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もうすぐ一年になります

暑中お見舞い申し上げます。香肌峡のある松阪市飯高町でも、暑い夏を迎えております。川を求めて訪れる人々でにぎわういい季節になっています。

松阪市飯高町で大規模な風力発電事業所が計画されていることが、新聞各紙に小さく掲載されたのが2021年7月30日だったか31日のことでした。市議会議員選挙が終わって間もないころ、ひっそりと確実に計画は動かされました。環境影響評価に基づく配慮書というぶ厚い冊子が振興局や出張所などに設置され、持ち出し禁止で住民から意見書を8月30日まで受け付けるとして、怒涛の意見書集めが始まり、秋になって遅れに遅れた猛反発の説明会などもあり、署名活動もあり、というその後人々を揺るがす計画が伝わってから、もうすぐで丸一年が経ちます。

とにかく昨年の夏は、雨も続いたこともあって、楽しみとは程遠い夏でした。一生分の不安を詰め込まれたかというくらい、辛く苦しい夏でした。

手を取り合って、話を整理して、怖がらずに伝えて、みんなの意見を集めてと、まっすぐな掛け替えのない動きもできたので、史上最悪とはとても言えなかった、未来の土台を築いた夏だったのですが、思い出すと身が縮む感覚がありますね。めちゃくちゃ揺さぶられたし怒りに震えたし、知らなかったことがあまりにも沢山あって、大きな成長にもつながりました。でも、望んで苦境に立ちたかったわけではないので、この年の夏についてはずっと天災にあったような年として思い出されるのでしょう。

一年の間に飯高町住民のつながりは以前より太くなったように思われます。共通の苦しみを受け、ふるさとや暮らす場所のよさを見直すきっかけとなり、誇りを取り戻した人も多いでしょう。今は離れているけれど、心のつながりがある人と話をするきっかけを得て、不安の中にも安らぎを得た人も。

関係する報道も数多くありました。沢山の視点から、未来のエネルギーについて多くの人が考え直すことができています。昨年は松阪市に限らずいろいろな場所で同じような計画が乱発したことから、全国的な問題として捉え直す報道も上がり、大きな流れが変わっていこうとしているのかなぁとの印象も受けます。

ところで事業者さんは一年の間、何を感じ、何を学ばれたのでしょうかね。十年前に飯南町に計画を持ってこられた時となんら変わらないスタンスを貫かれているような気もしますが、多少のアップデートはあったのでしょうか。

とにかく変化の多い時代にあります。好むと好まざるにかかわらずやってくる事態に、どう対応し、何を感じて何を学び、何を選んでいくか。敵を作るよりも人とつながり、助け合うことを選んでいきたいです。

大規模な再生可能エネルギー開発事業は大雨や台風の前で為すすべのないことが多いです。土砂崩れや地盤沈下、大洪水や暴風による人工物の倒壊など、天災というより人災を引き起こす原因になることもだんだんわかってきました。夏は特にそのようなことが起こりやすいので、肝に銘じていたいですね。事故が起こってからでは遅すぎるので、雨風を慎重に予測してのシミュレーション作りを徹底して行って頂きたいものです。人にもまだできることはあるのですから。

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