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約束を守れない人

約束は、なんのためにするのか。
そんなこと、子どもでもわかる。
約束は、相手との信頼関係のもとに成り立つもの。
約束は、守られるべきだ。
誰もがそう思うはず。

ところが、そうじゃなかった。


私の夫は、口先だけで生きているような人間だ。
約束を守れない。
その時の気分で発言する。
言った言葉の責任が取れない。

昨年の秋。
色々あって、私はあと一歩で子どもたちと家を飛び出そうとしたのだけれど。
夫が「そんなつもりじゃなかった」と、涙ながらに訴える言葉に、思いとどまった。

それまで『離婚』の二文字が日常的に飛び交っており、物も拳もバンバン宙を舞っていたが、静寂に帰した。
私が望むのは『平穏』ただそれだけだ。
平穏は、訪れた。
ただ、すぐに破られた。

1ヶ月も経つと、『離婚』の二文字は復活。
呆れて二の句も継げない私に、夫はその時の気分だけで、不満やらなんやらをぶちまけまくった。
その度に、私と子どもがどれだけ傷つくのか。
「またか」と、心の奥底でため息をつく。
心が真芯から冷えていく。

私は、思った。
「同じ轍は踏むまい」。

つまり、もう彼を許すことはしない。
それから、考えた。
結婚生活も、15年ほど。
私だって、それなりに学習している。
そして、ある仮説が立った。

それについて、本人に聞いてみた。

ーあなたは、気分でモノを言うよね。約束を守ろうとしないよね。

「気分だけど、ウソじゃない。その時は、本当にそう思ってるんだもん」

ー「もう、離婚するとか言わない」って、約束したよね。でも、何回も「離婚する」って言ってるよね。子どもの前でも、言ってるよね。なんで?

「だって、その時は本当にそう思うから。別にいいじゃん、結果的に離婚してないんだから」

ーあなたのその言葉で、私と子どもがどれだけ振り回されてるか、わかる?どれだけ傷ついてるか、わかる?

「だって、その時はそう思ったの!」

ーどうして、大切な約束を守れないの?

「仕方ないじゃん。人間ってそういうものでしょ?」

ーそんな事言う人間、ちっとも信用できないよ。そんな大切な約束を守れない人、父親としていてほしくないよ。

「俺が最低みたいじゃん!」

ー最低だよ…

夫の中では、約束は気分で違えてもいいもの。
その時の気分が最優先、ということらしい。

試しに、こんな質問もしてみた。


ーじゃあさ、例えば「明日は10時頃に起きようね」と、約束していて。そのときになってみて、やっぱり7時に起きたくなっちゃったら、勝手に7時に起きてきて「朝ごはんが無い!なんでだ!!」って、怒るよね?

「怒るね」

ーそれは、自分勝手じゃないの?

「だって、食べたいときに朝ごはんがないのが悪くない?」

予想できた答えではあるものの、私には理解不能だった。
勝手に起きるまでは、別に構わない。
勝手に約束を違えておいて「朝ごはんが無い!」と言い出すのは、彼の身勝手ではないのか。

ただ、はっきりわかった。
彼の行動原理は全部それなんだな、と。
そうしたら、今まで私が大切に守ってきたものが、にわかに霞んでいった。
私が彼に対して誠実に振る舞っても、彼に「父親らしい振る舞い」を求めても、すべて無駄だったのだ。

そのことを追求しようとすると、面倒な話を避けるために話を変えようとヘラヘラする彼。
私は完全に失望した。

そして、身をもって知った。
夫は、約束を守れない。
どんなに大切なことでも、家族にとって優先しなければいけないことでも、気分次第で台無しにする。
そういう人なのだ。

約束を守れない人に、もう何一つ期待はするまい。
そう思うと、少し肩の荷が下りた。
この先、私は夫に何一つ期待しない。

もし、あなたの心に少しでも安らぎや幸福感が戻ってきたのなら、幸いです。 私はいつでもにここいます。