在宅支援サービスを知る
NICU退院までのお話、その1です。
病型を宣告された翌週には退院カンファレンスがありました。
生まれたばかりの娘が、1年以内に死んでしまうと言われても、自宅で暮らしていくための準備はしなければいけません。病院まで往復3時間かけて通うのは大変でしたが、早く退院したい気持ちはほんの少しだけ。この頃はまだ退院するのが怖い気持ちの方が大きかったです。
自宅で皮膚処置をするために
一番の心配は、毎日の皮膚処置のことです。沐浴~皮膚処置の間、娘を抱っこしてもらう人が必要です。また、ミルクを飲ませたり、おしゃぶりを咥えさせる人も必要でした。
水疱をつぶすのに針を使うので、ミルクやおしゃぶりがないと泣いて暴れてしまい危険です。膝に抱ける体勢になれば、ミルクを飲ませながら抱っこすることも可能ですが、動く手足に被覆材を貼るときは、誰かに支えてもらわないとうまく出来ないので、どうしても抱っこする人とは別にサポートしてもらう人が必要でした。
おしゃぶりは市販のものは、口の周りが擦れてしまうので使えず、代わりに哺乳瓶の乳首を使うので、手で持っておかなければいけません。
入院当初は全部一人でできるようになるつもりでいたので、どう考えても無理な状況に困惑・・・医療保険で訪問看護サービスを利用できると聞いてホッとしました。
訪問看護サービス
訪問看護サービスは、看護師さんが自宅に訪問して看護をしてくれるサービスです。娘の場合は、医療的ケアは無いので、週3回、1回1時間半まで利用できます。
週末は夫も休みで家族で処置ができるため、平日3回訪問看護サービスを利用して、平日残り2日を外来で診察・沐浴・処置をしてもらうことになりました。
訪問看護サービスとは
https://www.jvnf.or.jp/homon/_1_4.html
訪問看護で来ていただけるのは1人なので、もう1人手伝ってもらえるように、障害福祉サービスを紹介していただきました。
障害福祉サービス
難病の患者は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に基づく「障害福祉サービス等」の対象で、先天性表皮水疱症もその対象になっていました。
障害者総合支援法の対象疾病(難病等)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hani/index.html
障害福祉サービスについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html
小児慢性特定疾病の申請も済ませていたので、市役所の福祉課に行くとすぐに指定相談支援事業者を紹介していただき、後日日程を調整して、社会福祉協議会のヘルパーさんと一緒にサービスの利用計画書を作っていただきました。
当初は居宅介護サービスで沐浴・処置のサポートのみ利用のつもりでしたが、通院で使うチャイルドシートが皮膚への刺激にならないか不安があったので、通院介助も利用できることになりました。
訪問看護サービスと障害福祉サービスが利用できるようになったことで、退院後の生活への不安はかなり軽減されました。
訪問看護サービスは乳児は2割自己負担ですが、自治体の乳児医療証があるので無料になります。障害福祉サービスは、我が家の場合は利用者負担上限4,600円/月でした。※障害の程度や世帯収入などにより異なると思います。
残る心配は息子のこと。
週末は保育園がお休みのため、息子が自宅にいるなかで夫と2人で娘の処置をしなければなりません。1時間半~2時間かかる処置の間、3歳になるかならないかの息子を一人にはできないので、週末は母や妹など家族に手伝いに来てもらうようにお願いしていました。
ただ、夫が稀に週末仕事が入ることもあり、家族の都合がつかなこともありえるので、その時にどうするか。
ベビーシッターにお願いすることも考えましたが、娘の皮膚の状態はあまり人に見せられるものではなく、単発でシッターさんに依頼するのも気が引けました。
そこで、住んでいる自治体の「赤ちゃんホームヘルプサービス」も利用させてもらうことにしました。
きょうだい児の見守り
住んでいる自治体には、生後12週以内の赤ちゃんがいる家庭で、1時間700円で育児や家事の支援が受けられるサービスがありました。きょうだい児の見守りもお願いできるので、夫が仕事の祝休日、家族の援助がない日に利用させてもらいました。
障害福祉サービスと同じヘルパーさんで実施してあるサービスなので、娘の沐浴介助でもお世話になっているヘルパーさんが来てくださり、息子も懐いてくれて本当に助かりました。
娘が生後12週を過ぎてからは、養育支援?として同様のサービスを受けられるように、市のこども支援課の方が調整してくださいました。
娘の病気がわかって、病状の次に心配していたのは息子のことです。私は娘に付きっきりになるし、気軽に外出することも難しくなるので、どうにか自宅で楽しく過ごして欲しいと思っていました。
毎週、家族やヘルパーさんにたくさん相手をしてもらい、週末のたびに「今日は誰が来るの?」と言って、チャイムが鳴ると大喜びで玄関に駆け出していくほどだったので、本当にありがたかったです。
地域医療連携室
各サービスと繋げてくれたのが、地域医療連携室の方でした。
自治体の福祉課や、こども支援課(保健師訪問)へも事前に連絡していただけたので、市役所でもスムーズに手続きが済んだように感じます。「地域医療連携室」のような役割の組織がどの病院にもあるものなのかは知りませんが、ここのサポートなしで自分で調べて手続きを・・となると、もっと大変だっただろうと思います。
表皮水疱症という病気のことはもちろんですが、訪問看護サービスも、障害福祉サービスも、娘が利用することになり初めて知りました。「きょうだい児」や「医療的ケア児」という言葉も、病気の子を抱える親御さんのSNSなどを見るようになり知った言葉です。娘が生まれたことで、これまで知らなかった世界に足を踏み入れたようなそんな気持ちでした。「福祉」の意味についても考えさせられました。これはまた別で書きたいな。
次もNICU退院までのお話。病院の退院支援の手厚さに驚きました。本当になにからなにまで、ありがたい。
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