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【第3戦 ~2ndステージ~ 】60cm級との闘い【うんこファイター☆ユウ】
生きていると、様々な困難に出くわす。
ユウが中学生の時代は、その困難に直面した人に対して、「逃げるな!」と説教するのが大流行していた。
困難の中身だったり、本当に困難に直面しているか全然わからなくても、とりあえず「逃げるな!」って言っとけば恰好が付く。
そんな便利な感覚があったのだろう、教師を中心に、‘大人’と呼ばれる生き物がやたらと乱発していた。
14歳の夏に起きたこの60cm級との闘いは、ユウの生涯において、最も長く苦しいものだった。
それでも、絶対に負けられない戦いを、逃げずに唯一人で乗り越えねばならなかった。
最大最強のその敵を生み出したのは、他ならぬ自分自身なのだから。
![](https://assets.st-note.com/img/1658751566436-OBQUCFdk8p.jpg?width=1200)
【2ndステージ】
C案を採用したユウの尻の穴は、楕円を描きうんこをひり落した。
上のイラストを見てもらえばおわかりいただけるだろう。
B案を採用していたら、長さが足りなくて場外乱闘に発展するところだった。
腹の中の大荷物を降ろす事ができ、脳は解放感で満たされた。
トイレットペーパーは1ロール半ぐらいある。
念のためにポケットティッシュを持っていたけれど、これだけあればそれは使わなくても十分事足りる。
満足した気分で尻を拭く。
集会所のそれと違い、幾分か肌触りが良い。
出て来たうんこが目に入る。
おお...過去最高の大きさだ。
50㎝...いや、60cmぐらいあるか...?
これほどの大きな、しかも太いブツをくぐらせたにも関わらず、肛門からの出血は無かった。
万事OKだ。
尻を拭き終え、あとはこいつを流してフィニッシュである。
![](https://assets.st-note.com/img/1658753889459-UYwROvOCW0.jpg?width=1200)
【長期戦へ】
この局面を迎えて、ユウの後悔が始まった。
「なぜ、うんこを出す前に1度水を流しておかなかったのか!」
和式便器は、その構造上、出したうんこが平面に載る。
その平面に載ったうんこを流す、という行程が生じる。
洋式便器ならばそれは無い。
ボットン便所に至っては、出してしまえばそれで終わりである。
溜め糞タイプのうんこファイター☆ユウにとって、行程が増えるという事は、それだけリスクも増えるのだ。
和式便器がフィールドならば、自分のうんこを出す前に、1度水を流しておくのが鉄則である。
平面が濡れ、後で出すうんこが少し滑りやすくなる。
加えて、このフィールドで先に闘ったファイターのうんこが配管に残っていたとしても、そいつを圧し流せるので、うんこ詰まりの可能性を減らした状態で闘えるのだ。
これほどの強大なうんことの闘いは初めてであり、それをしなくとも過去の闘いでは勝利を収めていただけに、この状況になるのは予測できなかった。
後悔と共にしばし呆然としたが、何もしなければ何も起こらない。
今できる事を順番に試してみるしかない。
とりあえず、もう一度...いや、何度か「大」の水流波での攻撃で動くかどうか確認してみた。
1発や2発で効かなければ、6発ぐらい入れてみればいいじゃないか。
シュウゥウウウ...ドドドドドド...ドゥババババババーーーーー!!
勢い良く放たれる水。
それに伴う迫力ある轟音。
時折、便器外まで弾ける飛沫。
...微動だにしないうんこ。
うん、これは全く効いてないね。
まるで強力接着剤で貼り付けたかのように、便器と癒着しているね。
これ以上やっても、敗北して飛散する水を虚しく見守るだけになるね。
どうすれば、こいつを便器の奥へと押し出せるのか...?
水では流れてくれないので、棒状の物で押し込もうと考えた。
この個室内にそれらしき物は無い。
そこで、掃除道具入れならば、と思い、一度個室を出た。
...鍵がかかっていて開かなかった。
ならば、外に出てそこら辺の木の枝を折り取って使うか?
それもどうかなあ...周辺に木はあるけれど、すぐに取れるような位置の枝は太くて手頃じゃないっつうか簡単に折れる太さじゃないしなあ。
ちょっと歩けば良さそうな木があるけど、それって民家の敷地内だしアカンよなあ。
そんな事してる間に、万が一にもこの個室に他の人が入ってしまったら、自らが生産した魔物を目撃されてしまうしなあ...それはアウトだ完全敗北だ。
考えている間に時間は刻々と過ぎていく。
深夜とはいえ、時季は真夏。
個室内に長く留まり続けたせいで、全身から汗が噴き出ている。
いっそ、このまま放置して逃げてしまおうか。
いやいや、そうする奴も世の中にはいっぱい存在するだろうけれど、自らの人生ポリシーにおいて、こいつはやっつけなければならない。
人として、うんこファイターとして、ここで勝てなければ、一生、敗北という十字架を背負わなければならなくなる。
熟考の末、1つの答えをひねり出した。
![](https://assets.st-note.com/img/1658817510640-fefi1B4P8F.jpg?width=1200)
【外から来た危機】
深夜の闘いは、長期戦の様相を呈していた。
膠着状態となったこの状況を打破するには、閃きと新たな技が必要だ。
悩み、考え抜いたユウの目には、トイレットペーパーが映っていた。
トイレットペーパーの長さには余裕があるのだから、こいつを折り畳んだり丸めたりして棒状にし、うんこを押してみてはどうか?
それを実行しようとした瞬間だった。
個室の外で、何者かの足音が聞こえた!
足音は、どんどん近くなり、個室の外で止まった。
??:「ふぅ~~~いぃ~~~~」
その足音の主は、いかにも‘オッサンですよ’、という声を漏らした。
チョロロッ..チョロロッ..チョ~..シュビビビビビビビビビビ!!
そのオッサンは排尿を始めた。
ここはトイレだ、そこで立ち止まったなら、小便が目的なのは明らかだ。
??:「うぅ~~~、ぃあっ。」
排尿が済むと、オッサンは、いかにもオッサンらしい声ver.2を発した後、チャックを上げてズボンを戻す音を出した。
緊迫の闘いを続けているユウだったが、人が来たからには一時休戦だ。
オッサンが気持ち良く尿を出してトイレを出るまでは、息を殺して静かにしていた。
ところが。
ズボンも履き直し、もうトイレには用が無いはずのオッサンは、何故かそこで動きを止めた。
そして、その場を少し動く足音を発し、また立ち止まった。
明らかに不審な動きだ。
このトイレの大便用個室には、ドアの蝶番がある部分から上下に5mmほどの隙間がある。
さらに、ドアの下部にも、10cm程度の空間があった。
なんだ?もしかして、こっちを覗こうとしているのか?
~つづく~
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