祈願上手さん　#毎週ショートショートnote

私は今日も神社の掃除をしていた。
「あっ、祈願上手さんが来た！」

小学生の男の子だ。
二礼二拍手一礼、今日も姿勢がいいなぁ。
しかし私が祈願上手さんと密かに呼んでいる所以はこれではない。

『おかげさまで、苦手な算数で100点取れました、ありがとうございます！
来週の運動会、徒競走で1番取れますように！そのために今毎日走り込みをしています。がんばります！』

きっと毎回お賽銭に入れている5円は、お手伝いした時のお駄賃だろう。努力しているはずなのに、いつも感謝を言ってからお願いしている。
将来有望になりそうだ。

よーし。
私も5円玉をお賽銭に入れた。
「カッコいい彼氏がほしいです！そのために私は……
私は……？あっ！おなかをへこませて、絶えず笑顔を心がけます！あーー！おなかもスッキリしますように…！え？そのために？そのために……腹筋…を…！」

お願いし過ぎかな…？

天然な巫女さんですね。
高校生か大学生の女の子で、実家の手伝いをしている設定にしました。
10近く年下の小学生の行動を見て、スゴイと素直に感じてマネをするところを見ると、彼女も大物になりそうです。あと、ちょっと煩悩が見え隠れしているあたり、かわいすぎてモテそう。