Gordela ”Mudskoi Vokalnii Ansamble”(19??、旧ソ連ジョージア)


ジョージアは合唱の国である。とはいえ、グレゴリオ聖歌のような荘厳な感じではなく、もっと雄々しいロシアのコサック合唱に近いものがある。その一方でアジアの土臭い感じがするのも否めない。ジョージアはコーカサスと呼ばれる山岳地帯に位置する国であるが、その山々に響き渡るような力強い歌声がこのLPレコードからは聴こえてくる。
ジョージアは古来から様々な民族が入り混じっていたシルクロードの中継地だった。アジアとヨーロッパが出会う場所、と言ってもいいかもしれない。古くからこの国は様々な文化を吸収し、それらを統合していったことで独自の民族的アイデンティティを確立していった。音楽とは関係ないが、ワインの醸造文化の長い歴史があり、八千年も前からワインが造られていたらしい。キリストが生まれる前からワインが造られていた、ということは、彼が「最後の晩餐」で裏切者のユダに与えたパンを浸したワインはジョージア産だったのであろうか。
このジョージアの民族合唱を収録したLPレコードのジャケットにはキリル文字のみならずジョージア語でもグループ名、アルバムタイトルが記載されているが、どこか日本のお笑いコンビ、チョコレートプラネットの歌「パンダ・ピラニア」の発祥の地とされる「アジアのどこかにありそうな」架空の国「イベンギ」の架空の言語の文字を思わせる。

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