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とりはくーたましん美術館『邨田丹陵 時代を描いたやまと絵師』

※この記事は『博物館紹介サイト とりはく』のコンテンツです。
 博物館にご興味のあるかたは、ぜひ『とりはく』も見てみてくださいね(^^)


JR立川駅から徒歩8分ほどの場所にある『たましん美術館』。
多摩信用金庫の中にある多摩文化資料室を母体に設立された『公益財団法人たましん地域文化財団』が運営する美術館です。
2020年、多摩信用金庫本店移転に伴い、多摩地域の文化拠点となることを目指して開館されたのだとか。
2020年……以前紹介した『PLAY! MUSEUM』と同じく、コロナ禍中での開館だったんですね(^^;)
多摩地域で活動している作家や、多摩地域にゆかりのある作家の作品をメインにしつつ、近代日本の優れた絵画や彫刻作品、中国や日本の貴重な古陶磁などの所蔵品を中心に展示……まあ、つまり、わりとなんでもアリな感じみたいです(笑)

では、いざ中へ。

たましん美術館外観

……これがな~、言うてもたましん本店ビルの中にあるので、知らないと入りづらい雰囲気ですね(^^;)
入り口から入ってすぐにガードマンが立っていて、いらっしゃいませでもなんでもないし、謎のオブジェの向こうに美術館があるので、若干気後れしました(汗

謎のオブジェ

お迎えスペースはなにか工夫をしたほうがいいような気がします。
ただその分(?)受付のお姉さんは大変親切で、見学前にロッカーの場所を案内してくれたり、ちょいとハイテクな美術館の入館方法を教えてくれました(^^)……あれ、危なっかしく見えたのかな?(汗汗

入館チケットにあるQRコード読み取りでゲートが開くようになっている

私が訪れた時は、『邨田丹陵 時代を描いたやまと絵師』という展示会を開催中でした。

私は不勉強で邨田丹陵なる人物のことをよく知らないのですが、歴史の教科書に載っている『大政奉還』図を、現在の立川市砂川町に住まって描いたのだとか。
その縁で、今回の展示も砂川家所蔵の作品が多くありました。
これがまた保存状態がとてもよくて、砂川家のひと達がいかにたいせつに作品を受け継いできたのかが窺えます。
こういうの見ると毎回思うのですが、作品の美しさや稀少さはもちろんだけど、それを後世にまで遺したいと思い守ったひとがいる、ということが、その作品の何よりの価値なんですよね(しみじみ)。

広い前室と奥の狭い部屋2室で構成された展示室内は、落ち着いた雰囲気で、美術館にありがちな照明の暗さもなく、居心地がいいです(^^)
展示数は少なめですが、その分ゆったりと作品が並べられていて、混雑時でも見学しやすいかと思います。
基本、すべての作品にガラスの覆いがされていましたが、照明の映り込みがないのは素晴らしい!

若干見学順が判りづらいですが、特に決まった順番で見る必要もない構成になっています。
逆に言えば、作品の年代順やなにがしかのテーマ別にまとめた展示をしたほうが、邨田丹陵という人物を理解するにはよかったかもしれません。
丹陵さん、基本的には緻密で繊細な画風なのですが、時折とても力強く大胆な筆さばきなどもあって、心境の変化なのか環境なのか、丹陵さんの人生の歴史と照らし合わせてみると、また違ったおもしろさがあったんじゃないかな~。

あと、展示会の趣旨として「明治以降の新たな「日本画」創出の動きの中で、日本古来の史実をテーマにした歴史画というジャンルが果たした役割を探ります。」とあるのですが、展示会のタイトルになっている『やまと絵』についての解説はどこにもなかった気がするんですよね。規定が難しいようではありますが、簡単な説明があるとよかったかも。

やまと絵とは……(参考までに)

絵については私はさほど詳しくないので、所感をばさらりと。
印象に残っているのは『月夜望嶽』という、夜の富士山が描かれた作品。
夜陰に幽く浮かび上がる山の端がなんとも美しい一枚です。
富士山の絵ってたくさんありますが、夜景は珍しいんじゃないでしょうか。
丹陵さんはちょいちょい、古来ある題材をひねった角度で描くという試みをしています。
『蓬莱図』も、多くの画家が架空の島としてそれっぽく神秘的に描くところを、あえて普通の風景画のように描いているのだとか。
確かに、旅行先でこんな景色見たことある(・∀・)

『二楠』は、背景の陣幕に薄墨を用い、彩色された人物を浮き立たせて見せるという、本の挿絵みたいな技法が使われています。
上から枝垂れる松の鮮やかな緑が画面をバランスよくまとめていて、これも印象深い作品です。

奥の小部屋に展示されている大判絵図『霊峰富嶽図』。
これ、圧巻なんですが……ちょうどショーケースのガラスの継ぎ目が絵の中央に来てしまっていて、なんか惜しい!(≫_≪)

惜しいついでに『常盤雪行之図』の解説ボードにある「追求」はたぶん「追及」、もっと言えば「追跡」?

……なんてツッコミどころもあって、大変楽しく見学できました(^▽^)
会期は今月いっぱいですので、ご興味持たれたかたはぜひ足をお運びくださいね!

たましん美術館
・開館時間 10:00〜18:00(入館は30分前まで)
・入館料    一般500円
                   高校生・大学生300円(中学生以下無料)


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