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この夏の思い出をつなぐために 岡崎・乙川カヌー

 愛知県岡崎市の市街地を流れる乙川でカヌースクールを開きました。カヌーの活動にすごく適した環境を生かしたい、この場所でできる楽しみの選択肢を増やしたい、カヌーの仲間を増やしたい……。そんな思いが重なった市内在住のカヌーポロ日本代表・柴田勝之さんとともに、初めて開いたスクールの様子をまとめました。来年以降もこの活動が続き、広がることを目指して。

 まずは動画をご覧ください。

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 乙川の殿橋と潜水橋の間、岡崎城を望む川面にいるのは小学6年生3人と4年生1人の男の子たち。柴田さんが持ってきたカヌーポロ用のボールを投げて、追い、ぶつかり合っています。この中の一人は、カヌーに乗ったのがこの日初めてでした。柴田さんによると、体重の軽い子供はカヌーのバランスを取りやすいので、すぐにうまくなるそうです。楽しそうな歓声、聞こえますか?

スクール番外編!

 この光景、実はスクール最終日の翌日です。
 「乙川カヌー・サマースクール」(カルチャー&スポーツクラブ岡崎主催、岡崎市カヌー協会後援)は7月の10日(日)と23日(土)、9月の3日(土)と24日(土)の午後に4回の開催でした。最終日は定員いっぱいの10人が参加予定だったのですが、前日に台風が通過。当日は朝から台風一過の秋晴れで気温も上がる絶好のカヌー日和だったものの、雨で増えた川の水位が下がりきらず、流れも速くて初心者には危険なため、残念ながら午前9時に中止を決めました。
 ただ、予約のやりとりの中で子供たちがすごく楽しみにしてくれている気持ちが伝わってきていましたし、乙川は10月になると水位が下がって乗れなくなるので、今年のスクール開催は最後の機会でした。来年まで乗れないのでは気持ちが収まらないでしょう。翌日には増水も平常時に戻りそうで、天気予報は晴れの日曜日。柴田さんと相談して、私と2人が同じ時間、同じ場所でカヌーに乗って遊ぶので、よかったら一緒にどうですかと参加予定者に連絡したところ、小学生が集まってくれて、ボール投げをしたり、支流の伊賀川から岡崎城の近くまで行ったり、スクールの番外編で楽しんだわけです。

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 スクール中止で気持ちが収まらなかったのは、主催側もそうでした。

初回はベテラン男性3人

 1回目の参加は3人の男性でした。いろんなことにチャレンジされていて、カヌーも経験してみたいという70代が最高齢。乙川の近くに住んでいて、カヌーをやってみたいとずっと思っていたけれど、これまで教わる場がなく探していた方など、全員が50歳以上でした。柴田さんから「カヌーは生涯スポーツだと思う」と説明を受けて、パドルの回し方、カヌーへの乗り方などイチから学んで、それぞれの体力に合わせて乗ってもらいました。

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 1回だけの体験ではなく、シーズンに何回も乗ってうまくなりたい人にも、という狙いで4回の開催としました。2回目のスクールには1回目の全員と、ご夫婦で参加された方もいて、4人での乗艇となりました。スクールに使ったカヌーはラダー(舵)がついていないので、右側を漕ぐと左へ、左側を漕ぐと右へすぐに回ってしまい、なかなか真っ直ぐに進められません。それでも、1回目ではかなり苦戦した人も2回目になると慣れて、ひとつ上流にある橋まで行って帰ってくるなど、思い通りに漕げるようになっていました。

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 2回目のスクールの翌日に同じ場所でONE RIVERのイベント「川あそび」のカヌー体験があり、そこで紹介したこともあって3回目には小学生が増え、親子ら6人が参加。4回目はさらに増えて10人に。続けて参加の小学生のほか、初めての小学生、友達同士で予約してくれた20代の女性もいました。幅広い年齢層の男女の参加で、将来、こんなカヌークラブになったらいいなと思うような顔ぶれになりそうでした。さらに、柴田さんが所属する愛知県みよし市のカヌーポロクラブ「みよしSea monkey」のチームメート数人が指導に加わってくれることになっており、かなり乙川がにぎやかになりそうで、そんな光景をぜひ見たかった。台風による増水が残念でなりませんでした。

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 しかし、自然と共存するスポーツなので想定内のことです。やり残した気持ちを次につなげることが大事だと思っています。
 小学生に付き添って来ていたお母さんからは、小中学生の部活動事情の一端をうかがいました。中学校で選べる部活動の種類は限られています。自分が中学生だった40数年前は生徒全員がなにかの部活動に入っていましたが、今は必ずしも入らなくていいようです。2023年度からスポーツの部活動は週末指導の外部化が全国で本格的に始まる予定で、今後どうなるのか不安もあるでしょう。カヌーは楽しくて気に入っているみたいだし、もしクラブができたら参加するかもしれない、競技としてがんばりたい子も楽しんでやりたい子も参加できるようなクラブだったらうれしい、というようなお話でした。
 ベテランの参加者の方からは、カヌーのレンタルができるようにしてほしいという要望をうかがいました。カヌーを趣味にしたくても、自前で購入するのはハードルが高いですから。例えば、クラブの会員になればクラブの保有するカヌーを使えるとかになれば、月1、2回の趣味には十分になります。特に乙川は、以前にも書きましたが、名鉄東岡崎駅から近く公共交通の便がとてもいいので広い地域の方に利用してもらえそうです。
 柴田さんは「自分が生活している岡崎に、だれもが楽しめるカヌー場ができたらいいなと思っています」と話しています。
 今年はまず「乙川でカヌーができるところを見て、知ってもらおう」と、春の桜まつりでのカヌーポロのデモンストレーション練習と、夏のスクール開催をしてみました。カヌーの置き場や運営費用などいろんなハードルが想定されますが、乙川の水位が下がってカヌーができない期間、今年の経験やスクール参加者の意見を参考にしながら、来年以降どんな活動ができそうか、すべきだろうか、考えていきたいと思います。

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