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冬が終わる

もうすぐ、冬が終わる。



雪が溶けて、日差しが暖かくなってくる。


私たちにとってここ暫くの冬はとても辛い日々だった。

どれだけ祈っても

その祈った希望に手を伸ばしても


遠のくばかりで、届かなかった。


お別れ会の次の日、色々な思いと効きすぎた暖房の蒸し暑さで全く眠れなかった私は、特に観光もせず指定の時間のバスに乗ってさっさと帰った。
窓から見える景色は、時間が過ぎていくのを感じるくらいあっという間に暗くなっていった。

まるで抜け殻のような気分だった。

家に着いて、改めて笠さんがもうこの世のどこにもいなくなってしまったという事実に胸が酷く痛くなった。

泣き声も、夜の闇に溶けていく

嫌という程、時間が速く過ぎていく



怖い



貴方の笑顔も



優しく美しい声も



空に消えた



鮮やかなピンク色


柔らかな微笑み





全て空に消えた





冬に生まれた笠さん

冬に生まれて、冬に空の向こうへ行って

冬に別れて、冬が終わる


あの時、献花台の前でサヨナラと言えなかった
まだどこかで生きていると信じたかったからだ

だが、現実は残酷だ
それでも強制的に別れを告げられる

あの日から私は、暗い闇の中を歩いている
溶けてしまいそうな闇、まるで雪のよう
ふと気を抜いたら、この闇と共に私自身も溶けてしまいそう

ごめんね笠さん、私ココロがとっても弱いからまだ立ち直れていないんだ
でも、アナタがくれた思い出や記憶は絶対に溶けさせないから

温かい笑顔

優しい歌声

絶対に溶けないはず







もうすぐ、春がくる。

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