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新解釈:四十九日…七七日

六七日編はこちら

七七日。
私が死んでから四十九日経った。

最後に裁判所に呼ばれて、最終手続きをするらしい。
初七日と同じお坊さんみたいな裁判官に再会した。

『四十九日、おつかれさまでした。判決には響きませんので、率直な感想をどうぞ!』
変なこと言って判決が変わったらどうしよう…。
『片っ端から調べて、もう決定してるんですから、大丈夫ですって。』
あっ、“こっち”では何でもお見通しなんだった…!

「では、正直に言いますと、めちゃくちゃ疲れました。良かったことも悪かったことも、うれしかったことも悲しかったことも、隅から隅まで思い出して整理したので体力を使いました。
でも1ヶ月かけて、自分の人生を振り返って、今まで生きてきた34年間と向き合えるいい機会だなと思いました。
自分自身も向き合ったことで、私は1人ではなく、 家族・友人・推し・嫌な人などがいたことで成り立っていた人生だということを再認識しました!」
かっこつけているわけではない。本心からそう思った。

『そう言っていただけるととても嬉しいです。四十九日はさやさんにとって“裁判”という大切な時期でした。しかし、さやさんの周りにいた残された人にとっても、大切な時期なんですね。
さやさんが亡くなったことで悲しむ人がいる。四十九日の間に、“さやさんはこんな人だったな。”と考えたり、“さやさんが安らかに眠るといいな。”と願ったりして、その悲しみを乗り越えていく。
両者にとって大変だけど大切な期間。さやさんもさやさんの周りの人も本当におつかれさまでした。』

法廷の真ん中にスクリーンが下りた。
最後に私のお葬式と四十九日の映像が流れたのだ。
私とゆみさんとお坊さん風裁判官3人で、静かにその映像を見た。
これで私の四十九日が終了した。

『さやさん、これ、極楽浄土行きの切符ね。』
ゆみさんはもう1人裁判を担当しているとのことで、一緒に汽車に乗れなかった。
「ここまでありがとう。私、ゆみさんが担当で本当によかった!今度は裁判の話じゃなくて恋バナしましょ!」
『それは楽しみ!おもしろい話仕入れなくちゃ! まずは向こうでおじいさまやおばあさまとの再会楽んでね。』
汽車が出発する。私はゆみさんの姿が見えなくなるまで手をふった。

おじいちゃん・おばあちゃんが駅で待っているらしい。いつか4人のお父さん・お母さんがこっちに来た時は、私も駅まで迎えに行こう。
そう思いながら、私はアルバムを開いた。

あとがきはこちら

【七七日】
中陰の期間が終わりとなるのが七七日です。これまでの裁きをもとに、泰山王が死者に来世の行き先を言い渡します。
四十九日法要には、家族や親戚が集まって故人の供養を祈ります。それは、来世に少しでも良い世界に生まれ変わってもらうためのものでもあります。

泰山王が少しでもよい世界を言い渡すよう、この世に遺された人たちがしっかりと心を込めて手を合わせます。その想いが回向となってあちらの世界に届き、故人の来世の安寧につながるのです。

参考資料


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