しかし、カレーに合わない福神漬け、なるものがあるのだろうか?
先日、当家はカレーだった。
妻はカレーには福神漬を欠かさないタイプである。彼女は、カレーの日に福神漬を切らしていると、何度も詫びる。「ごめんねー、ごめんねー」と。私は、そんなにこだわりがないのだが・・・。
カレーに合う福神漬
先日は、新しい福神漬が当家でデビュー。
その名も、「カレーに合う福神漬」。
すでに食べ終わった後の、ゴミ状態のパッケージの写真で、恐縮であります。
しかし、いったい、福神漬でカレーに合わないものがあるのでしょうか? ならば、その福神漬は、何のために生まれて来たと言うのでしょうか? カレーに合わせられない福神漬なんて、存在するのでしょうか?
この福神漬は、色は赤というよりオレンジ系。味も甘めでありました。パッケージにも甘いことが書かれています。まあ、そんなに特別なところはない福神漬でした。甘い系と塩っぱい系があるとするなら、甘い系の部類です。でも、よくある福神漬の範疇内の味でした。美味しかったですけど。
私に言わせれば、カレーに合わせるのが福神漬です。
「カレーに合う福神漬」と言うのは、
「甘い砂糖」と言われているようなものです。
「甘くなきゃ、砂糖じゃないじゃん!」と、あなたは言うでしょう。
「カレーに合わなきゃ、福神漬じゃないじゃん!」と、私は言うのです。
この砂糖は甘いです、という宣伝文句
カレーに合う福神漬。なんでそんな当たり前の事を言うのか、真剣に考えてしまいました。
福神漬にはライバルがたくさんいます。
うちの妻のように、「今日カレーだけど、あれ? 福神漬はあったかしら? 買っとかなきゃ。なかったら大変だ!!」と、売り場に行く人がいます。売り場には、棚に複数の福神漬が並んでいる。その時、どれを選ぶか?
福神漬を買う人は、99.9%カレーを食べる人です。
カレーと共に食べるのが福神漬である、と言い切ってもいいでしょう。カレーに合わない福神漬があるとするなら、それはもう福神漬けではありません。
だから、わざわざ「カレーに合う」なんて宣伝している福神漬はなかった。
砂糖のパッケージに「この砂糖はあまいですよ!」なんて文句を書いた商品がありますか!? ないでしょう。だから、福神漬けにも「カレーに合う」なんて宣伝はあり得なかったのです。
でも、福神漬を買う人は、99.9%カレーを食べる人。だとすると、その、福神漬を選ぶ場で、「カレーに合うよ」と推してあれば・・・
「カレーと食べるんだから、じゃ、これにしようかな」と、手に取る人が出て来る! と、そういう作戦なのか!? きっとそうだ。。。
ストレス社会が抱える問題
この福神漬けの名前は、今の社会の大問題を反映しています。
人々が健全に生活しているなら、こんな名前の福神漬は存在していません。しかし、人が思考停止している世の中なので、こんな名前の福神漬が出回るようになっているのです。
世の中は、どこもストレスだらけ。
あなたの職場では人材不足の上に、サービスの種類は増やさなければならず・・・。一人がこなさなければならない仕事の種類は増える一方。
そんな状況があるにもかかわらず、会社は利益率を上げるために人件費の削減目的でどんどん人を解雇する。あなたがやるべきことはさらに増える。もう、余裕なんかない。とにかくノルマをこなすので精一杯。お客さんに寄り添って・・・なんて言ってる余裕はない。だから、お客のストレスも溜まる。それを見て知りながらも何もできない自分のストレスはさらに溜まる。
もう、無限ストレス製造工場ですよ。
そうなって来ると、たまの休みにはストレス解消に精を出さないといけない。パーっと飲んで、パーっと騒いで、うさを晴らさないとやっていられない。
だから、日々の生活の中で、国の行く末とか、自分の生活している地域の事とか、考える余裕はない。そんなことはどうでもよくなる。二の次、三の次。とにかく、溜まったストレスを発散しないと週明けから戦えない。
必然的に、日常の買い物も、おざなりになる。
「今日はカレーでも作ろう。あ、福神漬も買わなきゃ。」と、売り場に行く。
「え、カレーに合う福神漬? ん? ま、カレーに合うならこれでいいか」
と、福神漬の何たるか。福神漬の根源が揺るがされているこの商品名に疑問や危機感を持つ事なく、思考停止した肉体の一部、「指先の一つ」が、ぼーっとこの「カレーに合う福神漬」をつまんで、「ダウンさー」に至るという始末なのだ。
この、商品名に、人の世の危機を感じる。
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