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【エッセイ】「ついで」の贅沢
ネットで、本を注文したときのこと。
一冊だけ頼むのも何だかなあと、
「こちらもおすすめです」と書かれた中から、ついでに数冊を購入した。
ごく自然に、さも当然に、「ついでに」買ったわけだけれど。
これは、幸せな贅沢の極みだ、と思うのだ。
本屋さんで買うときも、然り。
目的の一冊を手に取ったあと、気の向くままに店内を徘徊し、
おもしろそうだというだけで、目的以外の本も買う。
なんなら、目的がなくても本屋さんに行き、行ったついでに何冊か買う。
コーヒーついでに、レジ前の駄菓子をひとつ足すぐらいの感覚で、ついでに本を買う。
スーパーに行ったついでに、隣のATMに寄るぐらいの感覚で、小説のついでに漫画を買う。
自分のために「ついでに本を買う」ことができるのは、なんて贅沢なことなのだろう。
読みたくてたまらなくて、あるいはとことん吟味して、選ぶ一冊も幸せなら、
ひょいとついでに選ぶ一冊も、また幸せ。
精鋭だけが並ぶ本棚も幸せなら、自分の好みがみちっと積み上がる本棚も、また幸せ。
メインディッシュのお肉のついでに、お魚も食べるかのような、
ケーキのついでに、ドーナツもつまむかのような、
物量と質量にあふれた贅沢が、本にはある。
おまけに、読みすぎても太らないし、胃もたれもしない。
「ついで」の本は、私の完璧な贅沢だ。
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