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若橋家・借家時代の庭 VS 新居の庭 消費行動考察(後編)

こんにちは! 若橋未央です。
私たちは一家4人、夫の故郷・宮崎に注文住宅を建てて、2022年12月に移住を完了しております。

借家時代の庭、新居の庭へのお金のかけかたと満足度を比べて、自分たちの消費行動の違いを考える今回の短期連続記事。
前回(前編)は、借家の庭の開拓史とお値段を紹介しました。
今回は後編、新居の庭の紹介と、お値段・満足度考察です。

名著から学んだ「建物配置」「軒下」「下屋」「中間領域」


庭つき借家の模様替えやDIYを模索する過程で、私たちは数多くの書籍を読みました。
その中でとくに気に入って、ずっと手元に持っているのがこちらの3冊。
建築関係の一般書を多く手掛けるエクスナレッジ社のベストセラー、解剖図鑑シリーズです。

住まいの解剖図鑑』(増田奏 2009) ☆もちろん良書!
片付けの解剖図鑑』(鈴木信弘 2013) ★賃貸・マンションでも役立つ!
間取りの方程式』(飯塚豊 2014) ★注文住宅なら、おススメNO1!

これらの書籍を読みつつ、借家・庭のDIYをしていると、つくづく思いました。

「最初の敷地内ゾーニングが、肝心だ!!!」

ぶっちゃけ、庭となるスペースに、芝を貼っても、木を植えても、抜いても、いいんです。私たちが借家の庭をDIYしたように。

でも、最初の敷地内のゾーニング…どこが駐車場で、庭で、建物で、玄関までのアプローチになるのかは、最初の新築時にほぼ決まります
新築時だけ決められるボーナスです。
最初に使いにくい配置にしてしまったら、後からの取り返しは難しい。
使いやすい配置になれば家づくり成功は決まったも同然。

私たちは、敷地内の庭と家屋の配置、軒下・中間領域の充実を、家づくりの優先事項としました(新品カーポートや、家の無垢床や素敵なリビング階段よりも、です)。

若橋家・新居の敷地ゾーニング

ここからは、実際にどう敷地をゾーニングしたかご紹介していきます。

『間取りの方程式』(飯塚豊 2014)で、私たちの心に刺さっている名言があります。

1にクルマ、2に家屋、34がなくて、5に家屋
(中略)戸建住宅の三点セット「建物、駐車場、庭」のうち、駐車場と庭の配置が決まらければ、建物の配置も決まらない

『間取りの方程式』(飯塚豊 2014) ※漢数字は算用数字に変えています

これをもとに要望を出し、打ち合わせしました。
ゾーニングが希望通りにならなかった第1回目のプランの時は、事態を挽回すべく、夫は『間取りの方程式』を抱えて、東京から宮崎に飛び、工務店さんと現地打ち合わせしていました…挽回できてよかったです。

1にクルマ

若橋家の敷地、約85坪。カーポートの再利用が寄与条件

まず1にクルマです。若橋家の敷地は北西角地の西道路、かつ北から南へ上がる坂道になっています。
既存カーポートが南西にあり、それを再利用しようと考えたこともあって、クルマの位置は南西になりました。
高低差を少し削り、駐車場部分を増やした、最大4台並列駐車できる計画です。
といっても、カーポートの屋根下には、車約1/2台分のスペースを使って、家族4人分の自転車を置いています。
複数の来客で車をフル台数停めたいときは、後述するテラス屋根・ストックヤードに自転車を動かせばOKです。

2に庭木

南の家の建て替えを視野に入れて、庭は広めです

2に庭木です。85坪あるので平屋も可能な土地ですが、あえて南庭を広めに、隣家から5mほどとりました。
2023年現在、南隣の家は築40年ほどの平屋です。この家が次に2階建てに建て替えになると、高低差1.5mほどを足して、2.5階分の建物の陰ができます。
夫婦ともフルリモートの在宅勤務ですし、ジメジメしない、からっとした暮らしがいいなと思い、採光・通風の庭エリアを広めにとりました。
(北東側の眺望がよかったので、小さな2階を設けたかった=すなわち平屋でなくていい、という理由もあります)

そして、庭を、眺めてほっとする緑の潤いある空間にしたい、庭に出た時に夏の暑さを和らげたいという要望から、天然芝(手入れが楽と評判のTM9)主体に決めました。
天然芝も管理が大変とは言いますが、スプリンクラーなどの自動散水用品もありますし、芝刈りロボット(ルンバ的なもの)も、海外では普及しつつあります。
さらに、芝はいざとなったら終了・さらに手入れが要らない庭へのリフォームが容易です(植木は大きくなると伐根がたいへんですし、砂利やコンクリは重量物で撤去がたいへん)。
天然芝は挑戦する価値があるだろうと判断しました。

3が「軒下」!

『間取りの方程式』では「3・4はなくて」、と流れていますが、若橋家ではここに「3は軒下」をいれました。

家と庭を気軽に出入りする軒下=中間領域がほしい!

「軒下」のお手本、実は、この土地を買ったときに建っていた古家のテラス屋根です。
この古屋に、奥行約2.5mある、大きなテラス屋根がついていました。
土地を見に行った際、このテラス屋根の下の柔らかい日だまりが、とても気持ちよくて…夫婦ともに「これを再現すればいいじゃん!」と一致しました
そして、まさに現地の気候条件で約30年存在していた実績があるので、借家で「数年しかもたないな」と実感したオーニングより、失敗確率は極めて低く、手堅い。採用!
サイズもほぼそのまま、マネすることにしました。

2020年ころ、不動産サイトのキャプチャより。前オーナーさんの家屋。大きなテラス屋根

このテラス屋根の下に、縁側サイズのウッドデッキを設ける計画にしました(屋根のほうがデッキより奥行が大きいということ。ちょっと雨が吹き込んでもデッキがぬれず、半屋外で過ごせます)

軒下は、雨や日差しをさえぎる軒の出が、半屋外空間独特の空気感でわれわれを包み込んでくれます。内でも外でもない曖昧さが、柔らかな緩衝地帯をつくるのです。

間取りの方程式』(飯塚豊 2014)


4が「下屋」!

若橋家が追加した4、下屋です。
家のファサード面(南西)から見えない東側に、下屋のためのスペースを先に確保しました。

下屋
母屋に付属してかける屋根、あるいは、その下の空間を下屋といいます。
ここの床も、たいてい土足OKのコンクリート製です。

私たちが片づけたいのは、いつも清潔なモノとは限りません。(中略)これらは外でも内でもない、どっちつかずの場所に置いておきたくなるものです。

片付けの解剖図鑑』(鈴木信弘 2013) 
下屋スペースを、家のサイズ・間取りを考える前に「先に」確保する

駐車場→南の軒下→東の下屋(ストックヤード)をつなげて、無駄なく進める「サーフ導線」を考え、導線上は、土・砂利ではなく、土間コンを最初から敷いてしまおうと決めました。
借家7年の庭経験から、「通路は土間コンにして後悔なし」と自信をもって言えます。コンクリートなら掃き掃除・洗い掃除、かんたんで自在です。
砂利も土よりはいいですが、落ち葉はとりにくいし、砂利汚れるし、減るし、土間コンに比べると、どうしてもイライラがうまれます。予算が確保できるなら土間コン一択。

なお、2023年時点では、ベビーカー、アウトドア用品、自転車などのために、玄関から続く「土間」、よく言われる呼び名だと「シューズクローク」を設けて収納する間取りが流行っています。

土間も魅力的で『片付けの解剖図鑑』にも出てきます。
しかし、夫がサーフ用品を日光で乾かしながら収納したいという意向があり、私たちは、屋外の下屋を選びました。
家の基礎の外、断熱・気密ラインの外なので、土間より割安でもあります。

そして、この下屋も、実は前オーナーさんの古屋がお手本です。
家屋の東側に、ポリカーボネートの下屋がありました。

2021年、設計プランのために訪れた現地で、夫撮影。
台所の小さな勝手口から、コンクリ敷きの下屋に降りられた。

夫はサーフボードの実物を前オーナーさんの下屋において、「これだな」と確信していました。実際の敷地に実物があるって、日射までイメージが具体化してありがたいものです。

2021年、設計プランのために訪れた現地で、古屋の下屋を夫が撮影。
右手先に、南のテラス屋根が見える。

新居では、同じ東側に、少し北に拡張しながら、昔でいう下屋、今でいう商品名ストックヤード」用のスペースをとりました。
東隣の家は、私たちより1年前に建て替えられた平屋なので、向こう30年は、東からポリカ屋根を通して日差しがさんさんと降り注ぎます。物干しにばっちりです。

5が家屋!

1~4を経て、5として、残ったスペースに家屋を配置します。
実際には、5を考えながら、少し1~4に行ったり戻ったりもしましたが、敷地利用のバランス優先で家屋配置を決めたのだから、その範囲で家屋の大きさ・間取りをおさめる!!!という確固たる決意で、間取りの打ち合わせをしました。

家屋の大きさは、敷地に対してわりとコンパクトめに決まりました

完成した敷地、外構

こちらが、完成した敷地図です。

若橋邸 敷地図&1階 松山良太・画(kindleではフルカラー予定!)


テラス屋根と軒下空間

こちらが、実際の若橋家・大型テラス屋根。
「桁ずらし」で、テラス屋根の柱を450mm建物に近づけたので、柱がサーフ導線の邪魔にならず、通りやすくなっています。

南側のサーフ導線。コンクリート敷きで、移動にストレスなし。2023年5月撮影写真を加工


広めに打った土間コンクリートで、サーフボードの搬入もらくらく。
なお、デッキは縁側的なベンチサイズにとどめ、コンクリート部分を多用途に使えるようにしています。
サーフボードの手入れ(お湯も出る混合栓ハンドシャワーあり)、子どものなわとび、DIYの作業場、自転車臨時置き場など。
夏は、このテラス屋根の天井に中からシェードを貼って、より日射カットする予定。直接雨風にさらされないので、シェードの傷みは少ないと見込んでいます。

ストックヤード


こちらは完成したストックヤード。

東側のストックヤード。コンクリート敷き。2023年5月撮影写真を加工

サーフ用品を車から降ろす→サーフ導線でテラス屋根下へ→ハンドシャワーで水洗い→ストックヤードにサーフボードを立てかけ、物干しにウェットスーツを吊るす

これで、濡れたサーフ用品を乾かしながら、そのまま収納が完了です。
その他、DIY用品や資源ごみの一時置き、園芸用品などを収納しています。
(まだ棚類がそろっていませんが、約9畳あるので余裕です)

塀塗り&芝生の庭

庭の芝生の奥にある塀は、南隣家の土留めブロックです。
前のオーナーさんは、隣家の許可を得て塗装していたとのこと。
その前例にならって、私たちも許可をとり、こちらの費用全負担で塗りなおしさせてもらいました(ついでに、ひび割れ補修もしました)。

デッキ横から、南西の庭を見る。2023年5月撮影写真を加工

モルタル塗りでブロックの模様を完全に消し、ボンタイル塗装をしたので、ブロック感はまったくわからなくなりました。

陽の当たり具合、芝の育ち具合を見て、今後数年かけ、芝の一部を植栽に変えていく予定です。

この塗りなおした塀と天然芝で、庭の雰囲気が一変、ちょっとリッチな雰囲気になりました。

夫が朝から「みおちゃん、いい庭ですよ」と芝生にスプリンクラーをセットし、夕暮れに「みおちゃん、いい庭ですよ」とビールを飲んでいる。
子ども達が、朝に夕に、庭ではしゃいで駆け回っている。
それをテラス屋根の下、軒下のやわらかい中間領域で眺めるのが、私の至福の時間です。
(しかも、フルリモートワークで家にいる時間が長いので、至福を長く、頻度高く味わえます。これは人生の豊かな時間だ)

新居の庭にかけたお値段と、満足度


さて、前回(前編)で、借家の庭に、7年で約25万円かけたというお話をしました。
この新居の庭には、いくらお金をかけたでしょうか…
借家と条件をそろえて比較するため、拡張した駐車場やストックヤードはいったんのぞき、「テラス屋根とデッキ」「芝」「芝の奥の塀」を計算してみます。

テラス屋根下の土間コンクリート 約150,000円
テラス屋根 234,000円
樹脂デッキ 85,745円
天然芝(TM9)・芝貼り 191,000円
庭のブロック塀・モルタル&塗装 134,390円
合計 795,135円(税込で約874,648円)
 ※テラス屋根に追加する天井シェードは入れていない

わお、90万円弱。3.5倍はしますね!

でも…「ああ、新居の庭に、こんなにお金をかけてしまった(新築ハイだったぜ)」という後悔は、夫も私も、全然起きていません。
入居3か月現在、大満足です。

借家の庭は、短期(せいぜい3年)回収できる予算で、部分的に改善していくものでした。
大家さんは「好きにしていいわよ」と言ってくれましたが、やはり大家さんの家・敷地ですから、少々の遠慮もありました。
それに、仮に思い切ってお金を投下し、大がかりな工事をしても(業者さんを入れて塀をリッチに見栄えよく塗るなど)、それは大家さんのものになります。
退去したら、自分達には残りません。

新居の庭は、自分達の身の丈で決めた総額予算に収まれば、15年以上の長期を見通したお金のかけかたをしてもよいという、自由度がありました。
外構の見栄えがよくなることは、将来想定する売却や貸し出しのときに、多少なりとも有利に働きます=自分達の資産価値をあげることにもなります

なにより…お金の損得、計算以上に…根本的な敷地のゾーニングから、自分達の住環境を自分達で決める、それを日々味わうという、快感、満足感がありました。
満足、幸せを感じているのです

無理ない予算の中でなら(そして最後適切に処分できる見込みがあるなら)、自分の幸せにお金を使い、モノを所有することは、人生で価値あることだ!と、新居の庭を通じて、わかった気がします。

私はゴリゴリの賃貸住まい派だったのに…、違う世界に来てしまったものです笑。でも、足を踏み入れて、よかったです。
人生の、新たな満足度の世界、ステージを見つけました。

↓参考:こちらの全4回の記事で、「15年後に手放す想定の注文住宅」について書いています。

さらにパワーアップするkindle本にご期待ください

ここまで、お読みいただきありがとうございました。
今回の前後編も試作品のようなもので、このあとさらに加筆・改良を行い、2023年秋までに、若橋家の家づくり記録をkindle本にまとめようと考えています。

興味をもっていただけましたら、そちらもぜひご覧ください。

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