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松本人志の映画についての話!〜なぜ天才松本人志は映画監督として成功出来なかったのか〜

「松本は映画を撮るようになってから面白くなくなった」「松本さんが好きな俺でも映画だけは好きになれない」「松本人志は映画の才能がない」
これらはネットで見られた映画監督松本人志へのアンチ意見である
松本人志は2007年に「大日本人」という映画を公開してから2013年までの6年間、全4作品を公開している
あの天才芸人松本の映画とだけあって日本中、果ては世界の松本人志を知るファンの間で話題になりその発想ゆえともいえるべき世界観でかなり注目されているが、売り上げや評価は低く最悪な映画を決める「蛇いちご賞」でさや侍までの3作品が最低監督賞を受賞している
そしてr-100を最後に松本人志は映画監督を休業?している
映画に限らず松本さんは同じ事に執着はしておらず、漫才・コント・トークなどのお笑いはもちろん、ガキの使いでの名物企画もしばらく休止した後いつのまにか再開するものもあったり、現在ではコメンテーターの仕事も降板していたりする。
そして松本さんは決まって何かをやらなくなると新しい事柄にチャレンジすることもあるが
果たして今後も映画業界に復帰することはないのだろうか?(今は映画よりタレント業の復帰を祈っていますが…)

「ハリウッドに告げる!映画は俺は絶対に撮りません」
そう述べていた松本さんがなぜ映画監督になったのか?
松本人志が映画を撮るきっかけとなったと思われるのは、電波少年の企画で海外の人に自分の監督した映画を作り自分の笑いや表現が文化の違う人々にどう伝わるのか?という世紀の挑戦から始まった
「佐助」(SASUKE)はアメリカ人の子供のもとに訪れた忍者のベビーシッターの短編映画である。
松本さんは自分の100%の力を出したら伝わらないであろうから75%の力でお客を笑わせよう
しかし、100%の力を出す気持ちでそれをやってやろうと作品作りに勤しんだ
僕が気になった点は、忍者が忍法で家をきれいにするつもりが売家にしてしまったシーンである
そのシーンはお客さんに受けたがその後に「大安売り」の被せを行ったがそれは全く受けなかった
松本さんはその光景を見て落ち込むというよりその反応を見て「あーこれは受けへんのか」と興味深そうな反応をしていた
あれこそが笑いを実験と捉えて人を笑わす王者の余韻なのか、考え方と呼ぶものなのか
松本さんはお客さんを楽しませつつも、その反応をみて自分自身もそれを見て学び楽しんでいたのだ
おそらくこれが松本人志の笑いの探究心をくすぐったのであろうと考える
松本さんはそれから数年後、「大日本人」という映画を公開した
大佐藤大という冴えない男がスーパーヒーローとして怪獣と戦うがその男は全く感謝されず、嫌われ続けそして最終的にアメリカから来たヒーロー家族に拾われそこで生活を送るが結局馴染めずにいた
板尾創路の登場シーンや、バイオレンスチックな攻撃をするアメリカンファミリーヒーローのシーンが笑いを誘われたり所々に社会風刺と捉えられる描写があったりとても深い作品で
松本人志の処女作ということもあり話題になりそしてカンヌの非公式部門でも公開されるなど期待が大きかったがその独特な世界観やバイオレンスかつ下品すぎるシーンなどが賛否を呼び興行収入は制作費10億に対し11億強と大きくは振るわなかった
そしてそれから数年後、松本人志は再びメガホンを取り「しんぼる」という作品を公開
この作品はある日真っ白い空間の部屋に閉じ込められた男が脱出を図るために室内にある男性器(しんぼる)を模したボタンを押し出てきたアイテムや仕掛けを活用していき、その裏でメキシコのプロレスラーの親子の試合が同時進行で巻き起こる物語である
たまに見る悪夢のような内容のシュールなストーリーで出演者も、板尾創路や宮川大輔、宮迫博之などの松本軍団や神木隆之介などの芸能人が多く出演していた前作に対しメイン出演者は松本さんだけなど多くの試みがあったが
収入は4.7億と前作を下回る結果になった
そして次に公開された映画は「さや侍」という落ちぶれた侍が処刑を逃れるために30日以内に姫を笑わせよ娘のために生きようとする感動作品
こちらも大きくヒットはせず映画業界としての評価は今ひとつだったが
働くおっさん劇場で活躍した野見隆明さん(一般人)が主役を演じるという挑戦や、可愛い娘のために笑いに命をかける姿を当時父親になりたての松本人志に照らし合わせたり
そして2017年に紅白に出場しブレイクした竹原ピストルさんが主題歌を務めておりその曲なども相まって松本人志監督作品の中ではこの作品が一番好きという意見も見られる
そしてこの作品で松本人志監督の評価が少し上がったと思われた矢先のことだった
2013年に松本人志の現在最後の映画監督作品「R-100」が公開される
R指定の意味のあるタイトルだが実際はR15作品で超ドMの男が入った不思議なクラブの会員になり日常にドS嬢の女王様が現れそのSMはエスカレートしていくという内容だが、実はその映画は100歳になる老人監督がとった映画で100歳にしか理解されないというものという内容である
この映画には吉本も大金を投資したが結果は2億円収入という大爆死
松本人志オワコン説が流れる要因となってしまった
そしてそれ以降、松本さんは2024年現代に至るおよそ10年の間まったくメガホンを取ることはなかった
お笑いの天才松本人志がなぜ映画監督として失敗してしまったのか
其一は映画のジャンルでコメディ作品を作ろうとすると失敗する思考がある
映画で笑えるものは多いが例えば「トイストーリー」には爆笑するシーンは数多く見られるが「トイストーリー」をコメディ映画だと言う人はいない
映画のギャグは第二ジャンルにすぎず感動やロマンスなどのメインテーマがある中でギャグを作られているものがヒット作品のほとんどである
ギャグやコメディ主軸でストーリーを考えてしまうと軸がぶれてしまうからである
そしで松本人志監督作品は大日本人しかりしんぼる然り、2時間のコントと呼ばれている
コントというのはせいぜい10分弱、長くても30分が相場である
10分弱のコントを数本、合計2時間ではなく一つのコントを2時間見るのはお客さんのスタミナが切れてしまう
それが一つだと思われるが
僕が考えるいちばんの要因は松本さんと映画の相性が悪かったという事であると考える
わかりやすく言うと松本人志の思う「成功」と映画業界の思う「成功」の意図する所が全く逆である事だと考える
松本人志の笑いは実験そして研究であり、SASUKE同様に自分の笑いが世界の観客にどう伝わるのか?という部分であったり作品にも自身の発想や出演者に一般人を起用するなどの挑戦が見られる
そして僕は意外と松本さんの映画の中で「しんぼる」が好きなのだが
脱出計画を考える時の顔や、屁を嗅がされたり思ったアイテムが出ずに1人で突っ込みを入れ(狂っている?)たりする松本さんの演技に爆笑を誘われるが
ラストの数分、松本さんが部屋から脱出しようと無数のシンボルを掴むと同時進行でメキシコ人プロレスラーに異変が起きるなどのシーンは
初めて見た時、見ていて何が起こるのかというハラハラする好奇心をくすぐられるそして、最後のオチは見ていて疑問を抱き、自分が松本さんのファンではなかったら「なんなんだこのクソ映画は」と述べてしまうのかもしれないが
ここで重要なのは僕がラストに釘付けになってしまったと言う事実だ
本当につまらない映画では最後まで釘付けになったりしない
つまりあの作品には観客の好奇心をくすぐらせる魅力を出させる力があるのだ
そしてR100の試写会時のエピソードにしても実際見に来ていたお客さんはポカンと見ていたらしいが松本さんはその光景を見て自分の狙い通りと喜んだらしい
人は皆それを松本の自己満(オ⚪︎ニー)と称するが、自分の狙った反応を引き出せるのは松本人志が天才である証拠だと言えるであろう
そういう意味では松本人志の映画は成功していて、そして松本さんは映画監督の才能がある人なのだが
映画業界というものは成功を映画全体の評価で見る
それならまだわかるが映画業界は評価は低いのに売り上げが大ヒットしていれば成功と見做してしまうのだから恐ろしや
100億や50億以上は愚か、10億にも満たない売り上げとなった松本人志の映画はどの作品も低評価という扱いを受けた

しかし松本人志の奇妙な世界観やその挑戦をまた心待ちにする声は多く上がっている
もし松本さんが(まずは全体的な活動を復帰してほしい所だけども笑)映画に復帰するとしたら
配給会社を通して映画館で上映するのではなく
吉本の劇場でライブ的な感じで上映してそれを松本さんや出演者、あるいはパネラー枠で千鳥・かまいたち・陣内智則などの芸人と共に見るなんて感じで上映したら結構お客さんも入ると思うのだが
皆さんは松本さんの映画はお好きですか?
そしてまた新作作品を見てみたいですか?


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