人工甘味料の害
砂糖の摂りすぎが良くないのは周知のことですが、人工甘味料も要注意です。
人工甘味料が悪い、と書くと、「いやいや人工甘味料は砂糖よりカロリーも低いし血糖値もあげない」などという意見がでてくるのですが、そういう「人工甘味料」神話は、健康の一面だけしか見ていないことが多いです。
人工甘味料を擁護する意見は、えてして短絡的かつ一面的なものが多く、体全体の健康を考慮していない傾向があります。
健康のためには、むしろ「砂糖不使用」「0カロリー」という商品こそ、避けた方がいいかもしれません。
以下に、まことしやかな人工甘味料擁護論と、それに対する反論および人工甘味料の悪影響についてまとめてみます。
「人工甘味料」神話を一蹴してみる
1.「カロリーゼロだし、太りにくいんでしょ?」
いいえ、太ります。
長年にわたる大規模なコホート研究で、人工甘味料を摂取する被験者集団のほうが体重増加が顕著である、という結果が出ています。これにはいくつかの要因があります。
(a) 満腹中枢が充分に機能しない。
味覚と満腹中枢は、密接に連携しています。舌で味わった時、体は「カロリ-が入ってくるぞ」と待ち構えています。そして、カロリーが一定に達すると、「よし、もう充分とった」というシグナルを脳に伝えて、食欲が満たされます。人工甘味料はカロリーが極めて少ないので、このメカニズムが働きにくくなると言われています。
(b) 甘さに慣れて、依存性が強まる。
人工甘味料にカロリーはなくとも、普通に甘いものを食べた時と同様、ドーパミン(報酬・快楽に関わる物質)は分泌されます。これを繰り返すと、人工甘味料の使用頻度が増え、ひいては、依存、中毒へと発展する恐れがあります。もちろん、これは普通の砂糖やアルコールにもあてはまります。
(c) カロリーゼロだからと油断して食べ過ぎる。
これは over-compensation(過剰な埋め合わせ)と言われるものです。心理的なもので、「食べたのはカロリーゼロ食品だから、もう少し食べてもいいかも」、と油断して食べすぎ、結局カロリーを摂り過ぎる結果になります。はっきり言って、かなり間抜けな行為ですが。
カロリーゼロのソフトドリンクやフレーバーウォーターを飲んでる人って、その手のものをしょっちゅう飲んでますよね。
また、糖質制限してる人に限って、コンビニの糖質制限スィーツが大好きだったりするのも、上記3つの理由だろうと思います。
2.「人工甘味料って血糖値をあげないんだよね」
いいえ、血糖値を上昇させます。
人工甘味料は、炭水化物やふつうの砂糖よりも血糖値の上昇が時間的に遅く起こるだけで、血糖値をあげます。
これについては、人工甘味料のひとつであるスクラロースでの実験が有名です。スクラロースだけでなく、ほかの人工甘味料を使った実験では、人工甘味料は「耐糖能障害」を引き起こす、と報告されています。
耐糖能に異常をきたすと、糖尿病や動脈硬化のリスクが激増します。
3.「動物実験で過剰投与した結果じゃん?」
人工甘味料、特にダイエット飲料に多く使われている悪名高きアスパルテームは、発がん性やうつ病など、数々の健康被害の原因と考えられています。
この見地に懐疑的な人の中には、「それって、ハンパない量をマウスに投与した結果であって、人間には当てはまらない」と反論する人がいます。
しかしながら、長期にわたる人体への影響を短期間で調べるには、人と同じく哺乳類で、かつ生涯サイクルが早いマウスに、相当量の試験剤を与えるのは、実験手法として理にかなっています。(動物虐待ではないか云々という論議は本題からそれるのでさておき)
最近の動物実験においては、人間への推奨最大摂取量を、マウスの体の大きさに合わせて換算し、それに相当する量をマウスに与える場合もあります。したがって、動物実験だからあてにならない、ということはありません。
「摂り過ぎなきゃいいんでしょ?」
まぁ、そうですね。でも、人工甘味料のリスクと健康被害の範囲を考えると、避けるにこしたことはないでしょう。
人工甘味料は、それこそあらゆる加工食品に入っています。砂糖よりも人工甘味料をさけるほうが難しいくらいです。
それに、摂り過ぎなければいいと言ってそれが実行できるなら、それを砂糖ですればいいだけの話です。そうするのが難しい人が、人工甘味料なんかに頼っているんではないでしょうか?
甘い物が欲しい場合は、お菓子よりも、果物、イモ、穀物(全粒が良い)でしのいだ方がいいです。サツマイモや玄米のおにぎりなんかがお勧めです。
「どうしても甘いものが欲しい!」という場合は、人工甘味料満載の糖質制限スィーツやゼロカロリー食品なんかで下手に食欲をごまかすより、いっそのこと普通に砂糖を使ったおやつ(和菓子推奨)を食べた方がストレスにならないような気がします。
そして、「いま自分は砂糖を摂取した。よって、満足した」と、いさぎよく食欲と決着をつけましょう。