トコロバが故郷へ帰ったタイミングについて

2024年の夏を風靡した宇宙人が故郷に帰った。出会いの動画から数えて1ヶ月強の期間、非常に濃密な夏だった。

インターネット経由で自然発生的に生じる物語というのは昨今少ない。だいたいは企業が主導していたり、なんらかの商業的な意図を持って物語が生成されている。そういった物語性というのは、意図が表面化した瞬間に陳腐化する。

100ワニなんかは良い例だ。100ワニがTwitterでバズったところまでは良かったものの、コンテンツが商業化される過程で失敗し、今となってはコンテンツ炎上の代名詞となっている。それによって100ワニのコンテンツそのものも貶められた。

そういった事件も踏まえると、このタイミングでの故郷への帰還は英断というか、そうすべきだったというか、時代の流れを感じざるを得ない。俺がトコロバの立場だったらめちゃくちゃ欲を出しまくって、最終的に失敗しているに違いない。

少し前だとYoutuberのゼパの引退が印象的だった。

コロナ禍ブーストもあり、勢いも認知度も急速に上がって、バキ童ともコラボしていたが潔く引退をしている。なかなかできることではないなと思う。逆に、世間の流れを読めるからこそ、成功し、引退の時期も見極められるのだろうか。頭の良さを感じる。

松本人志は若い頃に「老害になったら早々に引退する」と豪語しておいて、最終的にはあのような形で退場させられた。テレビ業界だとしがらみも多い分、また話は違うのかもしれない。潔い引退というのは、変なしがらみのないインターネットだとやりやすいのかもしれない。

トコロバに話を戻すが、あくまでも一般人であるということも大きい。毎回何万人の視聴者に見られながら、キャラを維持して遊んでいくことは並大抵の精神ではできない。変に病んだりして、動画に残っているエモーションと視聴者の感傷を汚すくらいであれば、潔い帰還の方が良いと思ったのかもしれない。

一昔前であれば1ヶ月強で潔く帰還、と聞くと驚くが、現代だと1ヶ月強はかなりの長期間であるという見方もある。果たして猫ミームや好きな◯◯発表ドラゴンの寿命はどれだけだっただろうか。3ヶ月はもっていない印象がある。コンテンツの寿命を考えても、ここらでキリを良くするのが適切だったという見方もある。

商業であっても失敗は多いのだから、自然発生的なブームが早々に終わっていくのはそれこそ自然な流れなのだろう。更に、このブームの切り替わり速度が今後ますます加速していくことは想像に難くない。

もろもろを踏まえると、今回の帰還はすごく冷静な判断の結果であることが見えてくる。我々みたいな平成初期世代くらいだとまだ欲が残っているが、より若い世代はある種の欲が無いのだろうなと思ってしまう。より良い何かが見えているのだろう。

散々、潔い帰還だと言って褒めてきたが、トコロバの太眉個人アバターでの活動が始まっても全く問題はない。普通にチャンネル登録といいねはする。結局のところ、大事なのは本人の意志であって誰も無理強いはできない。

Youtubeのコメント欄も見てれば分かるが、優しい人も居ればヤバい人も居る。インターネットで何かをしていくというのは、顔の見えない群衆との摩擦を起こしていくことに他ならない。アンチも信者も精神的負担となり得る。

我々にできることは、動画のいいねを押して感想をコメントし、黙ってブラウザを閉じることだけである。

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