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【掌編小説#4】僕と彼女の三日間

これは僕と彼女の三日間の物語。

一日目_

その日麻亜子からの電話で目が覚めた。
「やっぱりお兄ぃと付き合う!」
無邪気な声が聞こえた。




ひとりっ子の麻亜子はバイトの先輩で6歳年上である僕を「兄のようだ」と慕い『お兄ぃ』と呼ぶ。


シフトの入れ替わりのたびにキラキラした目で「お兄ぃ、バイバイ」と手を振って帰る麻亜子を最初は本当に妹を見るような目で見ていたんだ。

麻亜子から彼氏との関係がこじれている相談を受けてから少しずつ女性として意識し始めた僕は
「彼氏と別れておれと付き合ったら?」と告白した。

麻亜子は少し驚いた様子で「1日考えさせて」と言ったが、彼氏と別れる決心をして今朝の電話で僕の告白を受け入れてくれた。

晴れて付き合う事になったが、看護系の専門学生の麻亜子はその日実習があるという事でバイトを休み、会う事が出来なかった。Eメールでやり取りをするだけの交際初日が終わった。


二日目_

その日麻亜子からの電話で目が覚めた。
「やっぱり元彼とヨリを戻す事にする!!」
無邪気な声に戸惑った。

秋の空どころじゃない変わり様。8時間前までEメールでやり取りをしていた彼女に突然フラれた。

実習中の麻亜子に会う事も出来ず、詳しい理由も聞けないまま傷心の僕はバイトへ向かった。

浮かない様子の僕を見かねてバイト仲間はカラオケに誘い励ましてくれた。そんな仲間が本当に有り難くて、でも改めてフラれたんだと泣けてきた。
槇原敬之の『もう恋なんてしない』ほどの中身も何の思い出もない恋人だったけど、歌ってただただ泣いた。

結局深夜まで付き合ってくれた仲間に心から感謝して眠りについた。


三日目_

その日麻亜子からの電話で目が覚めた。
「やっぱりお兄ぃと付き合いたい!!!」
やはり無邪気な声だった。

秋の空どころじゃない変わり様。24時間前にフラれた彼女に今度は告白された。
僕の返事は決まってる。


「今さら付き合うかよ!」

目の前には青く澄み渡った秋の空が広がっていた。




【解説という名の言い訳】
掌編小説4作目になります。
毎度のことながら自身の経験を基にしてますが、脚色してますのであくまでもフィクションです。文章の稚拙さなどは素人なので色々大目に見てください。

しかしながらこの時は「女心と秋の空」とはよく言ったものだなぁと心から思ったものです。
正直付き合ったうちには入らないと思っていたのですが、数年後結婚した彼女は旦那さんに僕を『元彼』として紹介していて「付き合ってたんだ!?」とビックリしました!
無邪気なものです笑

読んでくれた全ての人へ。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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『大号泣しながらカラオケを歌った者』
ミノキシジルでした。

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