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禁断の扉⁈ロード選手とトライアスリートの漕ぎ方の違い

皆さんこんにちは!MihoCですっ!

スイスイ水曜日、『MihoCの読むトライアスロンレッスン』の時間ですよ!


今週は、遂に!遂に!禁断の扉を開けてしまいますっ!


『ロード選手とトライアスリートの漕ぎ方の違い』について。


なんで禁断かって言うとね、例えば『マラソンの選手がトライアスロンのランニングについて考える』とか『マクドナルドの人がモスバーガーの商品について語る』とか『烏龍茶の専門家が日本茶について考える』とかそうゆう事だから。

これってたくさんの意見があると思うし、コーチによって意見がたくさんあると思う。それに、同じ事を言っていても語彙化における表現の相違があるかもしれない。

今日は、〝トライアスロンコーチのMihoC的な表現のひとつ〟として読んでもらいたい。


機能解剖学的視点とプロの意見も交えて書き記そうと思います。


それでは、レッツトライアスローーーーーン‼️



トレーニング中にインタビューさせてくれたプロトライアスリートのピーちゃんありがとう!

え?邪魔してないよ?




1.これを考えるキッカケになった出来事


自粛期間を通じて、様々なプロアスリートがSNSを利用したライブ配信をたくさんしてくれていた。

私も、サッカー選手やマラソン選手、競泳選手など、たくさんのアスリートの〝声〟をライブで聴ける事が楽しくて、またとても勉強になり拝見していました。

その中で、あるトッププロロードバイク選手お二人が、インドアローラー中にライブ配信してくださり、その中で『質問がある方お気軽にどうぞ〜♫』と言ってくださっていたので、〝遠慮なく!笑〟とコメント欄で『私はトライアスロンをしています。ロード選手は、引き脚の時にヒザをどちらの方向へ出すイメージですか?』と聞いてみた。

自分の中では『ヒザは前に出す意識です』または『ヒザは上にあげる意識で引き上げます』と言う答えを想定していたのですが、なんとお二方は『ヒザは外に出す』と仰ったのです。



な!なんですって!?



外?ヒザってまっすぐに、左右の大腿骨の上端の幅で出すんじゃないん?!😱🔥



ヤバイ。オモシロスギル。



おもしろすぎるやん!



コーチとしての火が着火🔥この謎を自分なりに解明してみることになったわけなのです。


そんなこんなのプロローグ。




ノート何ページに渡って書いたか分からないほど書き出した。




2.ロード選手とトライアスリートの競技特性


まず、これは冒頭に置いておかなければなりません。

ロードバイクの選手は、レースが自転車で始まり自転車のフルモガキでフィニッシュする。

トライアスロンの選手は、レースがスイムで始まり自転車の後にランパートがあり、ランパートでフルモガキしてフィニッシュする。

この違い。

トライアスロンは自転車の後にランパートがあります。


故に、自転車パートでは〝出し切って〟はならない。そしてランで使いたい筋肉・使いたく無い筋肉を意識し、消耗を防ぐ必要があります。

とくに、ランでは前腿は使いたくありません。ランにおける前腿は〝ブレーキ筋〟と呼ばれるからです。

前腿をバイクで使った後、水分が枯渇しやすいランパートで前腿を攣るIRONMANをよく見ますが、それはそれは体中の『攣る』という現象の中で一番の激痛であると感じています😱前腿攣るのこわいよぉ。。。
なので、なおさら自転車で前腿使いたく無い…。


一方のロード選手は、長〜い時間同じ姿勢で自転車を漕ぐ必要があり、ゴールスプリントのお仕事がある人は、最後に全身の筋肉を使って全力ダッシュする必要もあります。


自転車の漕ぎ方が変わるのも納得の競技特性の相違。

たくさんの違いはあるものの、今回は『ヒザを出す方向』『前腿の使い方』について考えてみたいと思う。

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3.各競技のプロ選手の声から浮き上がった大きな漕ぎ方の違い



先に言っておきますが、かなりマニアックな世界です。是非イメージしながら読んでみてください❤️



全てを書く前に、大腰筋について説明しておきたいと思います。
大腰筋?腸腰筋?知ってそうで知らない人も多いと思います。


腸腰筋というと、腰の1つの筋肉の名前かと思われがちですが、実際は腸骨筋、大腰筋、そして小腰筋の3つの筋肉から構成されています。小腰筋は退化してほとんど無いとも言われているので、実質2つの筋肉の組み合わせを腸腰筋といいます。

腸腰筋の働きや機能について
◆股関節の屈曲……太ももをお腹に近づける動作の時に使われます。日常の動作で言うと、歩く走るなどの基本的な動きも含まれます。

◆股関節の外旋……大腿骨(太ももの骨)が回転するような動作の時に使われます。今日のテーマでいう〝ロード選手がヒザを外に出す動作〟もこの股関節の外旋動作にあたります。


大腰筋が今回のキーになりそうです🔑


大腰筋の起始は、背面の肋骨の一番下端から始まり、大腿骨の付け根(小転子)まで繋がっていて、体幹(上半身)と下肢を繋ぐ筋肉は、唯一大腰筋だけ。

ヒザを上げるための筋肉として、ローディーやランナーの間では有名となりましたが、実は大腰筋はイラストの通り肋骨の下端から始まる長い筋肉で、故に『側屈や横ブレの制限にも関与する筋肉』でもあります。
機能解剖学的的に言うと、『立位で対側に側屈する際に遠心性収縮が起こる』と言えます。この言い方はちょっぴり難ちぃね!


ちなみに、大腰筋が一番パワーを発揮するのは、股関節の屈曲角度が90°より狭くなる時に強くなります。

まさにロードバイクの上でペダルを漕ぐ時の姿勢ですね!



大腰筋は腸腰筋の一部で、どのような筋肉なのか分かりましたね!



それでは本題に戻りましょう✨



トライアスロンの漕ぎ方は上記で述べた通り、『前腿を使いたく無い』『臀部の筋肉を使い出力する』『ヒザはまっすぐ出す傾向がある※』と言えます。
全ては走る脚を残すためです。
※ここでの『まっすぐ』は、大腿骨の上端の左右幅を指すこととします。

なぜトライアスリートの多くは、ヒザを外に出さずに漕ぐのか?を考えてみよう。

トライアスロンはランのために下半身を温存する必要があり、『自転車で全力を出し切る』という漕ぎ方をしません。
もちろんバイクパートも頑張るよ!でも、トライアスロンにはその後ランパートがあるのです。IRONMANであれば、バイク180kmの後にフルマラソンが待っています。

ロードの選手は、ロードバイクの上で全力を出し切る必要があります。なので、エンジンとなる臀部の筋力をたくさん動員させるために、ヒザをいろんな方向に出して、ヒザを出す方向によって臀部の出力を分散させ、消耗を防ぎつつも出力を落とさないように漕ぎ続けているのだと思います。

例えば、ヒザを外に出せば内転筋がより伸ばされ、ヒザを外から踏み込めば伸ばされた内転筋のパワーもありつつ、臀部の中でも仙腸関節に近い筋肉から多くの臀部の筋肉が動員される。

ヒザをまっすぐ前に出せば、内転筋がそこそこ引っ張られ、踏み込みでは大臀筋や中臀筋を無難に使うことができる。


しかし、そこで着目したいのが、
【ヒザを外に出すことによって】👉内転筋がより強く引っ張られ👉それによって腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋が動員され👉内転筋が強く使えるから外旋筋を発揮できる👉というメカニズムでロードの選手がヒザを外に出して強い出力を出す時👉強く引っ張られた後に戻される内転筋と同時に前腿が動員されて踏み込みを行っている、ということに、繋がっているのでは無いか!?


まわりに回って、膝が外に出ると前腿が動員されることに行き着きました。


(小声:ハァーーーー熱量使うゎw)




4.大腰筋が伸びる方向に着目する



上のイラストにもある通り、大腰筋は体の中心軸から始まり外側に向かって広がるように少し斜めに伸びています。

自転車の上では、この写真のように前傾姿勢が求められます。ペダルを回すにあたりヒザが上がり、股関節が最も深く曲がるところまで大腰筋を収縮させることにより、深層外旋六筋が動員されて骨盤が安定し、故に100%を超える出力を実現することができます。
(New SHIVとMihoCの最強コンビネーションだよ♡)



強く踏み込むために、大腰筋の収縮が必要不可欠なことはもう分かってきましたね!


ここで大腰筋が伸びている方向に着目してみました。


お?外に向かって斜めに伸びてるじゃ無いですか!

伸びた先でくっ付くのは大腿骨(の上端)。


大腰筋の伸びる方向(イラスト内赤矢印)に合わせてヒザをやや外に出すと、ちょうどハンドル幅くらいになる…🤔


膝ってまっすぐ出すことが、正義!って思ってたけど、もしかしたら〝パワー〟の観点から言うとまた別なのかもしれない…。(MihoCの頭の中の声)



外にヒザを出すと、大腰筋の働きが強くなるため、出力が高まる。

これは単純に『ガニ股・ウチ股』の観点から見てもイメージしやすいと思います。


単純に、筋肉量の少ない女性はヒザが外に行くことはなく、ウチ股になりやすい。(股関節の可動域等にについてはここでは割愛)

筋肉量の多い男性は、女性よりガニ股になりやすい。

…これとも繋がるんじゃないかな。


他にも、バドミントンの選手が大きく前に足を踏み出してレシーブ時、高速に対応するために着地で強い衝撃をキャッチしなければならないので、ヒザを外旋させて着地しています。これがガチ股に見えますよね!



そうか!
ヒザを外に出すともっとパワーが出せるんだ❗️


ロードの選手が自然とやっていた『ヒザを外に出す』という意識が、だんだん理解できて来た。


ここまで考えて来て、私の頭の中では2つのポイント『大腰筋の方向』と『臀筋群と内転筋の関係』←が整理されました。





5.実際にプロトライアスリートがこの乗り方を実践してみた!


さぁ、終盤に差し掛かりました!


ここでプロトライアスリート、プロ登場です!
(※MihoCは現在プロではなくプロコーチです)

以下、プロトライアスリートが大腿骨の外旋によりヒザが外に出た状態でインドアローラーでライドした感想です。

👇

MihoC『ピーちゃん、説明した通り、バーエンドキャップ方向にヒザを出す様に、ヒザをハンドル幅くらいでペダリングしたら、出力がどう変化するか回してみてくれますか?』

ピーちゃん『横の意識を持ってローラーしたら、意外といい感触得られましたよ👍』

MihoC『なんと!それは凄い!どの筋肉が使いやいなどの新しい感覚はありましたか?』

ピーちゃん『主に大臀筋の下と内転筋、ハムの内側の方(黄色い所)に負荷を感じられました。外側広筋の筋緊張が抜けていく感じがありましたね!』

MihoC『このペダリングは持続可能だと感じますか?』

ピーちゃん『持続することで慣れて来て、引き脚と踏み脚のタイミングが合っている時には、仙腸関節(青の所)が動いてる感覚がありました。』

MihoC『全体的にはいい感覚だったんですね!ではトライアスリートがこのペダリングで気を付ける点はあるかな?』

ピーちゃん『一点気をつけるポイントとして、引き脚の時にちゃんと上死点まで脚を上げ切らないと、大腿直筋でペダルを踏み込んでしまうのでランパートで脚が前に出なくなるかもしれないな、という印象ですね。』


※ピーちゃんご協力ありがとうございます!引き続き、応援しています💪


なるほどぉぉぉぉぉ〜〜〜!!!
安易にロード選手のマネ事は出来なさそうですね。
おそらく、ロード選手の股関節は屈曲角度の可動域が広く(高く)、強い出力で踏み込みが出来る様に、大腰筋の収縮と伸長にも長けているのだと思います。



うおーーープロロード選手のライドと体の使い方を勉強したいぞーーーーーーー‼️‼️(叫)

プロの世界ってやっぱ凄いー!
プロトライアスリートもプロロード選手も、凄すぎるぞ。カッコぇぇ…🥺❤️

プロのことを話しましたが、もちろん、主動筋と拮抗筋のバランスによって骨の維持力や筋肉の出力が上がるし、感覚は人それぞれです。

正解はなく、痛みさえなければ全て正解です。

自分のスタイルを確立している方は、今のライドスタイルを磨き上げてください。

でももし、プロのロード選手からもらった〝ヒント〟を活かすチャンスがあって、トライアスロンの長い長いバイクパートの中のほんの少しだけヒザを外に出す時間を作ってみると、臀筋群の使う筋肉が変わったり、出力を瞬間的に高められたり、疲労を分散出来たりするかもしれません。


最後に、ひと言。

トライアスリートはロード選手から学び、大腰筋の柔軟性と強化、内転筋の意識向上を高めることは必要不可欠と言えるという言葉で、今週を締め括りたいと思います。

今週も熱く語りました。
もし、プロロード選手の皆様、プロトライアスリートの皆様、コメントやアドバイスがあればMihoCまでメッセージください😊❣️続編を書こうと思います。

ほな!また来週!



…バイク乗りたいなぁ♡

こんな笑ってるけど一応NP200w前後でレース中



早くみんなとTRIMINGウェアを着てレースに行きたいね!

それまでコツコツ練習だ!




TRIMING代表
トライアスロンコーチ
MihoC


※MihoCの『読むトライアスロンレッスン』スイスイ水曜日に毎週配信です♩**


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