病気の確定診断

娘が亡くなるまでたった6ヶ月間の出来事とはいえ、すごく長くなりそうなので、先に主な出来事を時系列で簡単にまとめておきたいと思います。
簡単にと言いつつ、これまた長くなりそうなので、まずは出産〜NICU退院までを小分けにして綴ります。


病気の知識はゼロからのスタート

娘が生まれてはじめて、表皮水疱症という病気を知りました。

表皮水疱症は、表皮と真皮を接着させるタンパクに生まれつき異常があるため、日常生活における軽微な外力によって皮膚や粘膜のただれ(びらん)や水ぶくれ(水疱)を生じる遺伝性の皮膚病です。 『日本皮膚科学会 皮膚科Q&A より』

この病気には根本的な治療法がないので、水疱やびらんに対する対処療法が基本になります。感染からの敗血症で最悪死亡することもあり、感染予防のためにも毎日の適切なケアが必要です。

が。私は医療職に就いたことも、医療について学んだこともない完全ど素人の普通の母親です。
医療系ドラマの手術シーンや、戦争映画の痛そうなシーンなどは苦手で、必ず目をつぶって耳を塞いでしまいます。自分の血は平気ですが、人の傷口をみるなんてもってのほかだし、手先は決して器用な方ではありません。

そんな私が娘のケアをできるようになるのか不安でしたし、主治医や看護師さんの話は毎回半分くらいしか分かってませんでした←

娘の死後、前々から気になっていた『はたらく細胞』というアニメを観てみたところ、第2話の「すり傷」の回がとても勉強になりました。予備知識として、傷が治る仕組みを知っておくともっと理解が早かったかなと思いました。

皮膚処置の練習開始

皮膚の創傷からの感染を予防するために、傷口は毎日泡で洗って清潔にしないといけないので、朝に沐浴で全身をきれいにして、夕方は大きなびらんだけベッドの上で洗浄してもらっていたようです。

生後10日頃から、私は朝の沐浴に立ち合い、沐浴・水疱の穿刺・被覆材の使い方等を教えてもらうようになりました。退院後に自宅で同じことをできるようになることを目指します。

この頃に使っていた薬や被覆剤と、退院時・退院後に使うお薬、被覆剤は違うものになりました。
退院まで毎日、皮膚の状態をみながら、お薬、保湿剤、被覆剤の種類、被覆剤の切り方・貼り方などを変えていき、娘に合う方法を探していく感じです。

これまでにも数名、表皮水疱症の赤ちゃんを診ていた病院ですが、水疱の出やすい箇所など個人差があるようで、他の子が大丈夫なことが娘にはダメだったり、その逆もあり、担当看護師さんとあれこれ試して、手探りで最適な方法を考える日々でした。

表皮水疱症の確定診断

生後3週目ごろ、皮膚生検の結果、表皮水疱症であると確定診断がおりました。これにより、主治医に意見書を書いてもらえるので、小児慢性特定疾病の医療費助成制度の申請ができることになります。
そして、さらにここから、詳しい病型の検査もしてもらいます。おそらく栄養障害型だろうと言われていました。


自家培養表ジェイス

この頃ちょうど自家培養表皮ジェイスが、表皮水疱症の栄養障害型と接合部型でも保険適用になることが決まっていました。主治医の先生に、やってみないかと勧められたので、表皮水疱症での使用例はまだ少ない段階なので少し迷いましたが、生まれた時からある左肘の大きなびらんはまったく治る気配がなかったので、やってみたいと伝えました。
結果的には娘はジェイスは使わないことになりましたが。

なかなか治らない

相変わらず毎日水疱・びらんができます。新生児の治癒力なので、小さいびらんはすぐに良くなり目立たなくなるのですが、大きいびらんができることも増えてきて、なかなか綺麗になりません。

自分で手足を動かせるようになった影響もありそうでした。おむつで擦れるお尻まわり・お腹周りはもちろん、自分でバタバタできるようになった脚、顔を動かせるようになったことで擦れるのか、耳の後ろにも、徐々にびらんや水疱の範囲が広がっていきました。

水疱、びらんの広がりに伴って、出血や滲出液の量も増えるので、貧血やたんぱく不足?も進んできていました。入院中に、免疫グロブリンとアルブミンの点滴をしました。

また、38℃を超える発熱が頻発し始め、CRPの値が高くなることもありました。CPRの値が高いと感染の疑いもあるということで、抗生剤の服薬や、点滴をためして様子を見る…という感じでした。が、薬の種類を変えてみても、CPR値が大幅に下がることはなく、娘の場合は感染ではなく皮膚の炎症により値が高くなっていそうだという判断になりました。

だんだん悪化していく娘を見て、この病気を甘くみていたなぁと思うようになりました。
要は水疱を作らないように、「予防」すればいいんでしょ、と思っていたのですが…なんの刺激で水疱が出来ているのか、よく分からないものがたくさん。予防するのが本当に難しいと感じました。

表皮水疱症は、毎日のお世話のなかでも注意事項がたくさんあります。さらに毎日少しずつ処置方法が変わっていったので、担当以外の看護師さんにそれを周知させることはとても難しそうでした。

退院して、自宅で毎日私だけが観察・ケアするようになると、徐々に水疱の数が減り、糜爛も良くなっていきました。とはいえ、しばらくするとまた悪化することになりましたが…。


表皮水疱症 赤ちゃんのためのガイドブック

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入院してすぐ、この冊子をいただきました。もらってすぐ読み込みましたが、実際に処置をしてみるまではイマイチぴんとこなかった、というのが正直なところ。でも、ネットでは情報が得られなかった詳しい皮膚処置のことから、日常生活、医療保険制度のことまで隈なく載っていて、とても心強い存在でした。毎日、沐浴のあとに読んで復習しました。

次は病型確定編です。

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