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【読書レビュー】『限りある時間の使い方』

著者・書名・出版社・出版年は?


オリバー・バークマン (著)高橋璃子(訳)『限りある時間の使い方』かんき出版, 2022

どんな本?


「時間を上手に使いたい」という想いは、多くの人に共通です。なぜ、自分はいつも時間に追われなければならないのか?この状況を何とか打開する方法はないのか?

そして、その想いに応えようとする書籍が世の中には溢れています。「〇〇式時間管理法」や「〇〇式速読法」などの本を、誰しも思わず買ってしまったことがあるはずです。そして、意気揚々と読み進めて、実践してみる。最初はうまくいくかもしれません。「これで、効率のいい生活が手に入った!」と思うでしょう。しかし、しばらく経って気がつけば、また、押し寄せる仕事の波の中で溺れそうになっている自分を見つけるのです。

なんでこんなことになるのか?
何が間違っていたのか?

「そもそも前提が間違っている」と、この本の著者は一刀両断に切り捨てます。自分の持ち時間を如何に効率良く配分すべきか。多くの時間管理法のテーマはこれです。しかし、自分の持ち時間がどれだけ残っているのかには言及しません。問題はそこです。自分のやりたいこと全てを終わらせるには、そもそも自分の持ち時間は「足りない」のです。

この本は、あなたがうすうすアヤシイと思いながらも無条件に受け入れてきた「時間はあるはずだ。問題は効率だ!」という時間についての常識的前提を打ち砕きます。そして、そこから新たな価値観を手にして、新しい生き方を紡ぐための最初の一歩を踏み出すために、暖かい言葉を贈ってくれるのです。

「やらなくていいことはそのままにして、大事なことだけやればいい」と。ひとは「今」しか生きることはできないのだから。

何が学べるか?


  1. 時間についての新たな価値観~そもそも足りないこと~に気付かされる

  2. 敵は外にいるのではなく、自分の中にいること

  3. 手放すことの先に「豊かさ」があること

どんなひとにおすすめ?


  1. 効率的なスケジュール管理の方法を探しているけれど見つからないひと

  2. いろいろ試してみたけれど、なんだかうまく行かないひと

  3. 二人のイケメンから告白されて、どちらにしようか迷っているひと

目次


PART 1 現実を直視する
第1章 なぜ、いつも時間に追われるのか
第2章 効率化ツールが逆効果になる理由
第3章 「時間がある」という前提を疑う
第4章 可能性を狭めると、自由になれる
第5章 注意力を自分の手に取り戻す
第6章 本当の敵は自分の内側にいる

PART 2 幻想を手放す
第7章 時間と戦っても勝ち目はない
第8章 人生には「今」しか存在しない
第9章 失われた余暇を取り戻す
第10章 忙しさへの依存を手放す
第11章 留まることで見えてくるもの
第12章 時間をシェアすると豊かになれる
第13章 ちっぽけな自分を受け入れる
第14章 暗闇のなかで一歩を踏みだす

エピローグ 僕たちに希望は必要ない
付録 有限性を受け入れるための10のツール

感想とか


原書のタイトルにあるように「80歳まで生きても4000週間しかない」と、はっきり言われてしまうと、まずはちょっとした絶望感に包まれます。しかも、これを読んでいるあなたには、ひょっとしてもうその半分くらいしか残っていないかもしれません。しかし、この本を読み進めていくと、豊富な事例や哲学的な考え方が紹介されていて、その絶望感をポジティブに受け入れる気持ちになれるひとも多いんじゃないかな、と思ったりしました。で、どうするのか。

読んでいて、以前、ヨガの先生から聞いた「おバカなおサル」の話を思い出しました。

あるとき、美味しそうな食べ物が入った壺を見つけたサルがいました。サルはさっそく手を突っ込んで取ろうとします。しかし、そのツボの口はやっと手が入るくらいの小さいものなので、何かを掴んで引き出すことはできないのです。壺から手を抜くには、食べ物を手放すしかありません。でも、おバカはおサルはそのことに気が付かず(いや、うすうす気がついているにもかかわらず)、どうにかして食べ物を掴んだまま、手を抜こうとしてあがくのです。そして、いつまで経っても食べ物にはありつけないまま。

ひとはあまりにも物事に一所懸命に取り組んでいると、視野狭窄に陥って、おバカなおサルになってしまうことが多いようです。そんなときに、この本を読んだ記憶がちょっとでも蘇ったら、思い切って手を放しちゃいましょうね。本当の敵は、あなた自身です。

Audible版について


この本には書籍版とともに、KIndle版とAudible版があります。寝る前とかにインプットするには書籍版やKindle版よりも、耳で聞くAudible版のほうがよいかもしれません。一日の終りには眼も疲れているでしょうから、静かにまぶたを閉じて声に耳を傾けるという、古くて新しい読書体験ができますね。

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