藤田 美保

『窓きわのトットちゃん』を読み、自由な学校に憧れる。小学校教諭を退職後、市民による学校づくりを目指す。2004 年に「わくわく子ども学校」(現:箕面こどもの森学園)常勤スタッフ、2009年から箕面こどもの森学園校長。現在は、ESDの学校を中心とするSDGsのまちづくりを目指す。

藤田 美保

『窓きわのトットちゃん』を読み、自由な学校に憧れる。小学校教諭を退職後、市民による学校づくりを目指す。2004 年に「わくわく子ども学校」(現:箕面こどもの森学園)常勤スタッフ、2009年から箕面こどもの森学園校長。現在は、ESDの学校を中心とするSDGsのまちづくりを目指す。

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    オルタナティブスクールのつくりかた②「金八先生は、目指さない」

    「子どもの教育に携わりたい」とか、「子どもたちのために学校を創りたい」とか考える人は、「人がいい」方ばかりです。   「人がいい」とどうなるか、 まず、目の前の困っている人をほっておけません。 次に、何でも引き受けようとしがちで、いろいろと役に立とうとします。 さらに、日本には、「おせっかい」という文化と、「金八先生」にはじまるドラマが作り出した「先生像」があるため、子どものことを丸ごと抱え込んで寄り添おうをする熱心な教師像が求められるところがあり、私たち自身もどこかで「そ

      • オルタナティブスクールのつくり方① 「やりたいのは、ジビエレストランか、フードコートかを確認する」

        ありがたいことに、「箕面こどもの森学園さんのような学校を創りたいんです」という方が、見学に来られていろいろご相談を受けることがあります。 その場合に共通するご質問やアドバイスをnoteにまとめていこうと思います。 オルタナティブスクールを創りたい場合、一番初めに大切なことは、実は、まずこの問いに向き合うことです。 「本当にオルタナティブスクールを創りたいのか?」 立ち上げ期の場合、よくこういうことをみなさんおっしゃいます。 「とりあえず、来てくれそうなお子さんを集めて、

        • 代表にはなったけど、少しも重荷を感じないわけ

          ここしばらく不思議だな~と思っていたことは、 「コクレオの森という認定NPO法人の代表になったけど、重荷というか、何か背負っている気が全くしない」ということ。 「どうしてなんだろう~~~」と考えたとき、思いついたことがあります。 そのうちの1つが、自分が何かをするというよりは、「場の力に委ねている」という感覚がすごくあるから。 コクレオの森は、そこに集まった人が紡ぎ出す「場の力」みたいなもので、動いていると思っていて、それ以上でもそれ以下でもないと心底思っているのです。

          • 法人名が「箕面こどもの森学園」から「コクレオの森」になったわけ

            オルタナティブスクール「箕面こどもの森学園」は、「コクレオの森」という認定NPO法人が運営しています。 箕面こどもの森学園という学校名と同じ法人名から、「コクレオの森」という法人名になってから、3年が経ちました。コは、英語でともに。クレオは、エスペラント語で創る。「ともにつくる」という意味を込めています。 法人名を変更した理由は、3つあります。 一つは、関東などにも研修などで行くことが増えたのですが、「箕面」という字を、「何って読むんですか?」と何回も聞かれたこと。 「読

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            窓ぎわのトットちゃんから始まった学校づくり

            ベストセラーでもある黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」が刊行されて40周年だそうです。それを受けて、共同通信社が「トットちゃんに影響を受けて、トモエ学園のような学校を創った人がいないか」探したところ、影響を受けた人はたくさんいるけれども、実際に学校まで創った人はなかなか見つからなかったと言って、私のところに連絡があり、その影響を受けて学校を創った人として、私が取材を受けることになりました。 今回は、私がなぜ「窓ぎわのトットちゃん」に憧れたのか、何を考えて学校を立ち上げた

            コロナ禍で、子どもたちに身につけてもらいたい力とは?

            コロナ禍で、子どもに身につけてもらいたい力って、どんなことだと思いますか?  手指の消毒や体温管理、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなどの、自分や人を守るための方法なのか、それとも、「大変なときだから、行きたいことができない、やりたいことができないってあるんだよ」という行動制限への理解なのか、それとも、「ピンチはチャンス!コロナよ、ありがとう~」という気持ちでデキゴトをとらえ、マインドセットする力なのか… いろんな人がいろんなことを主張する中で、私が一番違和感を感じて

            「勉強するのは、何のため?」と聞かれたら?

            「勉強するのは、何のため?」と、子どもたちに聞かれたら、みなさんはどう答えますか? 「大人になっても困らないため」とか、「受験に必要だから」とか、「いい大学にいくため」とか、いろんな答えがあるかと思います。 先日開催したイベントで、この問いについて参加者と対話をしたところ、参加していた小学生と高校生が、「将来の選択肢を広げるためだと親からも言われるし、自分でもそう思う」「いい大学に行くことが将来の選択肢を広げることで、いい大学に行かないと選択肢が狭まる」というようなことを、

            オルタナティブスクールって、何?

            オルタナティブスクールとは、「もう一つの学校」という意味で、一般の学校でない学びの場で、特定の教育理念と教育方法を持ち、「学校」として運営されているものを指します。 フリースクールが、一人ひとりの子どもの実態に合わしていくことを大切にしているのに対し、オルタナティブスクールの場合は、そのスクールが掲げる教育理念の実現を目指しているという特徴があります。 実は、一口にオルタナティブスクール、オルタナティブ教育といっても、またさまざまな種類があり、私立学校として学校法人化され

            どう選ぶ?フリースクール・オルタナティブスクール  ~フリースクール編~

            フリースクールやオルタナティブスクールは、NPOや一般社団法人など主に民間が運営する教育機関です。学習指導要領によらず、カリキュラムを自由に決められるという特徴があります。学習を重視するところもあれば、子どもの意思を尊重して自由時間や体験活動を多く取るところも。内容は、まるで色鉛筆のように多彩です。 たくさんありすぎて、一体全体、どこのスクールをどう選んだらいいのか悩みますよね。 まず最初に、フリースクールとオルタナティブスクールの違いを理解しましょう。日本でフリースクー

            曲がり角の向こうには、きっと最善がまっている

            法人名が「箕面こどもの森学園」から、「コクレオの森」に変わり、4か月に1回のペースで発行している通信も、「こどもの森通信」から「コクレオてらす」に変わりました。 今回、第2号目のコクレオてらすの1面の記事を担当することに。 てらす担当のまるちゃんから、「なんでもいいので、ミホさんが今思っていることを書いてください」と言われ、どうしようかな~といろいろ悩んだのですが、最近、なんとなく感じていることを書いてみました。 よろしければ、ぜひ、お読みください!! 青い屋根の小さな一

            教師のマインドが変われば、カリキュラムは変わらなくても、教育の質は深まっていく

            大阪の教職員組合の女性部から、組合の学習会でSDGsの話をしてほしいというご依頼をいただいたのは、2年ぐらい前。 「なんで、公立学校の教職員組合が、オルタナティブスクールに声をかけるんやろう?」と思い、「なぜ、私たちにお声かけいただいたんでしょう?」とおたずねしたところ、担当の方から、「喜多明人先生が、ゼミで訪問されていたところなので間違いないと思ったんです」と返ってきました。 早稲田大学名誉教授の喜多さんは、「子どもの権利」の第一人者で、教育機会確保法の成立に向けてご尽力

            自分軸で生きる ~おかしいと思うことには、おかしいと言いたい~

            「民主的な学びのつくり方」Manabeeプログラム。 第2回目は、「自分の人生は、自分でつくる。(自己決定)」でした。 このプログラムをつくるにあたって、プログラムを一緒に運営してくれるManabeeサポーターのみなさんに共有した内容を、せっかくなのでnoteでもシェアしてみます。 ********************************* 実は、大学を卒業してすぐに公立小学校の教員として採用され、公立学校で3年間勤務したことがあります。その頃、周りの教師と価値

            民主的な人を育むために ~Manabeeプログラムが伝えたいこと~

            過去にManabeeプログラムを受けたことがある方(ここではAさんとします。)が、「Manabeeで学んだことが、こういうことだったんだってわかった気がする」と言って、メッセージをくださいました。 それに対して、自分なり思ったことを書いてお返ししたのですが、そのやりとりをまとめてみました。 Aさん:「赤ちゃんが自分と母親の未分化状態から、身体的発達や経験値の積み上げを経て分化していくのと同様に、幼児期、学童期は幼稚園や学校社会で他人と接触して、他人との未分化から分化への発

            それでも前に歩いていくために    ~教育にできること~

            人生には、とても信じられない、到底考えられないようなことが起きてしまうことがあります… そういうことを経験せずに生きていける人もたくさんいますが、経験してしまったデキゴトをずっと抱きながら生きている人もたくさんいます… 箕面こどもの森学園で大切にしている「自己肯定感」「自己決定」「対話」「ESD」が、どうつながっていてなぜ大切なのか、私自身が腑に落ちたのは、私の人生の中で、もっともしんどい時期でした。 今後、信じられないこと、到底受け入れられないことが起きた場合、私自身

            コロナでたいくつなときに!  1年生の男の子のおすすめのすごし方とは?

            低学年のテーマ学習では、「今の自分からはじまる学び」を大切にしていて、「わたしは、こんな人です!」という自己紹介をしたり、家でのお気に入りを紹介したりしています。 その流れで、「コロナでたいくつなときに!あなたのおすすめのすごしかた」ということで、自分が日ごろやっているおすすめのすごしかたを紹介し合いました。 子どもたちがおすすめのすごし方として発表してくれたのは… 「虫取りと、ストレッチ」 「朝のなわとび」 「朝からゲームすること」 「餃子パーティと、テレビをみること」

            みんなでつながって食べるホットケーキは、自分ちだけより何倍もおいしい! ~オンライン学習の1コマ~

            低学年のオンラインでの選択プログラム。 「一人でホットケーキぐらい焼けてもいいかも~」と思って考えたのが、「ホットケーキをつくってみよう!」 当日は、13人ぐらいの子どもたちが選択してくれて、ホットケーキ作りがはじまりました。 13人ぐらいといっても、オンラインなので、学校のキッチンには、私一人。 パソコンと携帯の両方でZOOMにつなぎ、自分を見せたり、材料やボールを見せたりしながら、作り方を説明していきます。 でも、みんなで一緒にやっていた感じがあったのは、生地づくりま