見出し画像

【キャリア教育】授業支援アプリClassCloudの裏側に迫る授業

1 自己紹介

私は「社会と学校をつなぎワクワクを作る」合言葉にゲストティーチャーと協働した授業を行っている公立小学校教諭です。ゲストにしか話せない言葉を引き出し、ゲストだからできる活動を考え、オンリーワンの授業を目指しています。

2 今回の授業を一言で表すと?

子どもたちが普段から使っているClassCloudという授業支援アプリ。総合的な学習の時間に、その開発者である株式会社Mikulak代表の原田眞さんから仕事の内容ややりがいについてお話しいただきました。子どもたちがプログラマーという仕事を知るだけではなく、クラスで日常的に使用しているClassCloudに込められている思いを知る授業を行いました。

3 ゲストの紹介

原田さんは、東大発のスタートアップ数社をはじめ、多様な業界の開発支援を行っているそうです。現在、ClassCloudという授業支援アプリの開発者であり、開発元の株式会社Mikulakの代表です。原田さんは、現場目線をとりいれながら、より使いやすいアプリを目指し日々奮闘されています。

4 授業での3つ工夫

工夫1 仕事内容を端的に示す。
工夫2 プログラムを即興で変化させる仕事体験。
工夫3 いつも使っているアプリの開発者の話を聞く。

5 どんな授業だったの?

まず、原田さんから仕事の内容についてお話をしてもらいました。
プログラムを書いて、新しい機能を作るだけではなく、先生方に使い勝手や困っていることがないか聞く活動、製品を知ってもらうような広報活動、先生方に使い方を覚えてもらうための研修会等多様な活動があるという話をしてもらいました。子どもたちはプログラマーという仕事があること、その仕事が多岐に渡ることに驚いていました。ClassCloudは、コードというパソコンの命令で動いていること、さらに、そのコードの行数が30万行以上ということを教えていただいた時、子どもたちは驚きの声を上げていました。原田さんはそれをコツコツと構築していったと聞き、子どもたちはさらに驚いていました。
興味深かったやり取りは、「プログラマーになる人はどんな人は向いていますか?」という児童の質問に対する原田さんの答え。
原田さんは、「真面目な人ではなく、何かをする時に面倒くさがる人」と答えてくれました。
子どもたちは、ポカーン?としていました。こんな30万行もプログラムを書くのにサボりたい人が向いているってどういうこと?といった感じです。
原田さんは、「プログラミングは一度作ってしまえば、後が楽になるようにすること。作業としては、手作業でもできるようなものをプログラミングで自動化することもある。初めに作る時は、時間がかかるけど、後々楽になるということ。そういった意味で、無駄なことをしたくないと考える人が向いています。」という話をしてくださいました。
次に、仕事のやりがいについて話をしてもらいました。
仕事は一人で進めなければならないことも多く大変な作業も多いとのことでしたが、自分が作ったツールで、児童が学んでくれることが大きなやりがいと話していました。
最後に、児童のリクエストに応えて、プログラミングのコードの一部を原田さんが変えるという活動を行いました。これは、仕事を追体験できるように、原田さんと相談して考えた活動です。
コードを一部変えると、いつも見ているクラスクラウドの画面が大きく変わっていきました。例えば、画面の色。白と青を基調に作られていますが、コードを変えると、一気に青が赤色に。色が変わると雰囲気も変わりました。投稿画面の形も、いつもは四角形で作られていますが、丸い形の投稿画面に。どんどん変わる画面を前に、児童は魔法を見ているような表情をしていました。
楽しみながら変化を見ていると、丸い画面だと必要な情報が見つからなかったり、表示できる文字が少なかったりすることに児童が気付き始めました。そこで、原田さんから「みんなが学習しやすいように、色や形を変えている。」という説明をしていただきました。
最後に原田さんから、まとめの一言をいただきました。原田さんのお話の中で、「どんなアプリも作っている人がいる。それを知るだけで優しくなれるかもしれないね。」という話をしてくれました。

児童の感想
学校側が使ってくれるような便利さと、シンプルさを大切にプログラマーのお仕事をしているんだなと僕は思いました。
先生に困ってる事がないか聞いている事が驚いた。困っていることを解決しようとしていることがわかった。
プログラマーという仕事があること自体知らなかった。
プログラマーって大変だと思います。それでもやり続けているのはすごいです。きっと根気強くやっていかないとできないと思います。
使いやすさやシンプルさを考えて作っている。目的を忘れずに、作っていることが分かりました。
プログラマーは気遣いも大切なのかなと思った。 東大から二十五歳という若さで社長になれるんだということが分かった。
社長、エンジニア、プログラマーをなさっていてすごいです。将来わたしは 原田さんのように立派な大人になって社長になりたいです。

6 まとめ

キャリア教育は、仕事の内容を知る、もしくは進学先を知る学習とうイメージがあるかもしれません。しかし、小学校の段階では、身近な物やサービスを入り口にして、それを作っている方々に出会うような授業も大切だと思っています。日常的に使っているものは、様々な人の努力で作られていること、そこに工夫や思いが込められていることを知ることは貴重な学習だと思います。
働くことは、お金を稼ぐためだけではなく、何らかの形で社会に貢献することです。大人が情熱をもって働く姿が子どもたちの職業観を育てると感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?