驚きの97歳イギリス人女性:若さの秘訣
歩くことは体に良いと言われています。
ただし、ちんたら散歩してればいいわけではありません。(まぁ、それでもしないよりはましでしょうが)これは追って説明します。
今日は、活動的な生活が心身の若さを保つのに有益である、ということを身をもって証明する人を紹介したいと思います。サリーさんというイギリス人のご婦人です。今月、98歳になられました。(ニュース放送の時点では97歳)
歩行の健康効果だけではなく、彼女の「働くこと」への考え方も、大変参考になります。
このビデオ(BBC のニュース)は非常に短い (1分45秒)ですし、字幕が付いているので、聞き取れなくても読めば内容はわかるかと思いますが、念のため、訳をかいつまんで補足とともに以下に書きます。
サリーさんは、彼女自身を「うちに引きこもってテレビを観るとか、そういう類いのことはしない」、「とても活動的な人間」だと評しています。
サリーさんはすでにご主人を亡くされており、家族はいません。ここ40年ほど(ということは、50代後半から)、ボランティアでドッグウォーカーをしています。
イギリス人は犬好きですが、忙しくて散歩につれていけないという飼い主が多く、それを代行する仕事を「ドッグウォーカー」といいます。
彼女は、一日に犬を10匹散歩します。(もちろん、一気にするわけではなく、何回かに分けてです)
大抵は学生のバイトや、サリーさんのようなボランティアを使うことが多いですが、それを本業としている人もいます。(ただし、プロのドッグウォーカーは、お金持ちを顧客としています)
サリーさんの周りの人は、もう歳なんだからゆっくりしといたら、と言ったりもするそうですが、サリーさん本人は、50代の頃と比べて何ら変わるところはない、と語っています。
すごいですね。私も90代後半になった時、そう言ってみたいものです。
ただ歩くだけではない
サリーさんの健康の秘訣は、ただ漫然と歩いているわけではない点です。
1. 動物と触れ合う:
動物と触れ合うのは認知症予防に良いとされています。これは、気持ちがいやされるだけでなく、世話をする、愛情をもって大事にする、という能動的な感情と、それに伴う責任や行動が生じるためだと考えられています。
2. それなりの運動負荷がある:
ちんたら散歩してればいいわけではない、と冒頭に書きましたが、運動をする際はその強度が重要です。当然のことながら、速足で歩く方が、ゆっくり歩くよりも強度が高いです。
これを比較した実験では、速足で歩くようにした被験者グループの方が、血圧、BMI、体脂肪率、などすべての健康評価アイテムで優れていた、と報告されています。
サリーさんは、毎日、犬のスピードに合わせて歩いています(それも一日10匹)。これはサリーさんの年齢を考えると、かなりの運動量です。
3. 人との交流がある:
ビデオにもあるように、他のボランティアの人との交流も重要です。当然、ドッグウォーカーの仕事の割り振りをしている人との会話もあるでしょう。
動物との触れ合いも大切ですが、やはり、言葉を使って意志の疎通を行い、対話をする、ということに勝るものはないと思います。
4. 仕事である :
ボランティアと言えども仕事です。よく、ボランティア活動を「してあげている」という傲慢な態度で適当にする人がいますが、それは根本的にボランティアの概念を誤解しています。
ボランティアは奉仕であり社会貢献です。貢献するためには、それなりの技量とプロ意識が要求されます。
サリーさんは犬が好きとはいえ、「好きな時間にすきなようにやっている」わけではありません。責任感とコミットメントがあると無いとでは、やりがいに雲泥の差があります。
5. 毎日続けている:
継続は力なり、です。課された仕事の好き嫌いや得手不得手に関わらず、途中で投げ出さずにやり遂げられる人は、それだけで人間的に強いです。
何のために働くのか
サリーさんは、「年齢なんて、数だけの問題じゃない?」と言っています。この「age is just a number」というのは、英語圏ではよく使われるフレーズです。
ですが、彼女はそう言うだけではなく、
「でも、それはすべて、運動を続け、働き続けることにつきる」と付け加えています。
また、サリーさんはビデオの最後のほうでこうも言っています。
「(働くということは) 他者の助けになることをするということ。そのために私たちはこの世に存在する。」
最近は、若い人だけでなく社会全体に(ミニマリストの中でも)、好きなことだけする、自分のために生きる、という自己本位な風潮が強くなってきているのが気がかりです。
サリーさんの言葉を、私たちは今一度、真摯に考えるべきではないでしょうか。