乃木坂46「新しい世界」の考察
音楽において、私はリリックよりもリズムを重視する人間だが、歌詞について深く考えたくなる時もある。
歌詞に注目した乃木坂46の楽曲「新しい世界」について、文章を書いてみようと思う。
何から話せばいいのだろう
僕が隠していたこと
昨日の夜は 君が言うように
確かに部屋にいなかったんだ
すべてを知ったら傷つくはずだ
だからまた 嘘をついた
真実と引き換えにするのは
涙か別れでいいか?
好きな人ができたと
告白すればそれで終わる
相手なんか誰でも
構わないよね
この胸の中で目覚めた世界は
いつからか何となく気づいてた
本当の自分を僕は認める
君よりも彼を愛していること
未来を奪った相手のことで
悲しませたくはなかった
僕なんかよりもっとふさわしい
誰かがどこかにいるよ
ずっと否定していた
まさかの気持ちを受け入れて
初めての感情が
溢(あふ)れ出したよ
カーテンを開けて広がる世界は
繰り返し何回も見てた夢
君にはこれ以上嘘はつけない
世界一僕が愛している人だ
慰め方がわからないよ
そう 君が悪いわけではないんだ
恋のかたちが違っただけ
僕は彼しか選べないよ
失望させてごめん
この胸の中で目覚めた世界は
いつからか何となく気づいてた
これからどうやって生きて行くのか?
もう一人の自分も愛されたい
カーテンを開けて広がる世界は
繰り返し何回も見てた夢
君にはこれ以上嘘はつけない
世界一僕が愛している人だ
一度読んで頂ければわかると思うけれど
同性を好きになった「僕」の恋心が描かれている。
初めて歌詞を見た時、ちょっとモヤっとすることがあった。
この歌詞に出てくるのは
「僕」「彼」「君」の3人。
好きな人ができたと
告白すればそれで終わる
相手なんか誰でも
構わないよね
この胸の中で目覚めた世界は
いつからか何となく気づいてた
本当の自分を僕は認める
君よりも彼を愛していること
「僕」は「君」と付き合っているんだけれど
「彼」のことが好きという構図。
しかしこの後に続くのは
カーテンを開けて広がる世界は
繰り返し何回も見てた夢
君にはこれ以上嘘はつけない
世界一僕が愛している人だ
「僕」は「君」よりも「彼」を愛しているのに
"君にはこれ以上嘘はつけない 世界一僕が愛している人だ"
と言っている。
この矛盾に、モヤっとしたのだ。
しかしその違和感を深掘りすることなく、CDが発売されてから1.2年の間意識せず楽曲を聴いていた。
しかし発売されてから3年経った今
ふと、自分の腑に落ちる解釈ができた。
自分なりの解釈はこうだ。
「僕」が「彼」を好きな世界は
「僕」が「君」のことを好きな世界とは全く別の世界。
題名の通り「新しい世界」だった。
「新しい世界」の存在にはずっと気付いていたけれど
カーテンを閉めて見ないようにしていた。
でも「彼」への気持ちが溢れて、この気持ちを認めようと決意しカーテンを開ける。
繰り返し夢見た新しい世界。
それでも「僕」にとって「君」は大切な人であると。
"世界一僕が愛している人だ"の"世界"は
今までいた世界のことで、「君」を愛していたことは嘘じゃない。この世界で一番大切な人だよ、と。
「僕」は「君」のことを好きだった世界をなかったことにはしないのだ。
"君にはこれ以上嘘はつけない"の"嘘"は
「君」を愛していなかったことではないと、
そう伝えたかったのではないかと思った。
こう解釈した時、あの詩には何の矛盾もないんだと気がついた。
きっと「僕」は、「彼」(同性)のことが好きだと「君」に告白したんだと、私は思う。
歌詞の冒頭でうたわれているように、ただ「好きな人が出来た」というだけでも良いんだけれど。
どんな形でも、大切な人に嘘をつきたくないよね
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