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後悔しない選択とは

結論から先に言うと、職探しをするにあたって何が大事かというと、ひとつは「全力を尽くす」。そして、もうひとつは、仕事の選択においては「自己が向上する道を選ぶ」、この2点だと思います。

私はこれを、今回の職探しで学びました。
前回前々回と他大学に移籍する旨を書きましたが、新しい職はそんなにあっさり決まったわけではありません。

むしろ、山あり谷ありでした。転職活動の結果だけを書いたので、なんかすぐに次の仕事が見つかったような印象があるかも知れませんが。

そもそも、希望退職に応募した段階では、次のあてが何もない状態でしたから、心理的なプレッシャーはマックスだったわけです。

ただ、いま勤務している大学の学部からは、「本年度の講義・試験期間が終わる6月末か、できれば修士論文の指導が完了する 8月末までいてほしい」と言われていたので、時間的には1年近くの猶予期間がありました。

1年もあればなんとかなるだろう、と思って職探しを始めたわけですが、私の当初のターゲットは、「自宅から通える中堅大学」でした。

なんで中堅大学を狙っていたかというと、正直、上位の研究大学で競い続けるのはしんどいからです。

あと、自宅から通える場所、という条件にはかなり粘ってこだわりました。
なんといっても100点満点をつけたいくらいに気にいっている住まいです。それに、持ちマンションですから、そう簡単には離れたくありません。

ようするに、守りに入っていたわけです。いま住む場所にとどまって、マイペースで仕事して定年まで食いつなげられるなら、大学のランクや職階、なんなら、やりがいとかの要素も含めて二の次、三の次、って感じ。

大学レベルも職階もかなり落として、さんざん応募したので、どこか引っかかるだろうとタカをくくっていました。が、これが全然ひっかからない。

さすがにあせり始めました。

「イージーな道を選ぶな」

再就職支援のアドバイザーに状況を話すと、アドバイザー曰く「そりゃ無理。そのレベルの大学の講師職に応募しても、君はオーバー・クオリファイド(over-qualified)だし、書類選考ではねられる」。

そして、「イージーな道を選ぶな」と激励されました。
今思えば、良いアドバイザーにあたったと思います。

最終的には、イギリス、オーストラリア、ヨーロッパを含む合計 20校以上に応募しました。いっときに、こんなに応募したのはこれが初めてです。

昨年末に、当初の希望におあつらえ向きの中堅大学からいくつか面接へお呼びがかかりましたが、学会の合間で体調を崩したり、後半になって本命となったデンマークの大学の学部面接と重なったり、というアクシデントが続いて辞退した結果、デンマークの面接には、すべり止めなしで臨むはめになりました。

まぁ、それも試練のひとつだったな、と今なら思えますが。
そして、さらなる試練、というか誘惑は、意外にも最後の最後にありました。

1月のデンマークでの最終面接と同時期に、現在イギリスで勤務する大学の、通りを隔てたすぐ向かい側にある中堅(というか、ほぼ下位グループ)の大学の面接に呼ばれました。

この近隣の大学なら引っ越さなくてもいい、いまの住まいに住み続けられる。仕事についても、講義や学生の指導の量は増えるけど、それさえ無難にこなせば多分生き残れる、なんなら、住まいは確保されているわけだから、もうしばらく働いたら早期リタイヤして、この街で細々と地道に暮らしていく、という手もある。

迷いました。

普通なら比較の対象にすらならない二者択一ですが、当初いだいていた「守り」の姿勢が頭をもたげて、「もう歳なんだし、リスクなんて負わなくていいんじゃなーい?」とささやく感じでした。

2、3日、ろくに眠らず悩んだすえ、結局、この近隣の大学の面接は辞退しました。

そして今に至っているわけですが、正しい選択をしたと思っています。
でも、まー大変ですよ、国境をこえての転籍も、海外引っ越しも。

さらに、この先どういう展開になるのか予想もつきません。
数年で「デンマークなんてやっぱり無理!」と見切りをつけるかもしれないし、あるいは長期になるかもしれません。

ですが、いずれにせよ、いい経験になることは確かです。
「安易な道を選ぶな」という言葉は、シンプルですが、記憶するにあたいします。

つまりは、冒頭に述べた通り、
人間的にも職業人としても、「自己が向上できる道を選ぶ」

これでしょうね。
将来どんな結果になろうと、その過程で自己が向上・成長するわけですから、大局的・長期的に見れば、失うものより得ることのほうが多いはずです。

人生の岐路に立っているかた、後悔しない選択をして下さい。