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映画・ドラマのレビュー

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映画・ドラマ・ドキュメンタリーなど鑑賞した映像のレビューと、作品から感じたことを綴ります。(ネタバレあります)
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2021年2月の記事一覧

生き方を見失うのは、目を閉じていたからなのだと思う-韓国ドラマ『SKYキャッスル』

韓国ドラマ「SKYキャッスル」を観た。 お受験ママバトルを描いたドラマかと思いきや、超高学歴社会である韓国の社会問題「受験戦争」に切り込んだ見応えのあるドラマだった。 つまりは良い意味で期待を裏切られた。 登場人物たちの欲望のぶつかり合いとサスペンス要素が視聴者の感情を激しく揺さぶるあたり、韓国ドラマの王道的物語でもある。一方で、ドラマの後半には多くの教訓が盛り込まれていて諸々考えさせられた。 鑑賞を終えてまず考えたのは、「人の期待に応える生き方の不条理」についてだった

男の未練の行方と女の自分探しについての考察-韓国ドラマ『都会の男女の恋愛法』

韓国ドラマ「都会の男女の恋愛法」は、チ・チャンウク演じるパク・ジェウォンとキム・ジウォン演じるイ・ウノを含む男女6人の恋愛が描かれるドラマだ。 「別れたら思い出の品はどうする?」「別れた人と偶然再会したら?」「望ましい別れ方はある?」など、恋愛に関する質問に登場人物たちが答えていくインタビュー形式で物語が展開する。 個人的には、タイトルが示す「都会の〜」的な洗礼された恋愛ではなく、主人公ジェウォンのウノへの「未練」がコテコテに演歌調なのが気に入った。 ここでは、ジェウォ

台湾映画はゆるやかに心を揺さぶる@Netflix配信3選 『弱くて強い女たち』他

「愛の不時着」以来、韓国コンテンツ沼をさまよう私。 韓国ドラマはもちろんだけど、韓国映画もなかなかの沼だと思う。 でもそれは最近のこと。 アジア映画好きな私にとって、韓国映画よりも馴染みがあるのは香港映画や台湾映画。 台湾映画で言えば、侯孝賢監督の「悲情城市」は何度も観たし、「ヤンヤン 夏の想い出」「恐怖分子」などエドワード・ヤン監督の作品も大好きだ。 さて先日、気になっていた台湾映画「弱くて強い女たち」がNetflix で配信されていることを知った。 せっかくなのでこ

恋っていつか必ず過去形になってしまう 『花束みたいな恋をした』

映画「花束みたいな恋をした」を観た。 前評判がとても良かったので楽しみにしていたけど、期待しすぎると往々にして肩透かしを食らうので、気持ちを落ち着けつつ映画館に向かった。 結果、多くの人が賞賛するわけがわかったし、私自身、観てよかったと心から思えた作品でもあった。 1. 「恋」が上り坂な時間の尊さを噛みしめるこの映画は大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)との5年間の恋を描いた物語。 二人は趣味嗜好が驚くほど似ていて、お互いを知れば知るほど惹かれ合い、恋に落ち、最終的