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東山動植物園①

2022年11月中旬

東山動植物園
何がきっかけかはもううろ覚えだが、確か知人の一人がオススメとして挙げていたからだと思う。いつからか、絶対に行くべきであるとして心待ちにしていた動物園の一つであった。
楽しみのあまり事前に調べる事もせず、どんな動物が居るのかさえ把握しないまま当日に臨んだ。道中で連れに「調べたら、飼育種数が日本一らしい」と言われて「え、そーなん?」と返すほどだ。
Wikipediaの記事を見てみると、来園者数が日本2位だという。1位である上野動物園にはもう行ったから、これは3位である旭山動物園に是が非でも行くしかあるまい、と固く心に誓った。まぁ既に旭山動物園は、己がこんなに動物バカになる前から行きたかった、それこそ憧れとも呼べる場所なのだが。
前置きが長くなったが、それでは開園とともに入園しよう。

シャバーニ

まずはマップでおおよそのルートを構築する。植物園が紅葉真っ盛りかもしれないと考え、時間があればという事で最終地点を植物園に定める。
そうしてまずは北園に入って、ゴリラのゾーンへ。残念ながら哺乳類の中では霊長類が特段に興味が薄いため、サラリと流すつもりだ。
ここでの思い出は、屋内飼育舎に続く道を行こうとしたらNPCの如きカメラおじさんに「中にはおらんで!」と言われて「あ、そうなんですね~」と誘導された事である。
見出しにもあるように、ここにはシャバーニという名のゴリラが居る。霊長類に興味がない私でもその名は知っていた。イケメンゴリラで有名になった個体である。確かにゴリラを有する動物園は少ないが、妙に人が集まっていると思ったよ。
連れに対しシルバーバックの解説をすると「シルバーバックだからリーダーになるのか?リーダーになったからシルバーバックになるのか?」という某ジレンマのような質問を受け、「ライオンの鬣は黒い方がモテるから、その理論でいくと前者か?」などと論議しながら、隣のチンパンジーコーナーへ。
こちらへの興味も薄いためぼーっと見ていると、先述のシャバーニが遊具の天辺で雄々しく立っていた。これは見栄えするなぁと見ていたら、遊具の柱を単発ドラミング。軽快なポン!という音が一発だけ響いた。え、今の何?
下からメスの個体に誘われ、遊具を降りていくシャバーニ。えっ待って何で二足歩行で降りてくん?おじさんなん?

シンリンオオカミ

霊長類コーナーを抜けて進むと、アメリカバイソンが闘牛の如く頭を突き合わせ争っていた。迫力のある光景に、ショーのようだが大丈夫か?と見ていたら、どうやら遊びだったようですぐに穏やかな雰囲気に戻った。
そんなバイソンコーナーの対面に位置するのがシンリンオオカミだ。ほぼワンちゃんである(失礼)。
オオカミは記憶が確かならかつて天王寺動物園で見たきりだったような。そう思って気分はかなり高まった。しかし屋外飼育場の仕切りがアクリルや堀ではなくフェンスであったため、写真を撮ったとて参考にもならないのが悔やまれる。
連れがイヌとオオカミの違いについて言及したので、ここぞとばかりに知識を披露した。細かい事は省いて一番わかりやすいのは、体の幅である。オオカミはとても薄い。よくオオカミに近い犬種としてイメージされがちなシベリアン・ハスキーでも、幅はしっかりイヌ……と言いたいが、世の中的にはそのハスキーでさえあまり目にする事はないから、比較も難しいだろうか。
本来であればかなり走り回れるスペースを設けているようで、そこには仕切りがアクリルになっている親切な部分もあったが、残念ながらこの時はそのスペースが開放されていなかった。

オオアリクイ

今調べてみて知ったが、アリクイはアリクイでもオオアリクイは展示している施設数がかなり少なく、そのラインナップからして私は初めましてだったようだ。かつてドキュメンタリー番組でオオアリクイを見たからかある程度の生態が頭に入っていたため、てっきりどこかで既にお目にかかっているものだと思っていた。
連れも「アリクイってこんな大きいのか」と漏らしたため、世の中的にはアリクイと言えばミナミコアリクイの方をイメージするのだろう。たしかにサイズ感からしてあちらの方が可愛らしくはあるが、私はオオアリクイの方がふさふさしていて好きである(そこ)。
オオアリクイの隣にはカピバラが展示されているのだが、カピバラ自体はもう見飽きてしまっているため、そこに侵入するハシボソガラスをずっと見ていた。カピバラの動きを見つつ、間合いを保ちながら、生牧草と見られる草の山から何かを奪っていく。流石のカラスも草は食べないだろうから、恐らくペレットか野菜があるのだろう。間合いを保つカラスの動きは、小賢しくて愛おしい

世界のメダカ館

この動植物園の中で異物感が拭えない存在、東山スカイタワー。こちらは動植物園が閉園してからも滞在できるため、閉園後にここに戻る予定だ。その麓に位置するのがこの建物である。
動物好きとは名乗って居るが、魚についてはまだまだ素人の域を出ない。ましてやメダカというなんとも限定的な括りに、ここは流し見しようと決めて入る。
日本淡水魚コーナーを抜けると、ひたすらメダカ類の水槽が並ぶマニアックなゾーンに入った。メダカ類とは言っても一般にイメージする地味な小魚だけに留まらず、なんとも鮮やかな模様が入る種があったり、目だけがギラギラと青く輝く種があったりと、なかなか楽しげな空間ではあった。後半になるともはや和名が付けれていないものが大半となり、学名…つまりラテン語となるので聞き慣れないカタカタの羅列に脳が停止した。
ヨツメウオなどという奇妙な魚を見ていると、近くにあった円柱水槽で飼育員による給餌が行われていた。如何せん興味がなかったのと、突然始まった解説に驚いてしまったので魚の名前は思い出せないが、東山の飼育個体以外では長らく未発見となっていたらしい。
メダカ館の隣には自然動物館と称する両生爬虫類コーナーがあるのだが、入ってしまうと時間がかかる予感がしたため、どうせスカイタワーのために戻ってくるのだし、と後に回す事にした。

キツネザル

霊長類は興味がないと先述したが、キツネザルは原猿類であるため、その対象ではない。なお現在ではこの”原猿類”という呼称は使われていないようで、曲鼻猿類と呼ぶのが正しいようだ。曲とあればその対義となる直鼻猿類に、我々ホモ・サピエンスを含む多くのサルが属する。
なおこのキツネザルの隣の区画には、ゴリラとチンパンジーとオランウータンを除いた直鼻猿類が居るのだが、その中の一種が延々と吠えており、北園はずっと異様な雰囲気であった。
キツネザルの中でも一際有名なのがワオキツネザルだろう。屋内飼育舎に2頭が団子になっていたのだが、その1頭と目が合った。それ以上の動きはないだろうと思い歩みを進めると、顔を動かし目で追ってきた。思わず行ったり来たりで気を引いてしまったが、小さい子が真似して興奮してやり過ぎてしまうと挑発にもなりかねないので良識ある大人は気をつけよう。
余談だが、知能の高い生き物はヒトの子のトリッキーで予測の付かない動きを嫌う場合がある。私の知る限り、インコ・オウム類やイヌで子供嫌いの個体を見たことがある。

歯式

正門近くに、管理事務所のような佇まいで鎮座しているのは動物会館と称する施設。剥製があるような予感がしたので入ると、骨格標本がたくさんあった。
まだまだ動物園内を回れていないのでわりとサラリと流していたのだが、標本を並べているショーケースに歯式ししきが書かれたパネルがあったようで、連れに「歯式ってわかる?」と訊かれる。
アルファベットと分数が書かれており、知らない人からしたら全く以てちんぷんかんぷんな文字列であろうそれは、左右片側の歯の数が記されており、分数の上段が上顎、下段が下顎となっている。
私も専門学生時代に見たきりだったので、思い出しもってではあるが解説すると「まさか答えが返ってくると思わなかった」とやや引かれた。これは動物バカが行き過ぎたのではなく学生時代の知識なので、引かれても困るのだが…。

インドサイ

北園にはクロサイがおり、何故この2種はこんなに離れて展示されているのだろう、という疑問を持ちつつ、飛び込んできた光景に思わず笑う。
堀の外から放たれる水に打たれている。それも決して優しげなシャワー状ではなく、大粒の水滴がビチビチと当たっている。そして満足げなサイ。3頭中3頭がそうしており、これが個体差による癖ではない事を認識する。

なお私のサイへの理解は浅かったようで、実はクロサイとシロサイしか居ないと思っていた。この度改まって調べてみてインド、スマトラ、ジャワの計5種が存在する事を知る。
このインドサイの対面(とはいえかなり距離がある)にはマレーバクが居る。白黒ハッキリ分かれる体色と、ゾウのように鼻と上唇が一体化した吻がなんとも奇妙な、あのバクだ。そして何がもっと奇妙かと言うと、そのバクとサイ、更にはウマの3グループが奇蹄目という1グループに纏められる事である(厳密に言うと同じ祖先から分岐したという事なので、論理的に寄せ集めて属させた訳ではない)。

アジアゾウ

私はアフリカゾウ派なのだが、展示している動物園は多くない。園内マップを見ている内は知らなかったのだが、かつてここはアジアとアフリカ両種が揃う貴重な動物園だったようだ。ちなみにそのような貴重な動物園は現在、市原ぞうの国のみのようだ。飼育動物検索で見ると富士サファリパークも載っているが、公式サイトからは消えている。
この時の東山では生後5ヶ月の子ゾウがおり、母や姉の影に隠れるなんとも愛らしい様子だった。
体格的に恐らく母であろうゾウが吊るされた牧草入れから引っこ抜いて食べていたのだが、その過程で零れ落ちゆく細かい牧草を、姉が器用にも鼻で掻き集めて食べていたのが印象に残っている。

クマ

ゾウからクマのコーナーに至るまでに、カンガルー類やシマウマ、ライオンにレッサーパンダ、フラミンゴやペリカンという具合に、よく見る動物種が特に括りもなく展示されている。行った当時も「何処にでもいる奴らだな」と思ったし、自身のスマホデータを見るに撮影も少数もしくはしていないという所に興味の薄さが見える(笑)。いや、けしてそれらが好きじゃないのではなく、もの珍しさがないだけでして…。
さて件のクマコーナーだが、ここには私も初めて認識するメガネグマという種が居る。先述の飼育動物検索で見ると天王寺動物園にも居たようだが、すっかり記憶にない(そのため”認識する”という言葉を使用)。ついでに言うと、あとはよこはま動物園の計3施設でしか見れないなかなかレアなクマのようだ。
しかし悲しいかな、器用に集めた枯葉?干し草?に埋もれて寝ており、黒い塊である事しかわからなかった。

写真ではもはや"穴"

さて少し話はズレるが、私には山好きの友人が居る。それは決して登山という意味に限った訳ではないが、その友人はいつもクマとの遭遇を恐れている。それはまぁ恐れるに越した事はないが私からしたら異様なまでで、本人も「もしかしたら前世は食い殺されたんかもしれん」などと言っている。だが俗に人食いグマと言われるのは極一部のヒグマの事であり、我々本州人が出くわすのはそれよりもずっと小さいツキノワグマだ。
私は私で友人の逆を行く異様さを持っており、何故かツキノワグマなら頑張れば勝てるのでは?と思っている。ほら、たまに背負投げとかなんとかで撃退したというニュースがあったりするでしょう。鼻っ面を殴ったり目潰しすれば怯むのでは?と。まぁそれで激昂されてしまってはもう駄目だろうけど。

さて話は戻って、東山にはヒグマもツキノワグマも居る。ヒグマは堂々たる風格で寝そべっていた訳だが、ツキノワグマは屋内飼育舎でウロウロしていた。やはり小ぶりだ。前足の薙ぎ払い(=爪と腕力による攻撃)さえ何とか出来れば…あとはこちらに柄物があれば…。

昼食

クマのコーナーを後にして見えて来るのは、フードコートスペース。ちょうど時間も昼後半である。よくあるその動物園独特の食堂という訳ではなく、チェーン店がテナントとして入っているタイプだった。
動物園にちなんだ可愛いデザインのフードやスイーツがある他、ご当地グルメの店まである。まぁ、謎にトルコ料理やハンバーガー、ドーナツとなかなかにとりとめないラインアップなのだが。
そんな中で我々が選んだのは、偶然にも全く同じメニューになったのだが、ラーメンと豚丼。いやいやまじ地元でも食べれるんですけど。

申し訳程度に動物園らしくゴリラのかまぼこ

それをペロリと平らげ、大食いの私のみならず連れまでも「なんかちょっと足りん」と言いながら追いフードを探すがピンと来ず。デブ活辞めようね、と歩みを進める事にした。嘘です、この後カフェもあるのでそっちでピンと来たら食べるつもりです。


ここまででもかなり長くなったので分割…。

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