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『30分間』のはなし

30分間って短いな。一日8時間寝るとして、30分間は一日のうちに32回やってくる。年間でいえば11680回もやってくる計算だ。そんなひっきりなしにやってくる『30分間』というものを僕は気にもせずに過ごしている。

小さなころよく観たアニメ番組はだいたい30分枠だったから、子供時代は30分間が身近な時間の単位だった。アニメの1時間スペシャルは1時間じゃなく、「30分間の2回分」として認識していたのをふと思い出した。この感覚、狭すぎて伝わらない気がするなあ。

そんな30分間だが、月並みだけど、やっぱり昔はだいぶ長く感じた気がする。昔のアニメ一本は今の長編映画くらいの感覚だった。だが、大人になると時間が経つのが早いこと早いこと。

オギャーとこの世に生を受けてから、もうあっという間に30歳だ。30歳になるまでに、実に525600回の30分間を経験したことになる。もう途方もない数だ。僕はそんなたくさんの30分間の連続でできている。

齢をかさねるごとに足が速くなる30分間だが、どうやらゆっくりにする方法もあるらしい。何かの本で読んだのだけど、新たな刺激を取り入れ、知らないことを経験することで時間の流れをゆっくり感じられるとのことだ。なるほどたしかに、旅行って行きより帰りの方が早く感じられるよなあ。まあ一理ありそうだ。

というわけで、今日はタイマーを使って30分間に収まるようにこのエッセイを書いている。こんな短い文章の量でもわりとギリギリだ。タイマーを見るとあと10分。推敲もろくにしてない。まあしょうがない。30分間を告げようと刻々と動いているタイマーを見ていると、後ろを振り返る時間もない。

あと8分。こうして言葉を違和感なく、なんとか人様に読んでもらえるようにエッセイを書こうとしていると、いつも使わない脳みそをつかっているのが自分でも感じられる。新鮮な感じだ。このペースを続ければ年間11680本ものエッセイが作成できるってことだ。

いや、ただでさえ酷いクオリティが目も当てられないエッセイがさらに酷くなるだけだな。そもそもネタもそんな11680本もない。

でもなんだか、30分間の大切さを知ることができて良い機会になった気がする。暦としても師走が近づいてきたし、年末にむけて世間はもっと忙しくなってくるだろう。そんなときだからこそ、短い短い30分間というものに真剣に向き合ってみてはいかがだろうか。強引に文章を〆たところであと3分。残りは文章の推敲に充てようかな。それでは、3分後に会いましょう。

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