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学ランと青春

中学校の入学式も終わって、この間までランドセルを背負っていた子どもたちが初めて「制服」に身を包んでいる。
学区の中学生たちがリュックを背負って通学している時間が、私の出勤時間と重なるため、そんな姿をよく見かける。

入学式が終わって最初の登校日である昨日の月曜日も、そんな風景をなんとなく見ながら、車を運転していた。が、なんだか違和感。
あれ? ブレザー姿の子がちらほら。っていうか、「先月まで小学生でした」という感じの子たちは、ブレザー姿だ。制服が変わったんだろうか? きっとそうだな。

店に来たお客さんに聞いてみたら
「そうなのよ。変わったのよ。女子もスカートではなくてパンツを選べるようにっていう配慮みたい」
とのこと。なるほど、「多様性」か。時代だなぁ。では、男子もスカートを選べるのだろうか?

ブレザーって、なんだか「洗練された」というイメージがある。学ラン・セーラー服とは、ちょっと違って、都会っぽい、というか。

その中学校は、うちの娘と息子も卒業しているので、
「中学校、制服ブレザーに変わったよ」
と、LINEで報告してみた。

娘からは
「ダイバーシティだねぇ」
と返ってきた。
息子からは
「学ラン、かっこいいのにねぇ。残念」
と帰ってきた。

全くだ。私も学生たちの学ラン姿は、青春や思春期の象徴のように感じていたので、残念だ、と感じるのだ。

きっちりと詰襟のホックを留めている感じも、少し気崩している感じも、どえらく着崩していても、何だか青春っぽくて好き。その時期特有の雰囲気がダダ漏れている感じ。

でも、確かに多様性の時代、「男子はこれ! 女子はこれ!」と決めつけるのはダメなのかもしれないなぁ。学ランとかセーラー服って、無くなっていく運命なんだろうか。昭和おばちゃんには、少し寂しい。(ちなみに私自身は中高ともにブレザーの制服だったので、セーラー服にはすごい憧れがある)

平成の始まりごろの歌で、大好きなものがある。尾崎亜美さんの「walking in the rain」だ。そのころのダウンタウンの番組(「夢で逢えたら」だったか「ガキ使」だったか……)でゲスト出演していた彼女が
「ダウンタウンをイメージして作った」
と言っていたという、定かではない記憶がある。


学生たちが雨の放課後、帰宅したり部活に行ったりただしゃべっていたり、という日常を歌った曲だ。ガヤガヤしているはずなのに、静かなピアノの演奏と美しい歌声で、まるで無声映画を見ているかのような気持ちにさせてくれる。その、空気感というか、高校生独特の雰囲気というか、そういうのがビンビン伝わってきて、一度聴いて大好きになった。しばらく、よく歌っていたがそのうち忘れてしまっていた。
そんな曲を急に思い出して、今朝は車の中で聴きながら出勤した。

確かに自分にもあった、遠い昔の感情を、少し揺さぶられた。


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