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SOX指数

 「SOX指数」は、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されている株価指数です。別名「フィラデルフィア半導体株指数」とも呼ばれており、半導体の設計や製造、流通、販売などを手がける銘柄で構成されています。時価総額加重平均で算出されており、毎年9月に組み入れ銘柄の見直しが実施されます。
 オランダの半導体製造装置メーカーのASMLが17日に発表した第1四半期決算は12億2000万ユーロの黒字でしたが、新規受注は36億ユーロで予想を下回りました。純利益は昨年第4四半期の20億5000万ユーロから減少、売上高も52億9000万ユーロで、72億4000万ユーロから減少しました。市場予想は純利益が10億8000万ユーロ、売上高が53億8000万ユーロ、新規受注が約54億ユーロでした。
 ピーター・ウェニングCEOは声明で「2024年通期の見通しは変更なし。業界は不況からの回復が続いており、下半期は上半期よりも好調に推移すると見込んでいる」と表明しました。同社は2024年通期の売上高が2023年の276億ユーロとほぼ横ばいになると予想しており、2025年の力強い成長に向けて準備を進めているとしました。
 米国やオランダの対中輸出規制にもかかわらず、第1四半期の中国向け販売は引き続き好調でした。中国の顧客向けリソグラフィー装置の販売は約20億ユーロで全体の49%を占めました。
 一方、世界最大の半導体受注生産会社(ファウンドリー)であるTSMCが18日発表した2024年1-3月期決算は、純利益が前年同期比8.9%増の2254億台湾ドル、売上高は16.5%増の5926億台湾ドルで、いずれも同期としての過去最高を更新しました。生成AI向けなど先端半導体の受注生産が好調でした。半導体市況が低迷した2023年12月期は前期比で14年ぶりの減収となっていましたが、2024年1-3月期は4四半期ぶりに増収増益となり、成長軌道に戻りました。
 TSMCは半導体の受託生産で世界シェア6割を占める最大手です。米国アップルや米国半導体大手エヌビディアなどが主要取引先で、販売額ベースで7割ほどの顧客が北米に集中します。TSMCはAI向け半導体の設計・開発で躍進するエヌビディアから主力製品の生産を独占的に請け負っており、生成AI向けの旺盛な需要が成長を支えました。
 一方で2024年の半導体市場見通しについては、スマホやパソコン販売がなお弱いとして、今年の半導体市場の成長見通しを下方修正しました。2024年の半導体市場(メモリーチップ除く)の伸びを約10%とし、これを上回る水準だった従来予想から引き下げました。また、TSMCがトップを走るファウンドリーセクターの成長見通しも下方修正しました。
 マクロ経済と地政学的な不透明感が根強く、消費者心理とエンドマーケット需要を圧迫する可能性があります。18日の米国株式市場で、TSMCの米国預託証券(ADR)は、一時6.3%下落し、日中の下げ幅としてはおよそ1年ぶりの大きさを記録しました。
 18日の米国市場では、ニューヨーク連現総裁の利下げどころか利上げの可能性まで踏み込んだ発言があったことから利下げ期待が一段と後退しました。TSMCの2024年半導体市場成長見通しを引き下げたこともあり、マイクロンテクノロジーが3.78%安、アプライドマテリアルズが2.79%安となるなどハイテク株の売りが目立ちました。半導体株安からSOX指数は1.66%の下落となりました。
 世界の半導体市場が2030年までに約2倍に拡大すると予想されている中、関連銘柄の業績も基調としての拡大が続くと考えられています。SOX指数の採用銘柄の多くが、高い売上高営業利益率が確保できている点も魅力のひとつです。半導体関連企業は莫大な研究開発費を必要とする中においても、指数別でみた利益率では、各国株価指数と比較して群を抜いて高いです。
 半導体市場では、求められる技術の高まりによって10年以上にわたって再編が行われてきた結果、参入障壁が高くなり、価格決定力が上昇、独自の市場に特化する半導体関連企業が増えています。そのため、その分野では価格交渉の主導権を握り続けることができています。ASMLやTSMCは微細化技術では最先端を有しており、強い価格交渉力を持っています。このように市場の拡大や高い収益性を原動力に今後の関連銘柄の業績に注目していきます。

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