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足立実の『ひと言』連載にあたって

(画像は1998年、70歳の足立実)

足立実(あだちみのる・1928年8月12日~2022年2月9日)は東京東部地域の合同労組、東京東部労働組合(東部労組)の初代委員長であり労働組合運動の傑出した指導者であった。

戦前に北海道で出生し、当時「少国民」として皇民化教育を受け、本人曰く「軍国少年」として育ったという。

しかし1942年、14才の時に一家で当時日本の傀儡国家であった満州国の都市ハルビン(哈爾浜)に移住する。そして1945年、17才の時にハルビンで日本の敗戦を迎えてから中国の地で労働者として肉体労働に従事してきた生粋の労働者である。

1958年、30才で日本へ帰国するまで中国の地で中国共産党の思想や作風に触れてきたという。1949年、21才の時には中国共産党が中華人民共和国を建国した中国革命を目の当たりにしている。

日本帰国後も工場労働者として働いているが、中国での思想と活動を引き継いで労働運動による社会変革を目指し1968年、40才の時に東京東部地域の地域合同労組、東京東部労働組合(東部労組)を結成、初代委員長に就任した。そしてそこからは一貫して労働者の組織化と指導・教育にあたってその運動に一生を捧げている。

足立はいわゆる「高等教育」を受けていないが、中国革命を目の当たりにして社会変革の必要性と現実性を確信し、多くの経験と猛烈な努力を重ね自己を変革させた。

そういう意味で「傑出した労働運動指導者」を超えた「革命家」であり「共産主義者」であった。

本ブログはその足立が1983年(55才・東部労組副委員長時代)から2006年(78才・東部労組相談員時代)まで東部労組機関紙に『ひと言』として連載していたコラム集である。

このコラムは執筆当時の時代背景をモチーフとして、一般の組合員・労働者にもわかりやすいように短く簡潔にかかれているが、足立の労働運動に対する思想や信条、作風が凝縮された珠玉の文章群である。

そして、このコラムは現代に活動する労働運動指導者のみならず現代を生きるすべての労働組合員、労働者に対する足立の遺言であると考える。

このブログの運営は足立の遺志により、その執筆した文章群の管理を委託された「21労働者大学」が管理・運営する。

「21労働者大学」とは東京東部労働組合の組合員やそのOB・OGが中心となって足立の思想を学んできた「高等」労働学校である。足立なき今も、彼の意思を引き継いで活動を継続している。

これら足立の後世の労働運動への指針ともなるべき「労働運動遺産」ともいえる文章群を書庫にほこりまみれに眠らせておくのは大きな損失であると考えここに広く公開することとした。

当然ながらこれは生前の足立の了承も遺族の了承もとってある。

まずは足立の思想が凝縮されたコラムの「ひと言」から始めようと思うが将来的には彼の膨大な文章群を広く公開していきたいと考えている。

筆者の意向を尊重して、明らかに間違いと思われるもの以外は原文に忠実に掲載する。

本文以外の注釈や解説についての文責は21労働者大学にある。

本ブログが多くの労働運動活動家、労働者の目に留まり、日本社会を変革する一助になれば私たちも幸甚の至りであり、またそれが何よりの足立に対する手向けとなると確信している。

2022年10月16日

21労働者大学

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