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かたち・活きる・並べ方

トーゴに来て、食材そのものよりもその「売り方・並べ方」に目がいくことがたびたびあった。例えば、主食のフフやパットに合わせるソースに欠かせない、唐辛子の「ペペ」。こちらの写真はアグー山という、標高1000メートルほどながらトーゴで一番高い山の上にある、村のひとつにて。形と色の少しずつ違うぺぺを、乾いたトウモロコシや木の棒できれいに区切り並べて売っている。

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そうか、こんな風にすれば、わざわざ包装しなくても小分けで売ることができるんだ。色や形の混ざり具合のバランスが綺麗で、少し見とれた。野菜を組み合わせて人の顔を描いた、アルチンボルドの絵を思い出した。そして、その奥のバナナの山の、量の迫力と荒ぶる勢いにも惹かれた。

こちらはテーラーのEpifaniの家からほど近い場所にある、数件のお店が並ぶ通りにて。
瓶に入っているのは、こちらもアフリカ全土で料理に欠かせないとされているマギーブイヨン。チキン、ビーフ、ベジタブル・・・きちんと瓶に収められていて、初めはキャラメルかなにかのお菓子かと思った。

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一粒から必要な分だけ、買いたい分だけ買える。
彼女の笑顔と、ワンピースもとてもよく似合っていてハッとさせられる。締まった二の腕と長い指。
瓶に入って整然と並んでいると、1個1個が大切な特別なものに感じられるのと、売っている人の几帳面さ、きれい好きさ、美意識までを感じた。

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こちらも近くのお店のひとつ。左側手前に積まれている太い長芋のようなものは”ヤム芋”で、アフリカ全土で食べられている主食のひとつ。ふかして潰し杵でつき、もっちりとさせたものを”フフ”と呼ぶ。美味しい。
右側の銀色のたらいには、様々な種類の豆や岩塩がどっさりと入っていて、カップですくって必要な分を買う。ちなみに私はミネラル(鉱物)好きなのもあり、ここで買った岩塩を瓶に詰めて部屋に飾ったりしている。

トーゴの首都ロメには、実は西アフリカ最大の港があり、生魚も水揚げされており、車道沿いなどで売られているのを見かける。おそらく、アフリカ全土の中では珍しい光景なのではないかと思う。

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テーブルに直に置かれており、日本で氷やザルの上、もしくはきちんとパックされて売られている光景に慣れた身としては衝撃が走るものの、きちんと種類ごとに分かれていたり、頭は中心側で尻尾は縁に飛び出させていたりのを目新しく感じる。どうしてこんな風に並べるんだろう。聞いてみたい。尻尾もピンとしていて新鮮そう。

ちなみに首都ロメから車で2時間ほどの、パリメのマーケットや、ナイジェリアのラゴスで売られていた魚は、主にカチカチに燻製されたものだったので、やはり生魚を売っているのはロメならではなのかなと思う。

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野菜、調味料、魚・・・日本だとパッケージや包装にくるまれ、スーパーなど室内で売られているもの。それが、外で、むき出しのままで、けれども売っている人の意志を感じさせる並べ方が感じられ、なんとも心惹かれる存在感を放つ。「もの」の形の面白さや存在感が、ストレートに目に入るからだろう。

小分けの袋に入っていたり、かごの上に並んでいたり、10個入りパッケージになっていたり・・・というのは必ずしも必要なことではないんだな、と改めて気付かされた。

揚げたバナナ、小さな生バナナ、オレンジ、岩塩、豆、煎ピーナッツ・・・旅行者なので買えるものは限られているものの、ちょこちょことお店をまわり買ってみる中で、売り物の説明とともに、歯並びのきれいな笑顔をもらえたのも、嬉しかった。

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このnoteのカテゴリーでは、私が描いたアフリカの絵とともに、現地で感じたことやエピソードを綴ります。

また、このシリーズのイラストを使ったMINERAL 00のポーチを作っています。現在は3パターン。こちらはトーゴのパリメにある、ジューススタンドを描きました。よかったら覗いてみてください。

■MINERAL00 ポーチ(アフリカンコーク)
https://mineral00.thebase.in/items/31901078

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