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【薬】抗肥満薬『アライ』がダイレクトOTCとして承認。

※この記事は現場を離れて久しい薬剤師が自分の知識の整理のために書いています。提供する情報に関して、安全性、正確性等いかなる保証を行うものではありません。ご自身の体調につきましてはかかりつけの医師、薬剤師に相談してください。

2022年11月28日、海外では抗肥満薬として承認されている成分名オルリスタット、製品名「アライ」(大正製薬)をダイレクトOTCとして了承。来年3月にも正式に承認の見込み。


みんな大好きダイエット(?)の話題。
オルリスタットは「ゼニカル」という名前で美容クリニック等で
自費で処方されていたりします。

✦どういうお薬?

まずはオルリスタットの作用機序について簡単に説明を。

大体こんな感じの作用機序です。
簡単に言うと、口から入った脂質を消化管で吸収しないようにして
そのまま便に排泄するよ、という仕組み。
大体食事中の30%位の脂質が排泄されるようです。
(PFCバランスでF高めの人により効果を発揮すると推測されます)
このお薬が薬局で買えるようになる(見込み)というお話です。

因みに、現在医療用医薬品で唯一肥満症に対する保険適応が通っているお薬が「サノレックス」(成分名:マジンドール)です。
こちらは脳の摂食行動を司る視床下部に作用し、摂食行動を抑制します。
それに加えて神経終末でのノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンの再吸収阻害により摂取エネルギーの抑制と消費エネルギーの促進を促す…
要するに、食事量を減らして、エネルギーの吸収を少なく、消費を多くすることにより肥満を改善する、という仕組みの薬です。
この薬の薬理学的特性はアンフェタミン(日本では覚醒剤に指定されています)と類似しており、サルでの実験では依存の形成が見られています。
そのため、マジンドールの使用は最大で3ヶ月と制限されており、
適応の患者についても

あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症
(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び
運動療法の補助

とかなり厳しい基準が設けられています。
(参考までに…BMI35以上は170cmのヒトの場合101.1kg、160cmのヒトの場合89.6kgになります)

✦誰でも買えるの?

要指導医薬品での販売となります。
※要指導医薬品:販売の際に薬剤師が対面で情報提供、指導が必要であり、
インターネットでの販売ができない

また、オルリスタットの服用の対象としては

①高血圧や脂質異常症などの健康障害を伴わない
②肥満である(男性:腹囲85cm以上、女性:腹囲90cm以上)
③18歳以上
④食事や運動など生活習慣改善の取組と合わせた補助的な位置づけ

ジーンズで言うと大体男性33-34インチ、女性35インチくらい。
また、血圧や血糖等の数値が高い方も服薬できません。
このあたり結構厳しいな、という印象。

✦副作用は?

作用機序から一番起こり得る副作用は下痢です。
人によっては脂がそのまま出てくるようです。
詳しくはバラムツを食べた人のお話を読んでみてください。
あそこまではいかなくても、似たような状態になる可能性があります。
また、脂溶性ビタミンの欠乏も副作用の可能性としてあげられます。

✦総括

健康障害のない肥満症の方、という割と購入できる層が限られている為
ゼニカルが誰でも薬局で買えるようになる!という感じではないです。
普通体型の方でより体重を落としたい方は今まで通り美容クリニックでの
処方になります。
あと、個人的には医薬品でもないカロ○ミットですら凄い勢いでお腹を下すので多分これを飲んだらお腹がえらいことになりそう。
私はアプリを用いたレコーディングダイエットが一番性にあっていたので、
まだしばらくはレコーディングダイエットを続けるかな、という感じです。

価格等の設定が公表されるのが少し楽しみでもあります。


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