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花を持ち帰る。。。だと?!

30年ほど前、元々奈良人だった私が名古屋に引っ越してきて、驚いたことがいろいろある。

トーストに小倉あんを乗せて食べることや、味噌煮込みうどんが硬いこと。冷たいうどんのことを「ころうどん」ということ。「レイコー」(アイスコーヒーのこと)が、通じないこと、等々。

その中でも一番驚いたのが、「開店祝いの花を持ち帰ること」だった。

当時大阪でOLしていた私は、結婚で名古屋に移住するにあたり、転勤させてもらった。名古屋の事務所の女性は、みんな美人さんだった。

そんな美人さんとお昼、ランチに出たときのこと。新店舗が開業するらしく、店の前にはステキな開店祝いの花が飾られていた。そこで、驚く光景を目にする。
その開店祝いに、通りを歩いていた人々が群がって、花を抜いて持っていくのだ。

「え?」と思った。どゆこと?
そしたら、その美人さんたちが、「もらいに行こ🎵」と、同じく花を抜きに行ってしまった。

「夏目も行こ!」と誘ってくれたのだが、いやいやいや、無理でしょ、あかんでしょ。それ、窃盗じゃないの???

「えー。こういうお祝いの花は、ちゃんと持って帰ってあげんと。」と言われ、ああ、名古屋の風習なんだ、と頭で理解できても私は花を取ることができなかった。

そうなのだ。名古屋では「開店祝いの花が全部なくなると、その店は繁盛する」という謂れがあるのだ。

名古屋に住んで30年。すっかり名古屋人の私は、今はもちろん、開店祝いの花を見かけたら持って帰る。だが、最近の若い子たちは「なんか、嫌」と、持っていかないらしい。時代だなぁ。

先日、お花のお稽古に行ったら、その道中に新しい「鰻やさん」がオープンしていた。
「お?花はまだあるか?」と見てみたけど、すっかりなくなっていた。


この風習はまだまだ健在だ。

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