるの俺なんだからな!」

「イサムさん、ごめんなさい……」

「オトメちゃん、今度からは気を付けてね。でも、マネージャーへの報告は頼んだ。君が言えば何とかなる」

「はーい」

「ソウジ、お前はマネージャー共々、オトメに甘すぎる」

僕は既に目を開けられる状態にはなっていたが、何となくバツが悪くなって寝た振りをした。話の流れからどうやら同姓同名の偉人「坂本龍馬」と間違えられて未来?にタイムスリップで呼び寄せられているらしいが、そんなの夢に決まっている。

「おい、この似非サカモトリョウマどうする?」

「また一回分費用掛けるの面倒だな。いっそ消しちゃう?」

僕は「消す」という単語が耳に張り付いて、慌てて目を開いて起き上がった。


書くのが楽しそうだなと思うのは3のコメディだけれど、話が膨らみそうなのは2かもしれない。どちらにせよ、あと一か月では間に合わない(最低文字数2万だし……)もしかしたら供養になるかもしれないが、ここに載せておく。もしどれか続きが読みたいとありがたいご意見があったらコメントでお知らせ下さると嬉しいです。モチベが上がって、創作大賞には間に合わなくても続きを書くかも。

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

*あくまでも序章だけで規定を満たしていないので、「創作大賞2024」の公式タグは付けません(悲しい)

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