2019年12月の記事一覧
ヒトリゴト Vol.2 赤の冬
彼女は思った。
もう、私は少女じゃない。
私の中を駆け巡る血はついに私のニットまで染め上げた。
血流は私を超え、もっともっと遠くまで流れていこうとする。
伸び伸びと。
ドクドクと。
でも、不思議だな。
どこか、血管は私を縛っているような気もする。
私からは離れられない。
私はここまでだって、檻のように。
大きなカバンを抱え、今日も私は歩いていく。
この冬はいつか明けるのかな。
ヒトリゴト Vol.1 ヒトになる
それは優しい。
それはありのままを認めてくれる。
それは過去の記憶のようでもあって、ずっとずっと未来の記憶のような気もする。
ーーーーー私は今どこにいるんだろう。
わからないよ。ーーーーー
ーーーーーああ、考えてみても終わりが見えない。
ああ、わからないなぁ。ーーーーー
ーーーーーでも、
何故だか不安はないのは確かなんだ。
優しい、優しい、
ただ、この淡い感覚だけが、私を包み込