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新規採用の公務員へ

最初の1年間は大変です。特に、仕事覚えるまでの1か月が大変です。

今回は、新規採用の公務員の方へ公務員歴15年の私から、

「仕事なんて大したことは無い(公務員に限らず)」
ということと、
それは「いつ気付けるかの問題だ」
という話をさせていただきます。

「公務員はブラックだ」
「公務員はみんな転職したがっている」
という記事を見かけて動揺している方もいるかもしれませんが
このnoteを最後まで読んでいただけると少し安心すると思います。

まず、私の15年の公務員経験と周りの公務員の話から言えることは、
「辞めたい・転職したい」というのは新人職員が必ず通る道だということ(もしかしたら民間でも同じ)。
そしてそれは、いつか必ず
「仕事なんて楽勝じゃん」と気付くタイミングが来るということです。

私の場合、最初に配属されたのは「国民健康保険」通称「国保」の担当でした。

うちの職場の中でも残業の常連の課で、最初の2年間は毎日残業していました。

「なんでこんなに仕事が多いんだろう」とか、
「課によって業務量が違うなんて不公平だ」とか、
「上の人はラクそうでずるい」とか、
「自分が大学で専攻したのは都市計画だったのに!」
とか思っていました。

でも実はこれって、「新入社員あるある」だったりします。

Twitterの公務員界隈でも、
私が新人の頃思っていたことと大体同じようなツイートを見かけます。

「転職したい」

「公務員辞めたい」

もはや、誰もが通る道であり、
むしろそう思わない人の方が少ないかもしれません。

でも、辞めずに公務員として続ける人の方が圧倒的に多いのです。

それは単に
「スキルが無くて転職できない」とか
「勇気が無い」と言うだけで無く、

多くの人が
「あれ、仕事って、大したこと無くね?」
と気付くということも、
結局辞めない結論に至っている理由です。

今の私はどう思っているかをお話しますと、
役所の仕事なんて楽勝だと思っています。
楽勝だと思いながら、毎日定時で帰っています。

たまに大変な時もあるのですが、
それはそれで勉強になるし、
やりがいもあるので楽しめています。

この境地に至るのにセンスや能力は必要ありません。

要は「いつ気付けるか」という問題です。

つまり、残業なんて自分のやり方次第でいくらでも減らせると気づくタイミングが必ずあるのです。

もちろん、いくつになっても「なんで自分ばっかりこんなに仕事が多いんだろう」も多いですが、
「そんな風に思ってもしょうがない」「業務量が多いなんて被害妄想だった」と、たいていの人は気付くものです。

そのメカニズムは次の通りです。

経験が増えてくると、
まず、一つひとつの作業に時間がかからなくなります。

例えばA4一枚の通知文を作るのに、新人の時は丸1日かかっていたのが、慣れれば10分で作れるようになりますし、場合によっては「これは重要じゃないから去年のコピペでいいや」と言う具合で、日付だけ変えて10秒で作り終えてしまうことも出来るようになるのです。

考えてみれば当たり前なのですが、つまりは「要領を得る」ようになるのです。

そうなってくると、当然、残業は減ります。
今まで8時間で終わらなかった仕事が8時間で終わり、
さらに余裕が生まれるようになります。

この状態になると
たとえ新しい仕事を与えられて業務量が増えたとしても、
2年目、3年目と経験を積むごとに残業が減っていきます。

「なんでこんな簡単なことに今まで残業していたんだろう」と思ったり、
「なんて無駄な作業をしていたんだろう」と気付いたりします。

そして、意外に多いのは「子育て世代の悟り」です。

「子育て世代の悟り」とは、子供が生まれて保育園の迎えが必要になり、
残業ができなくなった時に達する悟りの境地です。

残業ができない状況になると、どうにかして残業をしない方法を考えなくてはいけません。

そのタイミングがちょうど、経験値も増えてきた30代や40代と重なり、
さらに必要に迫られることによって
業務を次から次へと効率的にこなしていき、
「なんでこんな簡単なことに今まで残業をしていたのだろう」と悟りに至るというものです。

これが「子育て世代の悟り」です。

子育て世代に限らず、新人の頃なら残業していたような難しい仕事や、一度にたくさん処理しなきゃいけない仕事とかも、経験を積んでいけば、余計なことは考えない、あるいは、余計なことをやらないようにすることで、効率よく進めるようになるのです。

同時に、最初は緊張しながら書類を提出したり、緊張しながら来客の応対をしていたことが、単純に「慣れる」ことによってプレッシャーを感じなくなったりもします。

そう、それが「気付くタイミング」なのです。

「あれ、仕事って大したこと無くね?」と気付くのです。

これを見ている方も、仕事をして最初の1ヶ月、あるいは最初の1年、2年は
「公務員はブラック」
「民間が羨ましい」
「やりがい無い」
「転職したい」
「辞めたい」
「いやだ」
など、
必ず思うことでしょう。

しかし、
社会人として1年目や2年目の精神状況なんて、
公務員だろうが民間だろうが大して変わらないと思うのです。
(もちろん、やりがいのある仕事、好きな仕事を最初から出来れば違うかもしれません。)

社会人1年目の人は、そもそも8時間職場にいるだけでも疲れるはずです。
それなのに、仕事は8時間で終わらないわけですし、
しかも、
上司から頼まれただけの主体性も無ければ、大して面白くない仕事をしなければならないのだから、
鬱っぽくなるのも当然です。

5月病と言ってしまえば簡単ですが、本人にとっては深刻な問題です。

ただ、私からお伝えしたいことは
結局、
「いつ気づけるかの問題」
ということで、
「仕事って大したこと無くね?」
って気づけるかどうかの問題だということです。

「やるべき事はきちんとやり、定時で帰って、自分の好きなことをする。」
きっと、そういう生活を望んでいる人は多いはずです。
そして、まさに私はその
「定時で帰り、自分の好きなことをする」生活を
実践している公務員です。

実際に働きだすと「こんなはずじゃなかった」と思うでしょう。

しかし、
一生「こんなはずじゃなかった」と思うのか、
「この仕事も悪くは無い」「こんな良い仕事は無い」と思うのかは、
いつ気付けるかの問題です。

早く気付くのか、それとも遅く気付くのかは、自分がいかに早く仕事を覚え、そして冷静に、ポジティブに、仕事と向き合えるかにかかっています。

社会人1年目は大変だと思います。

大変だと思った時は
「いつ気付くかの問題」って言ってた人がいたなと、
思い出していただければと思います。

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