金スマを見て絶望した話。


2021年4月2日放送の金スマを見ました。

私はもともとハロオタで、モーニングが一番好きでしたが、
最近はKポを追うのに忙しくて(言い訳)ハローはあまり見ていません。
MVは一通りチェックしてる+ヲタ垢フォロワーに当時相互になったハロオタさんがいるから情報は入ってる、って程度。

だからもともと金スマも見る気あんまりなくて(ごめん)録画してなかったんですけど、なんかす〜〜ごい話題になってたからTVerで見ました。


結果、いろんな意味で見てよかったです。

それは、
1.現役の頑張りがちゃんと取り上げられていて、番組時間の半分くらいは現役に割いてくれたから。
他のハロオタさんも言ってたけど、ここまで現役をいっぱい映して話させてくれる番組そうそうない。

2.私が見ている景色が、「日本の一般感覚」からめちゃめちゃズレてることを自覚できたから。


今日は2.についてのお話です。


セクハラ、気色悪いよ

番組後半は「うたばん」をベースに、当時の映像を流したり、
途中から石橋貴明氏がトークにサプライズ参加したりという構成でした。
(なおどうしても「さん」づけで呼びたくないけど呼び捨ても違うな、という妙なこだわりで「氏」にしてます。以下石橋氏)

で、ここが本当〜〜〜〜にしんどかった。

過去映像でも流れていたセクハラ具合(ex.ごっちんの衣装のショーパンくださいの件)とか「若さこそ価値」みたいなイジリ(ex.「19歳!?オエェ」の件)は、「当時からやるべきでなかった」と思う立場である一方、
基本「過去は過去だし今から過去は書き換えられないからしょーがないよね」派の人間です。

だから、2021年の今、2000年前後の石橋氏&テレビ業界そのものを「叩きたい」とは思いません。

まぁそれを今「お宝映像」として流しちゃうのはどうかと思うけどね。(ここについての「お気持ち」は今回割愛します)


いや〜〜〜しかし、えりぽんへのセクハラは本当に無理だった。許せないとかいうレベルじゃなくて、真剣に意味がわからない。

ここで「えりぽんへのセクハラの件」について、金スマ見てないけどこの記事に流れ着いた方向けに(いるのか?)少し。
えりぽん(生田衣梨奈ちゃん)は加入初期から「魔法少女」キャラ(?)で売っている子で、えりぽんが「ちちんぷいぷい魔法にか〜かれ!」と呪文を唱えるとみんなえりぽんが好きになっちゃう!という魔法が使えます。詳しくは「えりぽん 魔法」でYouTube検索を。
で、番組途中からサプライズ参戦した石橋氏に向かって、えりぽんがこの魔法をかけたところ、石橋氏は無事に(?)魔法にかかり、
ズボンのポケットに手を入れ股間が目立たないようにしたり、台本を股間の前に当ててモジモジするなどの動きを見せました。
TVerのリンク(2021/4/8までは見れるはず)では1:11:19あたりからです、ご参考までに。

は〜〜〜〜書いてても気色悪いな。なんだそれ。

どっからツッコミ始めましょう。
とりあえず「イマドキの会社の飲み会で部長が新人にそれやったらセクハラで嗜められる案件ですよ」からいきましょうか。

これは裁判例も承認するところですが、人事院規則では、性的な発言内容として「聞くに耐えない卑猥な冗談を話すこと」をあげています。
(出典:労働問題弁護士ナビ「忘年会スルーも当然!飲み会で行われる理不尽なセクハラ行為7選」

引用記事では「平均的な人の感じ方を基準」に「聞くに耐えない卑猥な冗談」か判断すると続きますが、
記事の最後の方に「自分の彼女や彼氏がされたらいやかどうか、と考えてみてください」とあるように、これを基準にセクハラかどうか判断するのがやりやすいでしょう。
あるいは子供がセクハラ発言受けて帰ってきたらどう思うか、でもいいですね。

大抵の人、「自分の子供がセクハラされて/言われて帰ってきたら無理」じゃないですか?むしろ「俺の娘にはどんどん手出してくださいね!ガッハッハ!」みたいな人いたらそっと縁切りたい。


それを考えた上で、えりぽんの件です。

好きになる魔法かけられたら「かわいい〜」とか「好き〜」で十分なのに、
笑いに走って股間に注目向けさせるのはセクハラ行為と言って問題ないのではないでしょうか。(笑い=下ネタって理論の古臭さは一回置いておきます)

そしてそれに誰も注意しない(できない)世界。そんな世界で生きている娘。メンを私のこの手で助けられないのがもどかしい。

(ちなみに同様の理由でヤンタンも聞いてません。ハロプロガチオタだった時も聞いていませんでした。
大御所から下ネタ振られたアイドルが「気色悪いです」って言い返せる社会じゃないの知ってるから。聞いてて辛くなるから。)


あと、「好きになる魔法=恋愛として好き=セックス」みたいな短絡的発想。
「好きとはなんぞや」「好き=恋愛=性とは限らない」「若い女」「男→女」とか、もう全部ツッコミどころしかないんですけど、
日頃からジェンダーの問題に触れている人間としては全然ツッコミの手が足りません。猫の手どころか蜘蛛の手全部借りたいくらい足りない。

これを芸風としてやり続ける人間がいる世界、それを許容してしまう(もしくは許容せざるを得ない)世界。
「反吐が出るほど気色悪い」くらいしか言えないのが悔しい。


でも、それは「懐かしい」んだ

とはいえ冒頭に書いたように、私はこの番組を見てよかったと思っています。
なぜなら、これらのイジり方(えりぽんの件含め、過去のうたばんの映像含め)を「懐かしい」と認識する人がとても多いとわかったから。


ちなみに放送時、金スマはTwitterトレンド1位に上がるほどの盛り上がりを見せ、
放送終了後もツイートが続々と上がっていました。

そんなツイートの中で少なからず見受けられたのは、
「今はこんな番組できないんだろうな」と言う発言。

この発言をしている人の中には、もちろん予算面の話をしている人も多くいましたが(実際過去映像からはマジで「金」を感じた)、
それ以上に、「今はこんな発言したら『炎上するから』できない」と言う趣旨のツイートです。

そして、直接書いていてもいなくても、そこには
「昔はよかったな」
が含まれている。


実際に「うたばん」の過去映像を見た上でこれらのツイートを読んだ私は、ハッとしました。

そうか、これは「懐かしい」ものなんだ。

これは多くの人にとって、「寸分の狂いもなく面白い」ものなんだ。


心底、絶望しました。
どうして当事者の声が届かないか、体感として理解できたから。
私が見てる世界は「普通」の世界じゃないって、わかったから。


私(フェミニストでアライ)からすると、
「うたばん」パートは全然笑えない…否、笑いをテレビの向こうに吸収されていくような時間でした。

各所で日々繰り返す炎上を見る度、なんで明らかに炎上するものを見抜けないんだろう、勉強すればわかることじゃないかと、私はずっと思っていました。

でも今回「うたばん」パートと石橋氏の言動、そしてその後のTwitterを見て、
「勉強不足とか理解する気がないとかいうレベルじゃなくて、シンプルに『そこに痛みを感じる脳の回路が存在しない』んだ」と、わかったのです。


「わかったのです」とか書くとすごい違和感あるな、なんて言えばいいんだろう。
「実感を伴って理解できた」とか?語彙力が感覚に全く追いつけていませんが。

なんというか、そりゃ繰り返し炎上するよなぁとか、そりゃどこが悪いのかわからんよなぁとか、そんな感じ。


そして、「そもそも脳にその回路が設置されていない人」に対して、
どうやって気持ちを理解してもらえばいいのか…いや違う、別に心からの同意の上で理解してもらえなくていいんだ、

「何がどうして嫌だと感じているのか」の理論を、うわべではなくきちんと把握してもらうには、どこからどう伝えればいいのか、
その道のりの遠さに愕然としました。

頑張って地道に伝え続ければわかってもらえるはず!みたいな楽観視はできない絶望感。



それでも、これ以上痛い思いはしたくないから、
そしてこれからのアイドルには、あの痛みを味わわずとも成功できるようになってほしいから、
私はこうやって文章を書くしかない。


当時の「うたばん」スタッフ、今回の「金スマ」スタッフ、石橋氏、ありがとうございます。
私がこうやって文章を書くきっかけを与えてくれて。

こんな拙い文章でも、誰か共感してくれて、
今後の連帯に繋がればいいなと思っています。



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