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映画誌の編集者って何をするの?(川村夕祈子さん/キネマ旬報社) ※一部抜粋

みなさま、こんにちわ

 先日「ミニシアタークラブ」内で実施された、キネマ旬報の編集者の川村さんをゲストに迎えた、「映画誌の編集者って何をするの?」 回についての一部内容を公開します。1919年創刊の映画専門雑誌です。現在は、毎月5日、20日の2回発売されておりますが、当時は、上旬・中旬・下旬と月3回出していたことから、旬報という名前がついているそうです。編集部に所属して約16年ということで、映画雑誌編集者目線でさまざまなことをお聞きしました。

質問内容抜粋

 今回はこのような質問をしました。

● Save The Cinema 活動の振り返り
● キネマ旬報について
● 1年を振り返って ※公開
● 紙媒体とWeb媒体の違い
● キネマ旬報ベスト・テンの振り返り ※公開
● 現在の編集方針について ※公開

などなど、その他にもさまざまな質問をさせていただき、1時間程度のお話しをさせていただきました。なお、「※公開」とあるものは、下記の抜粋で取り上げています。

ゲストについて

川村夕祈子/キネマ旬報 編集部

『キネマ旬報』(キネマじゅんぽう)は、キネマ旬報社が発行する映画雑誌である。1919年7月創刊。毎月5日・20日刊行。通称「キネ旬」。

キネマ旬報ベスト・テン

トーク内容一部抜粋(Q &A)

● 1年を振り返って

 会社に入って15~16年、2月下旬ベスト・テン号(2月5日)を発売するまでと表彰式が終わるまで(2月10日前後)は、1年が終わった気がしません。表彰式は、社員総出でやるイベントです。そのため、ベスト・テン号を作りながら、年末から2月10日までとおおいそがし。
 特に12月はキネマ旬報ベスト・テンの集計作業と、受賞者の取材を年内に行うので風邪もひけないし、プレッシャーがかかる。今がようやく落ち着いたという感じ。また、2月は日付が少ないので、3月10日頃を過ぎてやっと一息つける。
 また例年2月末にはゆうばり国際映画祭に行っていたが、今年は夏開催ですし。年明けてから2月中旬まで映画館に行けてない・・。
 編集部自体は、働き方改革が推進されているが、編集者として、(やりがい搾取ではなく)やりたい奉仕というか、納得いくまで、校了のギリギリまで時間使いたい。

  また、編集内容の方針としては、(記事やコラム等については、)普段からお願いしているライターさんや評論家さんがもちろんメインだが、編集者自身で、色々な本を読んだり、何か見に行ったりして、新しい書き手を常に探している。(よくいうと)何を見ても仕事につながる。何か読んだら、あの人にこの映画のことを書いてもらいたいと繋がっていく。

● キネマ旬報ベスト・テン について

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 キネマ旬報ベスト・テンの1位は、映画規模の大小を問わない結果になる。1位「スパイの妻〈劇場版〉」は我々映画界隈の人の中では公開前より話題ではあったが、一般大衆でみると、外国映画で1位をとった「パラサイト 半地下の家族」ほどではなかった。非常に作家性が強い作品が選ばれることが多い。例えば、ランキングの中では「37セカンズ」などは若手の監督も。また、そうした一方で、「罪の声」のような大衆的な作品も入っている。

 なお、他の映画祭の映画賞も気になる。キネマ旬報のベスト・テンは、記名のため誰が何に、誰に投票したか一目瞭然。また、読者投票によるベスト・テンも専用はがきに10作品を書かないと無効=10本以上映画を見ている必要がある。そのため、他の映画祭での受賞状況などの考慮が投票する方に影響なければ、かなり公平性の強い映画賞であるといえる。

 また、1位作品の変遷としては、例えば、文化映画作品賞部門では、「なぜ君は総理大臣になれないのか」(20)「新聞記者」(19)「沖縄スパイ戦史」(18)と、近年は政治的なもの、ジャーナリズムを捉えている作品が選ばれる傾向が見られるなどの話になった。

● 現在の編集方針について

 本を作る上ではブレてはいない。キネマ旬報も古い雑誌ですが、作品の取り扱いバランスでいうとそんなにマニアックなことばかりではない。大作も常に特集しているし、日本映画も外国映画も大小関係なく満遍なく取り扱っている。映画をあまり知らない人が観る映画も大事にしたいと思ってる。

 映画雑誌なので、映画を観ないと『キネマ旬報』を読まないと思いますが、一方で、映画雑誌を読めば映画が面白くなるとは思っていない。映画雑誌を通して、色々な書き手の文章を読んでもらうことにより、もっと(映画以外の)色々なことに興味を持ってもらうことが大事。芝居だったりさまざまな文化、ありとあらゆるものに興味を持ってもらう。また、映画雑誌で身につけた知識ではなく、それぞれの分野で知識のある方が映画について書いた方が面白くなるので、映画だけが好きな人に書いていただいているわけではない。誰でも書いて、誰でも読んでいただける本であるといいなと思って作っている。

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以上抜粋になります。

おわりに

 抜粋にはなりましたが、川村さんのキネマ旬報編集員としての思いや映画に対する気持ちを伝えることが少しでもできたのではないかと思います。さまざまなご経験をされている方なので、かなり刺激になりました。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。次回も公開できる情報があればこちらで公開していきたいと思います。なお、インタビューの全編は、ミニシアタークラブの限定コミュニティ内で公開しております。興味を持たれましたらぜひご参加ください!

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