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父は大腸癌、母は認知症 溢れる涙〜自宅での看取り 第1章

母の病気を知る

母が認知症であることを知ったのは2014年2月の昼下がりでした

私の両親と私たち夫婦は同じ敷地内で母屋と離れという形で暮らしていました 居住スペースは違うけれど基本的には同居家族でした

2月のある日曜日 夫と二人で昼食を兼ねて外出し帰宅したところ

車から降りると同時に 父親に呼び止められました

この日のことを私は一生忘れることはないでしょう

今でも溢れる涙が頬をつたります

父は私に最近の母の話をしました

私の母は、娘の私が言うのも自慢のようでアレなんですが

気丈な頑張り屋で人一倍気の強い性格でした

農作業が好きで美味しい野菜を作ることだけをいつも考えていた

そして私や私の子供たちのためだけに生きていたような人でした

その母が・・・・私の気がつかない間に

認知症になっていたのです

驚きました 信じたくないと思いました

話をすれば普通に話をするし、これといって変わった様子もないし

私は父を問い詰めました

「嘘でしょ?」「何で認知症だって思うの?」

父は多くを語りませんでした

「助けて欲しい」「面倒を頼む」「力になってやってくれ」

このような意味のことを私に言い

父と母の貯金通帳を渡され「管理して欲しい」と言われました

この日から私の「介護の日々」が始まります

介護の日々の始まり

母の病気はアルツハイマー型認知症でした

その後 介護申請をすると要介護2の判定をされました

母の病気を知った直後 母とゆっくり話をしました

しかしそれほど深刻な感じは抱きませんでした

薬を飲めば治るんじゃないか?

ぐらいに軽く考えてていた自分がいます

しばらくして母の様子が明らかにおかしいことに気付きます

まず、母の部屋に入ってびっくりしました

布団は敷きっぱなしで脱ぎ散らかした衣類が散乱していて

布団の周りは物が溢れていました

その頃から洗濯をしなくなりました

入浴も嫌がるようになりました

認知症の典型的な症状です

「お風呂に入ってよ〜」て言うと「昨日入ったからいい〜」と言い

「洗濯したの〜」と聞くと「今したばっかりじゃん〜」と答え

「ご飯食べよ〜」と声をかけると「なにごはん?」と聞かれ・・・・・

私は「認知症」と言う言葉は知っていたけれど

具体的な症状は知らなかった

認知症について

「認知症」は脳の病気です

記憶力が悪くなるとか物忘れがひどいとか

そんなレベルじゃなくて

3分前 いや1秒前かもしれない

その一瞬を思い出せない 忘れてしまう病気なんです

忘れてしまうことは ある意味本人にとっては幸せなことで

なにを言ってもすぐに忘れてしまうので

「この人には何を言っても無駄」だと開き直り接するしかありません

母は 認知症以外には具合の悪いところはなく健康だったので

父と一緒に畑仕事を続けながらデイサービスに通い始めました

                       第2章に続く