星を読みながら読書してみた。惑星案内

   

 ホロスコープチャートとは、特定の瞬間、たとえば個人の誕生した瞬間、死の瞬間、あるいは特定の出来事が起きた瞬間など、「その瞬間」の、地球を中心とした太陽系の惑星(天体)の配置図のことを言います。個人の誕生ホロスコープのことは、特にバースチャートと呼びます。

太陽系の10惑星
太陽系の惑星は、地球を除く太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の10惑星を用います。天王星よりも遠いトランスサタニアンと呼ばれる惑星もカウントされるようになったのは、1781年に天王星が、1846年に海王星が、1930年に冥王星が発見されてから以降のことです。

10惑星の象徴する事


太陽 ギリシャ神話に登場するアポロンに象徴される星。神々の王ゼウスと、レトの息子で、月の持つ幅広い意味の一部分を担当すると言われるアルテミスとは双子の兄妹。予告・予言・弓術・芸術、特に音楽・医術を司る神で、ギリシャ由来というよりは、北方か東方から由来した神だと考えられています。紀元前5世紀ごろに、ボイポス(輝けるという意味)・アポロン と呼ばれるようになり、太陽神と見なされるようになりました。
 太陽の公転周期は365,2425日。つまり現在のカレンダーに用いられる一年365日と4年に一度のうるう月によって日時を表記する基本となっています。
 占星術における太陽のポジションは、かなり重要視されています。これは、近代占星術の父と呼ばれるアラン・レオが、それまで個人・個人のチャートを見ることでしか、読み取れなかったものを、雑誌などのマスメディアに載せるために、いわゆる太陽星座占いを考えついたことから、占星術=星占い=太陽星座占いと考える大衆を産んだことによります。つまり誕生時に太陽が位置した星座をもって、◯◯座生まれとするようになったわけです。
 しかし近年、太陽だけを偏重する傾向を批判的に見る研究家が多く登場し、アラン・レオ以前の古典占星術に目を向ける傾向が顕著です。
太陽は、人体における脳、あるいは心臓を管轄すると考えられ、その個人の全体性を統治、指令し管理すると考えてきたわけですが、近年人体のあらゆる臓器がメッセージ物質を出して、個々にコンタクトを取り合っているということが医学的にも証明されてきました。脳や心臓も重要ですが、それだけで生きることはできないという見地は、占星術にも当てはまり、太陽だけでその人物を判断することはできないと考えられます。

 ギリシャ神話には月を象徴する女神が数多く登場します。太陽神アポロンの双子の妹アルテミスは、三日月の女神で、月の持つ野生的でワイルドな一面の庇護者としての一面を物語りますし、ギリシャではセレネー。ローマではルナと呼ばれた女神は、エンデュミオンを永遠の眠りにつかせたことから、満月や新月と関わり、「生死」や「出産」にも関わると考えられます。狂気に満ちていることをルナティックというのも気になりますね。また闇の女神ヘカテも月の女神の一人と考えられ、やはり月のもたらす人智ではコントロールできない自然の摂理を象徴するように思えます。最近では月齢カレンダーを日々用い、自身のバイオリズムを整える人も多くなりましたが、こうした傾向は、人の中にどこか自然との共存欲求があり、都会では失われがちな野性や本能を取り戻す無意識の働きに見えます。
 月の公転周期は、27日から28日。1星座を2日から3日で移動するため、占星術では日々の運勢など、流動的な運を読む時に用いられます。

水星 ギリシャ神話ではヘルメス、ローマではマーキュリーと呼ばれる神が象徴する水星。ヘルメスゼウスと、辞典や地図などの語源となったアトラスの娘マイアとの間に生まれた息子。早熟で生まれてすぐ歩き、竪琴を作り、アポロンの牛を盗んで咎められた時にはその竪琴を弾いて感激させ、それを欲しがるアポロンに牛と交換することを持ち掛けました。ある意味狡猾な駆け引き上手。そのため商人盗人の守り神であり、旅人道、通行人の守護神でもあります。
 一方でゼウスの伝令史として他の神々や、人間に重要なメッセージを伝える時に遣わされたり、死者を冥界へ運び、審判の場へ引き連れて行くという役割も果たしているため、軽く表層的な世界の奥にある深遠なる真実にも触れる多様性のある神様です。
 水星の公転周期は88日。約3ヶ月半で地球を一周しますが、起動が細長い楕円のため、地球から見て逆行しているように見える時期がしばしばあり、その時には日常に様々なミスやトラブルを招いたりすることが、占星術的には認められています。また双子座と乙女座のルーラー(守護星)と考えられています。

金星 オリュムポス12神の一人に数え上げられるアフロディーテが象徴する星。ローマではヴィーナスと呼ばれます。アフロディーテの出自は明らかでなく、いくつかの説がありますが、一番有力なのが、父ウラノスを息子クロノスが倒して王座についたという「父親殺し」の場面で、大鎌で切り取られたウラノスの性器が海に投げ捨てられた時に出た泡から誕生したという説。そのためアフロディーテは他の神々から蔑まれていた節もありますし、この逸話からアフロディーテの磁力的なエロティシズム創造的な情熱が引き出されるのです。
 アフロディーテの心理的機能は、恋愛至上主義の人や、舞踏や美術、文学など、創造性にとりつかれないと表現できない分野を目指す人々にとっては不可欠な存在です。心の中のアフロディーテが枯れてしまうと、恋する気持ちも、創造の泉も枯れてしまうわけです。
 金星の公転周期は、225日。約7ヶ月半で地球を一周します。そのため太陽や月、水星とともに日々の移ろいゆく運勢を占ったり、極めて個人的な嗜好を読み取る場合に使われます。

火星 ギリシャ神話では凶暴な戦争の神として知られるアレスが象徴する星。オリュムポス12神の一人で、ゼウスとその正妻ヘラの一人息子でありながら、その理性を欠いた凶暴さによって、他の神々の嘲りの的となり、同じく出自の妖しさからバカにされていたアフロディーテを筆頭に多くの女性と交わって、やはり多くの凶暴な息子たちを作りました。アフロディーテとの情事では、一人だけ調和を意味するハルモニアという娘が誕生しています。
 ローマ時代になると、アレスは、マルスと呼ばれ、アテネ女神とともに尊敬の的となります。これは時代の価値観がギリシャとローマでは大きく変化していることを端的に表しています。ローマ帝国は、戦いによって繁栄したのです。
 いずれにしても占星術では、どちらかというと凶星と捉えられがちな火星ですが、誰のバースチャート上にも火星は「ある」のです。これは誰の心の中にも、凶暴で残忍で、暴力的な部分が「ある」ということで、それをいかにコントロールしてより良き自分を形成するかが大きなカギとなります。スポーツカーはレースでは花形ですが公道で人を轢き殺せば凶器ですし、包丁も調理に欠かせない道具ですが、使い方次第で人を殺す道具にもなるわけです。
 
木星 ギリシャ神話ではオリュムポスの神々を統治するゼウスが象徴する星。ローマではジュピターと呼ばれています。神々の王だからといって徳が高いかといえば、そうでもない。一番上の姉だったヘラと結婚した当初はラブラブの蜜月期を3000年も過ごしましたが、その後は父権の力をカサにきてヘラを裏切り、多くの女神や人間の女性と強引に交わって、多くの子供を残しました。ゼウスとヘラの力関係の変化は、古代社会が、母権社会から父権社会へと移行していった時期、その後のキリスト教の伝播によって父権社会が確定され、現代にもつながっていると考えられます。

 木星の公転周期は、12年。1年で1星座を巡り、12年で地球を一周します。これは東洋の占いでの干支に近い働きをします。ただし干支が毎年節分の時期を境に変わるのに対して、木星はあくまで天文暦(天文学で用いる星の暦)に従うので、変わり目の日時は毎年変わります。
 個人のチャート上の木星は、その人が楽天的になる環境や状況を表したりしますが、特に太陽・月・水星・金星・火星といったパーソナルプラネットと呼ばれる星との関わりによって、より個性化されます。

土星 ギリシャ神話では父ウラヌスの息子クロノスが象徴する星。クロノスは、ローマではサターンと呼ばれ、明確に凶星扱いされます。
というのもクロノスは、生まれてすぐ、父ウラヌスによって洞穴に閉じ込められていたことを呪い、長じて復讐に出て、父を倒して王座につきますが、クロノスもまた、息子にその座を奪われることを恐れて、生まれた子供たちを次々と飲み込んでしまっていたから。唯一飲み込まれずにこっそり育てられていたゼウスが、クロノスを倒し、神々の王として君臨するようになったのです。
 そのためクロノスの司る土星は、恐れや恐怖から保身に走る小心者のイメージを植え付けられています。一度得た権利を失いたくないのは人の情。けれど失うまいとして抱え込めば抱え込むほど、奪い取られる危険に陥る・・・そんなことも土星は伝えています。
 土星の公転周期は29年。個人では誕生した時の土星の位置に、 一周して重なるのが29歳から30歳にかけてなので、改めて世の中の厳しさや試練を知る「サターンリターン」の時期と言われています。

天王星 ギリシャ神話にオリュムポスの神々が登場する以前、世界はカオス(混沌)が支配していて、その中にいたガイア(大地の女神)が男の力を借りずに生み出したのがウラヌス。その後、ガイアは息子ウラヌスと交わり、ギリシャ神話上の巨人族(ティタン族)を生み出します。土星の神様クロノスは、だからティタン族の一員です。
 ウラヌスに関する神話はこれ以上ほとんどなく、古代ギリシャの人々もあまりウラヌスを重視していなかったようです。けれど、1781年に発見された星が、ウラヌスと名付けられて、占星術家たちは、この星をどう意味付けるか考察しました。土星よりも内側の星たちは、皆それなりのキャラクターを持ち、個人のチャートを読む上に役立ったけれど、神話上のウラヌスは、抽象的すぎて、どう解釈して良いか戸惑ったのでしょう。今振り返ると、天体望遠鏡の発達によって天王星以降に発見された星々は、むしろ人類の理念とか思想とか、理想といった目には見えない、実用的ではないけれど、実はとても大切な物事を示唆していると考えられます。天王星は人類の意識を転換させた最初の星・・・ということで、現代の占星術家は、神々から火を盗んで、動物以前の惨めな生活をしていた人類に与えたプロメテウスを、天王星を象徴する神様として位置付けています。「火」は知恵の象徴で、実際火を手にしてからの人類は、飛躍的に進化しました。時代によってそれは電話だったり、自動車だったり、飛行機だったりロケットだったりしました。現代ではコンピュータやインターネット、AIまで・・・このような飛躍的進化につながるものをもたらすのが、天王星だと考えられるわけです。
 天王星の公転周期は、84年。ほぼ長生きする人間の寿命で地球の周囲を一周します。1星座を7年から8年で移動し、次の星座に映る直前にシンボリックな出来事をもたらしたりします。例えば2011年3月12日に、天王星は魚座から牡羊座に移動しましたが、東日本大震災が起きたのは、その前日の3月11日でしたし、中国でも大地震が起きています。
これらの地震が人間にもたらしたメッセージを読み解くのも、占星術家の仕事です。
 個人のチャート上の天王星は、太陽や月、水星や金星、火星といったパーソナルプラネットと密に関わった時に、その人独自の特質として読むことができます。

海王星 ギリシャ神話ではポセイドン、ローマではネプチューンと呼ばれる海神が象徴する海王星。ポセイドンは、その神話を読む限り、怒りと破壊に満ち、地震や洪水を起こす恐ろしい存在であったため、人々は畏れ敬ったようです。確かに海王星の配置は、しばしば天災や自然災害をもたらします。海王星の公転周期は、165年。つまりこの海王星とさらに遠くにある冥王星が地球を一周することを、今のところ個人は経験できない、ということになっています。
 ところで海王星は、2011年4月5日に魚座に入り、2026年1月末までほぼ魚座を運行し続けます。海王星は、魚座のルーラー(守護星)で、魚座にある時、最も強い力を発揮すると言われています。世界中で異常気象による、様々な災害が頻発していますが、それはこの配置の影響かもしれません。神話を紐解くなら、ポセイドンは、人々が自然をないがしろにし、傲慢な行為を繰り返していることにと怒り、天災をもたらしているのかもしれません。何かの警告、と読み取る占星術家も少なくありません。
 一方で海王星の働きを、抗えない自然現象だけでなく、人間生活に身近な事例として読み解く手立てはないかと、占星術家たちは試行錯誤し、神話の中からポセイドンとのゆかりもあるディオニュソスという異国からギリシャにきた神を置きました。ローマではバッカスと呼ばれ、ワインの神様として祀られています。ディオニュソスは本来豊穣の女神デメテルとも共通する部分を持ちながら、そこから逸脱していきました。彼はサテュロスニンフたちを引き連れて日々酒盛りをし、踊り狂い、熱狂的な信者を増やし、様々な区分や境界を物ともせずに乗り越えていったのです。ギリシャでは当初ディオニュソスを神として認めなかったため、彼は各地を放浪した末、歯向かうものを発狂させ、陶酔へと導き、最終的に神としてギリシャに迎えられたのです。個人のチャート上の海王星の働きを読むには、太陽や月、水星や金星など太陽系の惑星の中でも太陽により近い星との関わりを見ます。基本的に想像力やイマジネーション、夢みる力などと解釈しますが、ネガティブな働きをすれば、ドラッグや飲酒に依存する傾向と読み解かれることもあります。

冥王星 ギリシャ神話上の冥界の神ハデスが象徴する星。ローマではプルートーと呼ばれています。ハデスは、空の神ゼウス、海の神ポセイドンと兄弟で、この三兄弟は反目することもありますが、窮地に立たされると連携プレイをします。空・海・冥界を司ることになった経緯は、くじ引きだったそうで、ハデスは冥界という死者の国の主人となりました。けれど冥界は生きている人間には無縁の場所なため、「富めるもの」と呼ばれながら、信仰の対象にはなりませんでした。
 ハデスの神話で最も有名なのは、豊穣の女神デメテルの娘ペルセフォネの誘拐事件でしょう。ハデスはまだコレー(ただの娘という意味)として野の花を摘んで遊んでいた彼女を見初め、冥界に連れ去ります。娘がいなくなり、デメテルは半狂乱になり、姿を老婆に変えて娘を探し歩きます。ある時鳥が、コレーはハデスに連れ去られたと教えてくれました。そこで彼女は冥界へ行き、ハデスに娘を返せと、談判します。けれどハデスは拒絶。そこでデメテルゼウスに訴えるとともに、娘が帰らなければ、これまでもたらしていた地上の豊穣を放棄すると脅します。その言葉通り、地上の植物は枯れ果て、飢饉に見舞われ人間たちがバタバタと倒れていくのを見て、当初はハデスに味方していたゼウスも、「では冥界でコレーが何も食べていなければ、地上に戻そう」と伝えます。
 ところが。喜んだデメテルが、娘を迎えにいくのを見て、ヘルメスが先回り。ゼウスの言いつけで、コレーに3粒(6粒という説も)のザクロの実を食べさせていました。「ほら、食べちゃってるでしょ」というハデスに、「冗談じゃない」といきり立つデメテル。二人の口論は果てしなく続くので、ゼウスが間に入ります。「では、一年のうち、コレーが食べたザクロの実の数の月だけ、冥界にとどまり、あとは地上に戻ってよろしい」ということに。デメテルは、コレーペルセフォネとして冥界にいる間は、豊穣を放棄することになりました。そのため、地上には草木の実らない「」ができたということです。
 ハデスをめぐるこの物語が冥王星のどんな特質を物語っているのかは、考察の余地があると思います。ですが、冥王星が「死と再生」を象徴することを重ねると、草木が枯れて冬の時代を超えると、花咲く春がやってくるような、「死と再生」のリズムがあることがわかりますし、死は必ずいつか誰の元にも訪れるということも、生きている人間の世界では、冷酷な事実です。死に直面するような極限の状態、ギリギリの崖っぷちに立った時に発揮する馬鹿力とか、死を覚悟して行う行為とか、あるいは明るく生き生きした輝く少女の奥に揺らめく媚態を感じ取る洞察力とか・・・。冥王星はその発見後、多くの占星術家によって、それまで火星をルーラー(守護星)として牡羊座と分け合っていた蠍座のルーラーに置きました。そのことによって、冥王星の色合いも、蠍座の要素を強く身に付けるようになったわけです。
 冥王星の公転周期は248年。1星座を移行するのに10数年から40数年かかります。今現在は2008年1月に射手座から山羊座に移り、山羊座の象徴する社会の骨組みや国家の形を徹底的に破壊し尽くす力を加え続けています。2023年4月に博愛と変革の星座である水瓶座に移るまでの間である2020年1月に、すでに山羊座入りしている抑圧の星・土星と重なり、世界中を困難に陥れました。(2020年12月に、実に220年ぶりに風のエレメントである水瓶座で、木星と土星のグレートコンジャンクションが起き、多くの占星術家やスピリチュアルな人々は『風の時代』の到来を謳い、人類が霊的な成長を遂げると期待していますが、どうでしょう?)この災禍を乗り越えるために人類がどんな協調と知恵、変革を選び取るかは、2023年4月、冥王星が水瓶座に入る時を待つことになるのかもしれません。
 個人のチャート上の冥王星は、太陽や月、水星や金星、火星といったパーソナルプラネットと密接に関わった時に、独特の磁力的な個性を生み出します。

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