6月29日サブゼミCA【日本におけるムスリム・フレンドリー(Muslim Friendly)について】
記事
近年、日本におけるイスラーム教徒(Muslim,ムスリム)の人口が増えつつあり、朝日新聞デジタル(2023年5月6日)によると、2020年末まで、日本人ムスリムを含めて、約23万人が滞在しており、10年前から倍増しているようである。そこで、「ムスリムに優しい環境」という課題が注目を集めている訳である。では、どのような「環境」はムスリムが求めているのか?
日本のムスリムたちが直面している課題としては、イスラーム教の規則と日常生活との葛藤である。例えば、ハラール認証の飲食品や礼拝の空間など、ムスリムにとって必須な「もの」が十分に提供されていない、あるいは備えていないのである。また、日本文化に直接にぶっつかる状況もある。例えば日本の埋葬法のほとんどは火葬であるが、イスラーム教は土葬である。さらに、墓地のための土地使用や費用はおろか、地下水が汚染されるという懸念もありながら、反対の声が上がってきた。そして、服装に関して、特にムスリム女性の服装はヒジャブをつける義務があるため、就職(アルバイトも含む)のハードルはかなり高いという指摘もあった。それに、服装の関係で差別的な態度を取られてしまう場合もあるそうである。
以上のように、ムスリムが今後どのように日本社会に受けられるのか、さまざまな課題がある。
今回のテーマに関して、
私はムスリム・フレンドリーの環境整備を推進した方が良いという立場から議論しながら、
討論者たちは慎重にという点から反論をしていただく形になる。
観光客だけでなく、在日ムスリム・日本人ムスリム(改宗・2世以降も含む)
身近な事例:(例)大学・居住地・旅行先
【事実確認・前提質問】
ムスリムフレンドリーとハラール認証との違いについて。
➡今回はムスリムフレンドリーについて議論する。(ハラール認証はムスリムフレンドリーの取組の一つ)ムスリムフレンドリーとは、簡単に言えば「ムスリムの人たちが暮らしやすくするための環境整備」という理解でOK。
豚肉禁止、飲酒禁止などの食行動の制限について
レストランで導入する場合、人によって違いがあるため、そこを統一した上での導入は難しいのではないか?
➡絶対に、レストラン側がハラール認証を獲得する必要性はない。そのレストランが「ムスリムの人に来てほしい」と思う場合に、ハラール認証獲得に向けて取り組めばよい。
ハラール認証はムスリムに配慮していることの客観的な証明になる。
認証を受けない場合、ぼったくりのようなレストランも出てくるのでは?
➡あくまで、ムスリムの人に選択肢を与える取り組みの一つ。
意見・論点
①異文化の交流が深まるのでは?
例えば、イスラーム教に対する認識を広げるチャンス(誤解が解ける)、人権に対する尊重を学習することができる。
異文化交流、多様性の尊重について
韓国・反イスラムの意見
「ムスリムフレンドリーを推し進めた場合、反イスラムの意見が強まり(目立ち)、人種差別の助長に繋がる」のではないか?
➡人種差別も一つの自由。人種差別ではなく、「ムスリムが好きではない」という一感情として捉えられる。自国民のムスリムが増えていることを踏まえると、ムスリムの好き嫌いも一個人の選択の権利がある。(支持政党や宗教と一緒)
②日本における「おもてなし」を補完できるのでは?
ムスリム観光客だけでなく、ムスリムの人材が日本にくるであろう。
立論者が考えるムスリムに対する「日本のおもてなし」とはどのようなものか?
➡当たり前のように、
日本に来て、自分の出身地と変わらない感覚を抱ける
日本におけるムスリムフレンドリー
現状、インターナショナルなところにしか置いていないイメージだが、大学やショッピングモールなどより日常に近いところに取組を設置することも含まれるのかどうか?
➡現段階では全てとはいかないが、徐々に推進していく。
③ハラール産業の発展につながるのでは?
経済的な側面から考えると、人口約16億人のムスリムの経済活動に日本の個人や企業が参加できれば、大きな利益をもたらすであろう。
④選択肢を増やすことは多様性の尊重につながるのでは?
政府ないし個人は、「あえて」マイノリティの利益を擁護するのではなく、誰にでも優しい環境を整備し、選ばせる権利を与える努力こそ、マイノリティの団体が求めているのであろう。
選択肢の増加について
日本のクールビズとムスリムのヒジャブ、同じ空間で両方が快適に過ごすことは難しいのでは?ムスリムを尊重しようとすると、日本人の快適な環境を阻害することにつながりかねないのでは?
➡ヒジャブをつけなくてもよくなってきている。義務ではない。
➡本人の意思によって変わってきてしまう。
ハラール認証とムスリムフレンドリーの概念が別のものであることについて
ムスリムフレンドリーの概念:イスラム教徒の意識の高まりにより、経済的戦略的側面が含まれているといえる。
戦略のために緩い基準でムスリムフレンドリーを進めることで、
➀ムスリムの宗教上の規範にそぐわないものが出てきてしまう
②ハラール認証による二重基準のリスクの高まり
の2点の問題が出てくるのではないか?
➡日本ではまだムスリムの認知度・理解度が低い現状。そのため、緩い面はある程度仕方がなく妥協せざるを得ない。最低基準の環境が整備されたらいいな…
➡ムスリムフレンドリー=ハラール認証 基準を緩めずにハラール認証を進めていくべきでは?
➡現段階としては、妥協は仕方がない。
予想される反論・再反論
①人口とコスト面から考えると、現段階の整備はちょうど良いのではないか?
②「イスラーム教」が日本での生活慣習・文化に馴染むことはできないのではないか?
参考文献・URL
先生からのコメント
イギリスでの経験上、○○人と言い出したら終わり。
~さんと言われているうちはよい。
基本的に、「個人」として受け入れることが大事。全てを認めることが前提で、歩み寄ることを基本としたうえで接することが大切。
人権というのは、あらゆる思想や宗教の上になければならない。
もう一つの論点として、
原理主義的(例:フランス)考えについて議論できると面白かった。
一人の個人として付き合うという考え方をすると、特定の宗教を支持するといったようなことは無くなる。
民主主義も答えは一つではない。
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