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民俗学と民族学って何が違うの?

「みんぞく」という単語を聞くと、「民族」の漢字をあてはめる人が多いのではないだろうか。

では民族とは何なのか。

それは、特定の文化・習慣を共有し同族意識を共有する集団であると言える。

そして、民族学は様々な学派はあるものの、世界の諸民族の文化や社会を研究する学問である。この学問は、西欧を中心にした偏見を持つ西洋哲学(哲学者サルトルの実存主義)に対するアンチテーゼ(文化人類学者レヴィ=ストロースの構造主義)として現れたものである。

一方民俗とは、風俗や習慣、伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから民間で伝承されてきた有形、無形の習俗をいう。

そして、民俗学は上述した習俗について、民俗資料をもとに、人間の営みの中で伝承されてきた現象の歴史的変遷を明らかにし、それを通じて現在の生活文化を相対的に説明しようとする学問のことをいう。この学問は、柳田国男がその基礎を築き、弟子の折口信夫らが継承したと言える。

要するに、民俗学は広義の歴史学なのだ。
ただし、従来の歴史学が文献資料を基に研究を行うのに対して、民俗学は現地調査(フィールドワーク)により、民間伝承や事象を採集し研究する。いわば歴史学のアンチテーゼとして生まれたのが民俗学なのである。

※参考文献
新谷 尚紀「民俗学とは何か―柳田・折口・渋沢に学び直す」

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