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自治会毎の意見交換会をしています

(仮称)三重松阪蓮ウィンドファームの事業計画に関して、9月末に知事意見が事業所に提出されます。現在、住民が何をしているかといえば、小さな自治会毎の意見交換会を独自で開き、10月以降事業者に説明会を開いてもらう準備をしています。

事業者に説明会を開いてもらっても、細かく意見を聞いてもらえるか、答えてもらえるかの確証はなく、耳障りの言い机上の計画を聞くだけの会になってしまっては、皆の時間がもったいないです。なのでそれまでに住民での理解を深めておくことと、この件に関して住民が本当のところどう考えているかなど、できる限り丁寧に洗い出しをしています。

飯高町は1300戸程の町ですが、広範囲なので、事業に関する思いもそれぞれです。1キロ圏内に住む人もいれば、5キロ離れる人、20キロも離れる人もいます。工事は国道を使うし、水域全体に関わることなので、無関係な人は一人のいないのですが、やはり離れた地区での声はなかなか上がりにくいのが世の常です。まずは計画地の近くから率直な声を集め、だんだん骨のある声になっていく流れが重要で必要です。いずれ町全体で地域の再創生を考えるきっかけになるためにも、不安や怒りばかりでなく、地域の良いところに目を向けてこれからどうしたいのかを様々な世代が集まって考えて形にしていくことができたらと願っています。

緊急事態宣言下だったこともあり、大きな集まりはもとより望めません。小さな集まりも本当に久しぶりでした。おかげで他の人の声に耳を傾けることがより一層大切な機会になっています。急な開催だったのですべての住民が参加できているわけではありません。事情があったり考えがあったり関心の程度もあって、隈なく網羅するには至ってはおりません。けれど極一部の人が熱くなるだけではない動きであることは確かです。それが今度どうつながっていくのか、緊張は続きます。

飯高町は、とりわけ計画地に含まれる上流の地域は、きれいな水が豊富にあって山河にひっそり囲まれた昔ながらの集落が点在しているところです。現在暮らす人々は50年前とは比べようもないほど少なくなっていますが、ここで住み続けてきた人々がいます。都会へ出てから戻ってきた人々もいます。縁あって住むことになった人々も、縁はなかったけれど意志で住むことにした人もいます。皆が強い意志で望んでの暮らしなのかは定かではありませんが、少なくとも現在この集落を選んで暮らしている人たちの声は、ここに足を運んだこともない事業者のシナリオにかき消されることがあってはいけないと思います。共存共栄を謳う事業なら、共に話ができたらいいです。

集落の人々と腰を据えて話をすると、必ずと言っていいほどかつての林業など繁栄の頃の話があり、現在の不安の実感が出てきます。かつては必死で守ってきた誇りの土地や山を、持て余すことになってしまっている苦しい今。飯高町に限らず日本の過疎地はどこもそうなっていますが、世代間での土地に対する思いの差があり、日々の暮らし方や年月の重ね方にも差があり、上の世代でも下の世代でもなんだかとにかく不安が広がっています。

風力発電所をきっかけとした、小さな意見の交換は、思いがけず深いところにまで響いていきそうです。まだまだ生々しい声が上がってきます。沈黙が破られ、言いにくかった肉声が出てくるかもしれません。それは事業者に対してなのか、それとも。私の想いは、あなたの想いは。雨の続く中、じわじわと浮き上がってくるものが実になる未来を願っています。

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