見出し画像

世界征服可能な知能を手にした男の試行錯誤

 Save the Cat で言うと、『魔法のランプ(願いが叶う)』のカテゴリー。

異世界の存在が与えてくれた計算高い相棒

 主人公がある日、ああ、自分にもっと賢くて、世界征服できるぐらいの知恵があれば! と思っていたら、その願いを叶えてくれる異界の住人が現れた。
 異界の住人は、偶然にも主人公が行ったインターネット上の操作のおかげで命拾いをしちゃったそうで、お礼に主人公の願いを叶えてくれるという。

 「僕に知恵を! 世界を征服できるような知恵を!!」とお願いする主人公。異界の住人は、厄介な願いだが、何とかしましょう。ただし、異界の法規に触れないレベルでね・・・と、言うことで、あるものをくれた。

 主人公としては、自分自身のIQがグンと上がって、自身でいろんなものを発明できたり発案できたり、何でも計算づくで物事を運べたりと言う、自分自身の変化を望んでいたんだけど、それはちょっと法(異界の)に触れると言うことでNGとなり・・・。
 その代わり、主人公の相談に乗ってくれるすごく計算が速い相棒が与えられた。その相棒はドラえもんやコロ助のように目に見える形で存在はしていなくて、主人公の頭の中に居ると言うか・・・物理的に頭の中にいるわけではないのだけれど・・・主人公の心の呼びかけでいつでもすぐにいろんな物事を検証・計算してくれるAIみたいなものが与えられたのだった。

悪の組織の旗揚げだ!・・・でも、世界征服けっこう大変

 早速、主人公は相棒に、世界征服作戦の実行案の計算をお願いするんだけど。いろいろと問題が多い。

 主人公としては、世界征服といえばやっぱり、悪の組織の首領みたいに、全人類を恐怖で平伏させるというのがイメージだった。
 シビリアンを平伏させるには、悪の組織、つまり黒い軍隊が必要! 
 古い例で恐縮だけど、ショッカー(仮面ライダー)とかギャラクター(ガッチャマン)とか。揃いの戦闘服を着て、主人公(首領)の言うことに何でも従う都合の良い悪の集団ですよ。

 漫画やアニメではそういう組織、悪の戦闘員が簡単に登場しているけど・・・。
 相棒の計算によると、80億の世界の全人類を抑えようと思うと、その戦闘員もかなりの数が必要。そのユニフォームを揃えるだけでも相当な資金が必要なわけ。
 さらには、その戦闘員の給料とか、武器とか、基地とか宿泊施設(寮?)・・・。もう、すごい金額の資金が必要。何せ、世界最大の軍隊より規模をデカくしないといけないからね。簡単に米軍に蹴散らされるようでは、世界は征服できない・・・。
 その戦闘員の人材をどこで集めるのかとか。地域ごとに言語も違うから通訳も必要だよねとか・・・主人公は日本語オンリーなので。
 必要になりそうな要素とその経費の見積もりがどんどん出てくる。何しろ相棒は計算だけはめちゃ速い。その経費の額を聞いていると、だんだんと実現不可能なことがわかってきて、さすがの主人公も、ちょっと手を変えないとな・・・と、氣付く。
 何だ、悪の組織の軍隊なんて嘘っぱちじゃん。そんな金誰が持っているんだよ。社会の現実を学んだ主人公・・・。

変更案、世界の裏舞台で暗躍だ!

 馬鹿正直に自前の戦闘員を揃えるから、馬鹿みたいにお金がかかるんじゃないか! もっと上手くやろうぜ! そこは悪の組織なんだからダークに行こうよよ、ダークにクールにさ・・・と、
 主人公が次に相棒に指示をした案は、世界の軍隊や警察要員をいつの間にか操って、密かに社会に暗躍する方法だ。なかなかそれっぽいね。

 どうやって世界の軍隊や警察を操るかというと・・・催眠術だ!
 よし、世界の何千万人かの、各地に点在する戦闘員を次々と催眠にかけるのだー!! って。だー〜〜ー!!!って。。。
 それ、催眠術師が何人必要なんだよ。。。
 その催眠術師の各地への渡航費や、宿泊費・食費、さらには旅行保険とか・・・。そして、各地に行くのはイイけど、どうやって軍隊の兵隊に催眠術をかけさせてもらうのよ。頼んでも誰もやらせてくれないでしょ・・・。

 むー。これもダメか。

変更案2、やっぱ電脳でしょ、電脳。催眠術師って、そんなアナログな・・・

 そう。催眠術師を世界に散らばせるのって、無いよね。
 今や、電脳の時代。チップだよ、チップ。兵士の頭に洗脳チップを埋め込むんだよ! それを中央で一元管理して、指先1つで自由に動く軍隊を持つのじゃー!!

 ちょっとイイかなって思ったけど、そのチップって、何個作る必要があるの。
 チップの開発費と、千万単位での製造。
 よく考えたら、チップの埋め込みなんか、催眠術よりハードル高いじゃん!!
 そして、そのチップのコントロールをするセンターのランニングコストとか、人員のコストも・・・。度えらい金が必要だよ。また、金かよー!!
 ってことで、これも却下・・・

そんな感じで、世界征服は金がかかりすぎる。全く別のアプローチで・・・って考えている間に、徳の政治で世界に君臨する、的な発想になっていく主人公。バカ。


結論は、平和が一番安いねランニングコスト・・・というオチ。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?